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「音楽の日2021」から、ことわざを学ぼう!
2021年7/17、TBS系で8時間にもわたり「音楽の日2021」が放送されましたね。
みんなを笑顔にするというテーマのもと、コロナ禍で沈んだ日本へ、力強いメッセージが届けられていたように思います。
昭和の名曲から、元号が令和に変わってからの最新のヒット曲まで、まさに『歌は世につれ世は歌につれ』といった時代の流れを感じるようでした。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざに『歌は世につれ世は歌につれ』
歌は世につれ世は歌につれ(うたはよにつれよはうたにつれ )
意味 ・・・ 歌は世の中の時勢や成り行きにつれて変化し、世の中のありさまも歌の流行に影響されるということ。
『歌は世につれ世は歌につれ』の意味、由来
ここでの『歌』とは、その時代に流行した歌、『世』とは、世の中の時勢を指します。
つまり、『歌は世につれ世は歌につれ』とは、
流行歌というものは、その時代の時勢の流行を受けて変化していき、世の中の情勢も流行歌に影響されていく。
という意味になります。
歴史を遡ってみますと、江戸時代には太平の世が長く続いたことで町人たちの間にも芸事を学ぶ経済的、精神的な余裕が生まれ、それまでは皇族や貴族などといった一部の者だけのものだった娯楽文化が大衆の間にも根付いてきて、都々逸などの俗曲が流行しました。
その後、明治時代に入り、日本が長い戦争の時代に突入して軍国主義に染まっていくとともに、軍歌が大流行します。
そして、終戦を迎えてからは、敗戦からの復興を目指した時代には、「リンゴの唄」(霧島昇・並木路子)「東京ブギウギ」(笠置シヅ子)や「青い山脈」(藤山一郎・奈良光枝)長崎の鐘(古関裕而 ・藤山一郎)などの希望を与えるような歌が、
高度経済成長の時代には、『上を向いて歩こう』、『幸せなら手をたたこう』、『明日があるさ』(坂本九)、『いつでも夢を』(橋幸夫・吉永小百合) 『 三百六十五歩のマーチ』(水前寺清子)などに代表される前向きで明るい歌が大流行しました。
その後は、社会現象にもなったような暴走族、竹の子族、サーファー、バブル期においてのディスコ、コギャルなどの若者ファッションとリンクした歌曲がヒットチャートを賑わせてきました。
そして、近年では今回の『音楽の日』にも出演した優里さん(歌:ドライフラワー)のように、発達したSNS(インスタグラムやTikTok)の配信からブームを巻き起こすアーティストが増えています。
このように、流行歌と時代の情勢は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。
由来としては、テレビの歌番組で、ある司会者が番組内でのMCや曲紹介においての口上として使ったことから生まれた表現だと言われています。
そして、その司会者とは、元NHKのアナウンサーの宮田輝氏で、紅白歌合戦の司会を歴代最多の15回も務めたほどの名司会者になります。
当時の口上を私の想像で表現しますとこのような感じですかね。
『歌は世につれ世は歌につれ』の類義語、対義語
諸行無常(しょぎょうむじょう)
意味 ・・・ この世のすべてのものは、常に移り変わり、同じ状態なものはないということ。
移れば変わる(うつればかわる)
意味 ・・・ 時が移ればものは変わるということ。
※歌と関係づけられてはいませんが、世の移り変わりという観点から、類義語として挙げておきます。
旧態依然 (きゅうたいいぜん)
意味 ・・・ 昔のままで、少しも進歩や発展がないこと。
十年一日(じゅうねんいちじつ )
意味 ・・・ 長い年月の間、少しも変わらない同じ状態であること。
※こちらも、歌と関係づけられてはいませんが、不変的なものを表す表現として、対義語に挙げておきます。
こんな場面で使おう!『歌は世につれ世は歌につれ』を使った例文
・歌は世につれ世は歌につれということなのだろう。全盛期の頃に暴走族に入っていたという父は、横浜銀蠅やシャネルズばかり聞いていたそうだ。
・歌は世につれ世は歌につれというが、やはり青春時代に効いていた音楽は、いくつになっても心に染みるものだ。
・懐メロと言われようが、歌は世につれ世は歌につれという言葉があろうが、本当の名曲はいつの時代でも人の心に突き刺さるものだ。
・歌は世につれ世は歌につれという言葉があるように、その時に流行した曲から、当時の時勢やファッションが見えてくる。
・歌は世につれ世は歌につれと言うが、近年では流行を仕掛けるプロデューサー的な人物が、狙って流行を作っているとも言えるだろう。
・ジョン・レノンは、歌は世につれ世は歌につれという言葉を現実にするために、平和を願った楽曲をたくさん書いたのだろう。
『歌は世につれ世は歌につれ』を英語で表現すると?
比喩的な表現ではありませんが、英語ではこのように表せます。
Popular songs change with the times, the times change with popular songs.
直訳:流行歌は時勢とともに変わり、時勢は流行歌と共に変わる。
popular song ・・・ 流行歌
ここでの times は、時代、時勢 を表します。
まとめ
五感の中で懐かしいという感覚を最も刺激するのは嗅覚だと言われていますが、私の場合は、その時その時に効いていた音楽を聴くと、懐かしさと共に当時の情景が頭の中に浮かんできて、胸を締め付けられるようなことがよくあります。
尾崎豊をよく聞いていた世の中を斜めに見ていた中学生時代、高校時代にはパンクロックのファッションや生き方に憧れました。
車に乗るようになると、自分で構成したマイベストCDをPCで焼いて車内で流していました。
夏はレゲエやヒップポップが多く、秋や冬には控えめなロックをよく聞いていました。
今ではどれも懐かしく、その時流れていた音楽と共にいい思い出となっています。
最近は老け込んでしまわないように、『YOASOBI』や『うっせえわ』なんか聴いたりもしてます・・・。