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先日、ニュースの記事で、『退職代行業者』という存在を知りました。
読んで字のごとく、退職(会社を辞めること)を、本人に代わって請け負ってくれるというサービスのようですが、20代の若者を中心に、それなりの需要があるのだそうです。
通常、退職するには、数か月前に上司に報告して、仕事の引継ぎをして、お世話になった関係者に挨拶回りをして・・・
などの固定観念があった私には、衝撃的なことでした。
就職先に恵まれず、ひどいブラック企業だったり、上司によるパワハラ被害を受けるなど、しかるべき理由で依頼する方もいるでしょうが、できることなら、『〇〇〇〇〇〇〇〇』ということわざのように、後腐れなく、きれいに退職したいものですね。
というわけで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『立つ鳥跡を濁さず』
立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず)
意味 ・・・ 後片付けをきちんとし、立ち去ったあとが見苦しくないようきれいにしなさいということ。
解説
『渡り鳥』と呼ばれる「水鳥」は季節の変化に合わせて、池や湖を転々を移動する習性がありますが、「立つ鳥」とは、「次の場所へ飛び立っていく鳥」、つまり「去っていく者」を指しています。
そんな習性を持つ水鳥が水辺から飛び立ったあと、水面が濁らずに清く澄んでいるということに由来することわざで、立ち去る者は、見苦しくないようきれいに始末をしていくべきという意味になります。
また、去った後の美しい光景から、引き際は美しく、潔くあるべきだという教訓としても使われます。
『卒業』『退職』『転勤』『別れ』などの『人生の節目』によく使われる非常に重要なことわざです。
サッカーワールドカップでの日本代表のきれいに片付けられたロッカールームが讃えられた際にも、『立つ鳥跡を濁さず』と表現されていますたね。
類義語 対義語
類義語
原状回復(げんじょうかいふく)
意味 ・・・ ある事情によってもたらされた現在の状態を、本来の状態に戻すこと。例えば、契約を解除した場合、契約締結以前の状態に回復させること。
自分で蒔いた種は自分で刈る(じぶんでまいたたねは じぶんでかる)
意味 ・・・ 自らの言動に対して自分で責任を負うことのたとえ。
対義語
後足で砂をかける(あとあしですなをかける)
意味 ・・・ 人から恩を受けたのに、それを裏切り、さらに迷惑をかけたり、恩知らずなことをしたりすること。
後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ)
意味 ・・・ 自分のことさえうまくいけば、後はどうなっても構わないという、無責任な態度を表すことば。
旅の恥はかき捨て(たびのはじはかきすて)
旅先では知っている人もいないし、長く留まるわけでもないので、普段ならしないような恥ずかしいことでも平気でやってしまうものだということ。
『立つ鳥跡を濁さず』ということわざのキーワードが『責任』ということから、このような類義語、対義語が挙げられますね。
こんな場面で使おう 例文
例文 遠足で行った公園から帰る前に、立つ鳥跡を濁さずということで、みんなで公園のそうじをすることになった。
例文 ずっとケンカしていたユミちゃんと仲直りしたくなったのは、私の転校が決まって、立つ鳥跡を濁さずという気持ちが強くなったからだった。
例文 夏の地区予選で敗退して、引退が決まった野球部の3年生は、立つ鳥跡を濁さずと、最後に部室をピカピカに掃除してくれた。
例文 理不尽な左遷を迫られ、悔しい思いでいっぱいだろうが、立つ鳥跡を濁さずと、熱心に仕事の引継ぎをする同僚に、私は心を打たれた。
例文 真剣に結婚を考えるほど彼女のことを愛していたが、夢を追いかける彼女の邪魔はできない。立つ鳥跡を濁さずの精神で身を引くことに決めた。
英語での表現は・・・
It is foolish bird that defiles its own nest.
巣を汚す鳥は愚かだ。
Cast no dirt into the well that gives you water.
井戸にごみを捨てるな。
直訳すれば、このような感じになりますが、後始末の悪さや無責任さを非難する表現として、『立つ鳥跡を濁さず』と同じような意味になりますね。
まとめ
武士の生き様に代表されるような、引き際の美しさとは、日本人の誇りであり美徳ですよね。
『立つ鳥跡を濁さず』ということわざは、そんな誇りや美徳が詰まったことわざです。
私たちも、美しく、潔く生きていきたいですね。
では、また明日・・・