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2021年、NHK大河ドラマ『青天を衝け』 『武』から『文』の時代への変遷から、ことわざを学ぼう!
2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では、激動の幕末を生き抜き、日本の商業、経済の発展に大きく寄与した近代日本経済の父・渋沢栄一氏の生涯が描かれましたが、劇中でも多く見られたように、その栄光の陰で多くの若い志士たちの命が失われたことを忘れてはなりません。
武家社会が崩壊し、日本が近代国家へと生まれ変わっていくことは、『武』から『文』の時代への変遷を意味しました。
このことからわかるように、幕末期において非業の死を遂げた者のなかには、極めて『武』に秀でた人物が多くいました。
渋沢栄一の従兄で、『天狗の化身』と恐れられた剣豪・尾高 長七郎もその一人でしょう。
剣術の腕が立つがために、策士に利用された者も少なくありませんでした。
『文武両道』が理想ではあるのでしょうが、そうかんたんにいくものではありません。
コロナによって世界中が大混乱する現在、日本がそれに耐えうる国家であることは、志半ばで命を落とした志士たちのお陰でしょう。
一年間『青天を衝け』を視聴して、改めて追悼の意を表したく思います。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『ペンは剣よりも強し』
ペンは剣よりも強し(ぺんはけんよりもつよし)
意味 ・・・ 思想や文学などによる言論の力は武力よりも大きい力を持っているということ。
『ペンは剣よりも強し』の意味、由来
ここでの『ペン』も『剣』もそのままで、文字を書く『ペン』、武器の代名詞とも言える『剣』を表しています。
実際に武器として手に持って戦うなら、当然『剣』の圧勝ですが、この表現では、ペンで書く文字、文章が人に与える影響の強さを表しています。
つまり、『ペンは剣よりも強し』とは、
文章で表現される思想は世論を動かし、直接的な暴力(剣)以上に強い力を発揮するということ。
という意味になります。
また、先行して似たような言い回しの表現(※類義語として一部を後述します)は多くありましたが、現代において最も浸透している『ペンは剣よりも強し』と言われるようになったのは、英国の作家・エドワード・ブルワー=リットンが17世紀のフランス王国の政治家であった枢機卿・リシュリューの生涯を描いた戯曲『リシュリュー(1839年)』にある台詞、
The pen is mightier than the sword.
に由来します。
ちなみに、エドワード・ブルワー=リットンは、満州事変の調査のため国際連盟が派遣したリットン調査団の団長を務めたヴィクター・ブルワー=リットンの祖父になります。
『ペンは剣よりも強し』の類義語、対義語
舌は刃より強い(エウリピデスー古代ギリシアの三大悲劇詩人の一人)
神の言葉は両刃の剣よりも鋭い(新約聖書:ヘブライ人への手紙)
剣をつけた多くの者がガチョウ羽のペンを恐れる(シェークスピア『ハムレット』)
※『ペンは剣よりも強し』のような認知度はありませんが、これらのような表現もあります。
※対義表現としては強引ですが・・・
実力行使(じつりょくこうし)
意味 ・・・ ある目的を達するために、話し合いによらず、武力や腕力などをもって実際の行動に出ること。
こんな場面で使おう!『ペンは剣よりも強し』
・ペンは剣よりも強しという言葉の通り、荒廃した時代に思想によって多くの人を魅了した偉人はたくさん存在する。
・私はペンは剣よりも強しという信念のもと、ジャーナリストになった。
・ペンは剣よりも強しと言うが、近年の写真週刊誌の行き過ぎた報道は目に余るものがある。
・独裁者と呼ばれるような者ほど、ペンは剣よりも強しという真実を恐怖に感じているものだ。
・我が社の弁護士の先生は、ペンは剣よりも強しと巨大な権力に臆することなく立ち向かってくれた。
『ペンは剣よりも強し』を英語で表現すると?
戯曲中にある『ペンは剣よりも強し』という台詞の原文になります。
The pen is mightier than the sword.
mighty ・・・ 力強い、強力な。
4,50年も昔の話ですが、マイティー井上というプロレスラーがいましたね。
まとめ
人類の歴史とは、言わば暴力の歴史と言っても過言ではないでしょう。
時の支配者たちは人を傷つけ、奪い、支配してきました。
『ペンは剣よりも強し』とは、そんな支配、暴力に立ち向かった人々のスローガンのようなもので、素晴らしい表現です。
ですが、近年のマスコミの行き過ぎた報道やSNSなどの過激な誹謗中傷を思うと、ペンは剣よりも鋭い刃のように思えてしまいますね。
是非この機会に私も、剣よりも強い力を持つ『ペン』の使い方を見直してみたいと思います。