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『2021年・ユーキャン新語・流行語大賞』ノミネート!『ゴン攻め』から、ことわざを学ぼう!
2021、2022年を跨いだ年末年始特番には、東京オリンピック・パラリンピックで活躍し、2021年の顔となったアスリートたちが多く出演していました。
そのなかでも、東京オリンピックで新種目となったスケートボード・ストリートで金メダルに輝いた西矢椛選手が『ウルトラマンDASH』で披露した『ゴン攻めのビッタビタ』のパフォーマンスは圧巻でしたね。
『ゴン攻め』とは、東京2020オリンピックで新種目となったスケートボード・ストリートで、解説を務めたプロスケートボードの瀬尻稜選手の発言によって話題となり、2021年新語・流行語大賞にノミネートされた言葉ですね。
飾らないフランクな口調でありながら、わかりやすく丁寧な解説と選手への愛情溢れるコメントに加えて、独特な表現が注目を集めました。
復習を兼ねて説明しますと、スケートボード・ストリートとは、階段や手摺り、スロープなど、実際の街の風景を再現したようなコースの中で、それらの障害物を利用して、スケートボードでのテクニックを競う採点競技です。
選手たちは高得点を出すために、リスクを顧みず、思い切って難易度の高いトリックに挑みます。
そして、瀬尻稜選手よると、そのガンガン攻める姿勢を『ゴン攻め』と表現するそうです。
※ちなみに、『ビッタビタ』は、ぴったりと技(トリック)が決まるの『ぴったり』の最上級のような意味合いになります。
では、今日は『ゴン攻め』をことわざで表してみましょう。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『勇猛果敢』
勇猛果敢(ゆうもうかかん)
意味 ・・・ 恐れずに思いきって実行すること。勇ましくて勢いがあり、決断力に富んでいること。
『勇猛果敢』の意味、由来
『勇猛果敢』とは、『勇猛』と『果敢』、二つの言葉から成る四字熟語にまります。
『勇猛』とは、漢字の意味そのままに、勇ましく猛々しい様を表します。
そして、『果敢』とは、一文字ずつ分けて考えると、『果』には、『思い切りがよい、思い切って物事を実行する』という意味があり、『敢』は、『敢えて(あえて)』と読まれるように、『思い切って~する、決断力がある』という意味を持ちます。
このことから、『勇猛果敢』とは、
恐れずに思いきって実行すること。勇ましくて勢いがあり、決断力に富んでいること。
という意味になります。
そして、この表現は中国・前漢時代の歴史書『漢書ー翟方進(てき ほうしん)伝』にある一節に由来しています。
『漢書ー翟方進伝』に、前漢の成帝の時代、丞相の翟方進が、成帝の妻の父である紅陽侯(コウヨウコウ)とその仲間を非難した言葉として、下記のようにあります。
皆內有不仁之性、而外有俊材、過絕人倫、勇猛果敢、處事不疑。
要約:いずれの者も内面には不徳の性を有し、外面にはすぐれた才能を有しているが、人の道を大きく外し、勇猛果敢であるが、自分たちが人の道に外れているなど、全く思っていない。
翟方進は成帝にこのように進言したのでした。
それを成帝は聞き入れ、紅陽侯等の職を解き、故郷に帰らせたのでした。
この翟方進の人物評から、『勇猛果敢』という表現が生まれたのでした。
『勇猛果敢』の類義語、対義語
勇猛果断(ゆうもうかだん)
意味 ・・・ 危険や困難を恐れずに力強く、思い切りよく決断して行動すること。
剛毅果断(ごうきかだん)
意味 ・・・ 意志がしっかりとしていて、思い切って事を行うさま。また、決断力に富んでいるさま。
優柔不断(ゆうじゅうふだん)
意味 ・・・ 思い切りが悪く、ぐずぐずして物事の決断ができないこと。また、そのさま。
こんな場面で使おう!『勇猛果敢』を使った例文
・危険を冒さず無難な演技をすれば優勝確実だったが、彼は勇猛果敢に大技に挑んだ。
・我が子を守るために勇猛果敢に不良たちに対峙する父を見て、私は自分のことが情けなくなった。
・勇猛果敢であることは、リーダーとしての大きな資質の一つだ。
・前半戦終了時には絶対的不利な状況だったが、キャプテンは勇猛果敢なプレーで試合の流れを一気に変えた。
・我が家の愛犬は、留守中に忍び込もうとした泥棒に勇猛果敢に立ち向かったそうだ。
『勇猛果敢』を英語で表現すると?
英語ではこれらのように表せます。
bravely ・・・ 勇敢に
valiantly ・・・ 果敢に、勇ましく
これらの副詞に、
without hesitation ・・・ ためらうことなく。
を追加すると、より近いニュアンスになります。
英文にすると・・・
They rescued afflicted people bravely without hesitation.
彼らは勇猛果敢に被災者たちを救出した。
まとめ
『勇猛果敢』と言えば、勇ましくかっこいいイメージが強いと思いますが、由来となる『漢書ー翟方進伝』における翟方進の紅陽侯への人物評にあるように、一歩間違えば粗暴で身勝手な行動になってしまう危険性を併せ持っています。
紅陽侯のようにならないためにも、勇気と覚悟をもって勇猛果敢に振舞いたいものですね。