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大河ドラマ『青天を衝け』近代経済の父・渋沢栄一と平岡園史郎の運命の出会いから、ことわざを学ぼう!
2021年12月、いよいよラストを迎える大河ドラマ『青天を衝け』ですが、一年間の放送期間を思い返してみると、つくづく渋沢栄一氏の数奇な運命に深い感慨を覚えます。
渋沢氏は武蔵国(現在の埼玉県)で藍玉の生産、販売を営む農家に生まれ、時流に乗って討幕を目論む尊王攘夷の志士となるも、一橋家家臣の平岡園史郎との出会いをきっかけに一橋慶喜(後の徳川慶喜)に仕えることになりました。
そして、慶喜が将軍となったことに伴い幕臣となり、フランス・パリで行われた万国博覧会に将軍の名代として出席するなど、大出世を果たします。
フランス在住の間に明治維新により幕府は新政府に政権を明け渡すことになりましたが、帰国後はフランスで学んだ先進国の経済学を存分に発揮して、渋沢氏は『近代経済の父』と評されるほどに、日本の商業、経済の発達に大きく寄与しました。
このような波乱万丈の人生において、もっとも大きな転機となったのは、やはり平岡園史郎との出会いでしょう。
討幕計画を企てたために幕府から追われる身となっていた渋沢氏を平岡氏は家臣として受け入れ、その資質を見出し、身分に関係なく登用しました。
劇中では堤真一さんが演じられていましたが、荒々しいべらんめえ口調の奥には、人としての温かみが見える気持ちのいい男でしたね。
そこから渋沢氏の人生は大きく好転していくのですが、評価すべきは、あの時代に農民出身の渋沢氏を蔑むことなく受け入れた平岡の柔軟性や度量の大きさ、またその資質を見抜いた眼力でしょう。
『大海は塵を択ばず』ということでしょうか。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『大海は塵を択ばず』
大海は塵を択ばず(たいかいはちりをえらばず)
意味 ・・・ 大人物は度量が大きくて、分け隔てなく人を受け入れることのたとえ。度量が広く人をえり好みしないたとえ。
『大海は塵を択ばず』の意味、由来
まず、『大海』とは文字通り『大きな海』を表しており、言わば海の大きさ、偉大さを称えたような言葉になります。
また、『塵』とは、ゴミやくずなどを表します。
大きな海は川から流れ込むゴミやくずなど、どんなものでも片っ端から受け入れます。
このことを人間関係、人と人との交流にたとえて、『大海は塵を択ばず』とは、
大人物は度量が大きくて、分け隔てなく人を受け入れることのたとえ。度量が広く人をえり好みしないたとえ。
という意味になります。
そして、室町時代の絵物語『御伽草子・浄瑠璃十二段草子』に、
「大かいちりをゑらまず、花は所をさだめぬもの、でいの中にもこがねあり」
とあり、当時には浸透していた表現と考えられます。
また、同じ意味を表す『河海は細流を択ばず(かかいはさいりゅうをえらばず)』、『泰山は土壌を譲らず(たいざんはどじょうをゆずらず)』という表現が、中国の前漢時代に司馬遷によって著された歴史書『史記』に見られることから、そこから派生して生まれたものと推測できます。
『大海は塵を択ばず』の類義語、対義語
大海は芥を択ばず(たいかいは芥をえらばず)
河海は細流を択ばず(かかいはさいりゅうをえらばず)
意味 ・・・ 大人物は度量が大きくて、分け隔てなく人を受け入れることのたとえ。度量が広く人をえり好みしないたとえ。
泰山は土壌を譲らず(たいざんはどじょうをゆずらず)
意味 ・・・泰山が小さな土くれでも受け入れて大きな山となったように、大人物はどんなに小さな意見でも取り入れて見識を高めていくというたとえ。
※泰山 ・・・ 中国・山東省にある名山。
対義表現としては・・・
申し訳ありません。
適切な表現が見つかりませんでした。
何か見つかれば追記致します。
こんな場面で使おう!『大海は塵を択ばず』を使った例文
・うちの社長はどんな若手社員の意見にも耳を傾けてくれる。まさに大海は塵を択ばずを絵にかいたような人物だ。
・大海は塵を択ばずということなのか、誰にでも分け隔てなく気さくに応じる彼のもとには、来客が後を絶たない。
・人の上に立つ者は、大海は塵を択ばずと心得ておくべきだ。
・大海は塵を択ばずというが、父は寄って来た者に裏切られてばかりで、見ているこっちが辛くなる。
・私の担任の先生は、大海は塵を択ばずといったように、違うクラスの生徒の相談にも積極的に応じてあげている。
『大海は塵を択ばず』を英語で表現すると?
英語にはこれらのような表現があります。
Sea does not choose a rill.
・海はどんな小川でもえり好みしない。
Sea refuses no river.
・海はどんな川も拒絶しない。
まとめ
古代ローマの哲学者・セカネは、
「愛されたければまず自分が愛しなさい」
と遺しました。
『大海は塵を択ばず』という言葉に通じるものがるように思います。
まずは、自ら受け入れ、理解しようとする気持ちを持つことが、度量の大きさなのでしょう。
人生を大きく左右するような人に、あなたはもう出会っていますか?