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2022年の年賀状はもう出しましたか?
私は毎年、年賀状に四字熟語を添えて新年の挨拶としています。
ちなみに、2021年は、コロナ終息を願って『一陽来復(よくない事の続いた後にいい事がめぐって来ること)』としたのですが、
2022年は、個人的な目標達成に重ねて、『臥薪嘗胆』としました。
というわけで私事ではありますが、今日のことわざは・・
今日のことわざ『臥薪嘗胆』
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
意味 ・・・ 復讐や目的を成し遂げるために苦労に耐えること。
『臥薪嘗胆』の意味、由来
馴染みの薄い漢字四文字で構成されていますが、『臥薪嘗胆』とは、『臥薪』と『嘗胆』、二つの熟語を並べた表現になります。
「臥薪」と、は固い薪(まき、たきぎ)の上で臥(ふ)せること。
臥せる ・・・ 寝る
「嘗胆」とは、苦い胆(きも)を嘗(な)めること。
という意味をそれぞれ持ちます。
そして、この二つの言葉には下記の故事に由来します。
中国・春秋時代、隣接する呉と越は争いを繰り返していました。
そんななかで、呉の国の王・闔呂(こうりょ)は越の国の王・勾践(こうせん)に敗れて命を落としました。
それ以降、闔呂の息子である夫差(ふさ)は、固い薪の上に臥して(寝て)、その痛みによって復讐の志を忘れないようにしながら、軍備を充実させていきました。
その結果、三年後に勾践を降伏させました。
その一方、勾践は夫差に敗北した屈辱を忘れないようにと、苦い熊の胆を嘗(な)めながら国の強化に努め、敗戦から20年後、満を持して呉に攻め込み、夫差の軍を大破したのでした。
つまり、夫差は臥薪(薪のうえで寝ること)することで、
勾践は嘗胆(苦い胆を嘗めること)することで、敢えて自らに苦痛、苦労を科したのでした。
いくらきれいに並べてたとしても、この上で寝るのは大変な苦痛ですね。
熊の胆嚢(たんのう)を乾燥させて作られたもので、中国では古来から消化器系全般の薬として用いられていたそうですが、見るからに苦そうですね。
そして、苦痛を感じる度に敗戦の屈辱を思い出し、復讐の誓いを絶やすことなく燃やし続けたということです。
この故事から『臥薪嘗胆』とは、
復讐や目的を成し遂げたりするために苦労に耐えること。
という意味になったのでした。
また、この故事の由来については、少し複雑で、『嘗胆』については非常に古く、前漢時代の歴史書『史記』に記述があるのですが、『臥薪』について、晋の時代になってから見られるようになったようです。
さらに「臥薪嘗胆」と、二つの故事が組み合わさって表現されるようになったのは、明の時代に著された史書『十八史略』に見られるものになります。
『臥薪嘗胆』の類義語、対義語
捲土重来(けんどちょうらい)
意味 ・・・ 一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すことのたとえ。
※正確な類義表現としては微妙ですが、『捲土重来を期す』と使えば、より近い意味合いになります。
再起不能(さいきふのう)
意味 ・・・ 失敗、敗北、挫折などから立ち直ることができない状態のこと。
※正確な対義表現としては微妙ですが、ニュアンス的に近いものとして挙げておきます。
こんな場面で使おう!『臥薪嘗胆』を使った例文
・昨年は大病を患い会社に大きな損失をもたらしてしまったので、今年は臥薪嘗胆の気持ちで会社に尽くしたいと思う。
・臥薪嘗胆の覚悟がなければ、大きな成功を掴めるはずがない。
・事業に失敗してできた多額の借金を返済していくのは、まさに臥薪嘗胆の日々だった。
・臥薪嘗胆の思いで過酷な練習に耐えた柔道選手は、2021年東京オリンピックで五年越しの雪辱を果たした。
・受験に失敗して浪人生となった彼は、臥薪嘗胆の思いで一年間猛勉強した。
比喩的な表現ではありませんが、英単語では、
persevere ・・・ 辛抱する、我慢する、屈せずにやり通す
熟語では、
endure hardships endure ・・・ 耐える。 hardships ・・・ 困難。
などと表せます。
英文にすると・・・
After persevering for three years, he finally passed the bar examination.
・三年間の臥薪嘗胆の結果、彼はついに司法試験に合格した。
まとめ
新年の挨拶とする四字熟語と言えば、まず『謹賀新年』ですね。
ですが、そればかりでは面白くありません。
せっかく日本人に生まれたんですから、新たな一年の抱負を表すような、自分らしい四字熟語を見つけ、新年の挨拶に添えてみるのはいかがでしょうか。