ことわざ

今日のことわざ『蟻の穴から堤も崩れる』の意味、由来、類義語、対義語、使い方、英語表現などをエピソード付きで徹底解説!

スポンサーリンク

新型コロナウィルス第六波の猛威から、ことわざを学ぼう!

日本国内でのコロナの波が収まるかと思えた2021年末から一転、2022年を迎えて以降、驚異的な勢いで感染が拡大しています。

感染力の強いオミクロン株の出現が最大の要因だと考えられますが、感染拡大が下火になってからは街中でマスクをしていない人がいたり、羽目を外す人たちもいたようで、少なからず私たちの中に油断が生まれていたことも否めないでしょう。

蟻の穴から堤も崩れるということわざもありますし、今一度気を引き締めて感染防止に努めたいところですね。

というわけで今日のことわざは・・・

今日のことわざ『蟻の穴から堤も崩れる』

今日のことわざ
 

蟻の穴から堤も崩れる(ありのあなからつつみもくずれる)

意味 ・・・ ちょっとした油断や小さな欠陥がもとで、大きな失敗や損害を引き起こすこともあるというたとえ。

『蟻の穴から堤も崩れる』の意味、由来

ここでの『蟻の穴』とは、蟻の巣穴を表し、

『堤(つつみ)』とは、川・池などから水が溢れないように、岸に沿って土を高く盛り上げたものを意味していす。

言い換えれば、土手や堤防のことですね。

このことから、『蟻の穴から堤も崩れる』とは、

たかが小さな蟻の巣穴だと軽く考えて放置していると、それが徐々に大きくなっていき、頑丈に築いた堤防であろうと崩壊することがある。

それが転じて、

ちょっとした油断や小さな欠陥がもとで、大きな失敗や損害を引き起こすこともあるというたとえ。

という意味になります。

そして、この表現は中国戦国時代の法家、思想家である韓非(かんぴ)の著書『『韓非子(かんぴし)ー喩老(ゆろう)篇』にある下記の一節に由来しています。

喩老篇 ・・・ 『老子に喩(たと)う』すなわち、歴史上の故事や伝説を老子の思想や言葉にたとえて解釈したものをまとめた扁。

老子 ・・・ 春秋戦国時代の思想家

まずは、韓非は老子の言葉を引用し、

天下之難事必作於易,天下之大事必作於細。

天下の難事は必ず易きより作(おこ)り、天下の大事は必ず細さきより作る。

現代語訳:世の中の難しい事は必ず易しい事から始まり、世の中の大きな問題は必ず些細なことから始まるものである。

続いて、

是以欲制物者於其細也。

現代語訳:このことから物事をうまく制しようとするなら、それが微細なうちに処理するべきである。

故曰、圖難於其易、爲大於其細。

故曰く、難きをその易きに図り、大なるをその細さきに為す。

現代語訳:ゆえに老子は言うのである。難しい事はそれがまだ易しいうちに対処し、大きな問題はそれがまだ小さいうちに処理すべきである。

とした後、この老子の思想をたとえて、このように記しています。

千丈之堤以螻蟻之穴潰。

千丈の堤も螻蟻の穴を以て潰ついゆ、百尺の室は、突隙の烟を以て焚く。

現代語訳:高さ千丈の大きな堤も螻蛄(けら)や蟻の穴から水が滲みて潰れ、高さ百尺の大きな家も、僅かな隙間から入った煙がもとで焼けてしまう。

ここから、『蟻の穴から堤も崩れる』という表現が生まれたのでした。

また、この一節から派生して生まれた似たような言い回しで、これらのような同義語があります。

千里の堤も蟻の穴から(せんりのつつみもありのあなから)

千丈の堤も蟻の穴より崩れる(せんじょうのつつみもありのあなよりくずれる)

蟻の一穴天下の破れ(ありのひとあなてんかのやぶれ)

江河の大潰も蟻穴よりす(こうがのたいかいもぎけつよりす)

千丈の堤も蟻の一穴から(せんじょうのつつみもありのひとあなから)

四字熟語としては、

千丈之螻蟻之穴

螻蟻潰堤(ろうぎかいてい)

という表現もあります。

『蟻の穴から堤も崩れる』の類義語、対義語

類義語
 

油断大敵(ゆだんたいてき)

意味 ・・・ 注意を少しでも怠れば、思わぬ失敗を招くから、十分に気をつけるべきであるという戒め。

小事は大事(しょうじはだいじ)

意味 ・・・ 小事もいいかげんにしておくと大事になるから、疎 かにしてはいけないということ。 

対義語
 

正確な対義語としては微妙ですが、ニュアンス的にこれらのを挙げておきます。

用意周到(用意周到)

意味 ・・・ 用意が細かいところまで行き届いていること。 少しも手ぬかりがないこと。

念には念を入れる(ねんいはねんをいれる)

意味 ・・・ どんなに注意を払っても、抜けはあるものだから、慎重に物事を進めるべきだということ。

石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)

意味 ・・・ 用心の上にも用心を重ねて物事を行うことのたとえ。

こんな場面で使おう!『蟻の穴から堤も崩れる』を使った例文

例文
 

・せっかく禁酒を続けていたのに、蟻の穴から堤も崩れるで、一晩だけのつもりが再び酒浸りの生活に戻ってしまった。

蟻の穴から堤も崩れることにならないように、悪い芽は早く摘んでおくべきだ。

・以前から運転中にちょっとした違和感は感じていたが、そのまま点検しなかったために、蟻の穴から堤も崩れるかのように廃車になってしまった。

・私の父は、蟻の穴から堤も崩れると月に一度の定期健診を欠かさない。

蟻の穴から堤も崩れるように、たった一匹の害虫だと放っておいたら、せっかく実った野菜が全て腐ってしまった。

『蟻の穴から堤も崩れる』を英語で表現すると?

英語にはこれらの比喩的表現があります。

A little leak will sink a great ship.

sink ・・・ 沈む

・少しの水漏れが船を沈める。

Dike collapses from the hole of the ant.

dike ・・・ 堤防 collapse ・・・ 崩壊する

・堤防もアリの穴から崩壊する。

スポンサーリンク

まとめ

老子が言うように、どんな難題も初めのうちはそれほど大きくもなく、難しくもないことばかりです。

取るに足らないことと軽く考えて放置するからこそ、大事になってしまうのです。

仕事においても人間関係においても、早期の修復に努めていきたいものですね。

関連記事

  1. 今日のことわざ『故郷へ錦を飾る』の意味、由来、類義語、対義語、使…
  2. 今日のことわざ『二度あることは三度ある』の意味、由来、類義語、対…
  3. 今日のことわざ『模範は訓言よりも力強い』の意味、由来、類義語、対…
  4. 今日のことわざ『天は二物を与えず』の意味、由来、類義語、対義語、…
  5. 今日のことわざ『選択できれば苦労あり』の意味、由来、類義語、対義…
  6. 今日のことわざ『喉元過ぎれば熱さ忘れる』の意味、由来、類義語、対…
  7. 今日のことわざ『ローマは一日にして成らず』の意味、由来、類義語、…
  8. 今日のことわざ『船頭多くして船山に上る』の意味、由来、類義語、対…

最近の投稿

PAGE TOP