慣用句

今日のことわざ『老い木に花咲く』の意味、由来、類義語、対義語、使い方、英語表現などをエピソード付きで徹底解説!

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世代交代の波に立ち向かうベテラン選手から、ことわざを学ぼう!

光あるところには影ができる・・・。

今年のプロ野球界でも若手選手の躍進が際立った一方で、思うような活躍できず大幅減給を受け入れて、来シーズンに進退をかけるベテラン選手が多くいるようです。

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2021年、リーグを制し日本シリーズで対決したヤクルト、オリックス両チーム共に若手主体のチームで、プロ野球界全体に世代交代の波が押し寄せてきている雰囲気があるのは否めませんが、ベテラン勢には奮起してもらいたいものですね。

大変失礼に聞こえる表現で恐縮ですが、『老い木に花咲く』ような活躍を期待しています。

今日のことわざ『老い木に花咲く』

今日のことわざ
 

老い木に花咲く(おいきにはなさく)

意味 ・・・ 一度衰えたものが、再び勢い盛んになることのたとえ。

『老い木に花咲く』の意味、由来

人間と同様に『木』にも寿命があります。若々しくたくましい時期を過ぎると、樹勢は衰えていき、最後には枯れ果ててしまいます。

そして、年老いた木は花を咲かせることも実を付けることもなくなっていきます。

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このことから、『老い木に花咲く』とは、

花を咲かせるはずがない老木が花を咲かせるということから、一度衰えたものが、再び勢い盛んになることのたとえ。

という意味になります。

そして、この表現は父・観阿弥と共に能を大成させた世阿弥が著した、能の理論書・『風姿花伝』の第一章『年来稽古条々(ねんらいけいこでうでう)』に由来するものになります。

『年来稽古条々』では、能役者としての稽古との向き合い方を、愛くるしさのある幼少期から、美しい少年期、声変わりや身体や心の変化が著しい思春期、思春期を終え、最も輝く青年期、気力、体力共に充実し、成熟を期する壮年期、役者の人生最後の老年期に至るまでを細かく7つの段階(年代)に分けて論じています。

そして、能役者の人生最後の段階、「五十有余(50歳以上」の老年期について、このように言及しています。

原文:「このころよりは、おおかた、せぬならでは手立てあるまじ。麒麟も老いては駑馬に劣ると申すことあり。さりながら、まことに得たらん能者ならば、物数は皆みな失せて、善悪見どころは少なしとも、花はのこるべし」

要約:こういう年齢になったら、およそ、「無理をしない」ということ以外に術はないであろう。

「麒麟も老いては駑馬に劣る」ということわざがある。

それはどうにもできない現実ではあるが、能を極めた者ならば、見どころが少なくなってしまっていたとしても、何かしらの「花」は残っているであろう。   

これに続いて、世阿弥は父・観阿弥が、50余歳で逝去する前に舞った能に以下のように評しています。

原文:『その日の申楽、ことに花やかにて、見物の上下、一同に褒美せしなり。およそその頃、物数をばはや初心に譲りて、やすき所を少な少なと、色へてせしかども、花はいや増しに見えしなり。これ、まことに得たりし花なるがゆゑに、能は、枝葉も少なく、老木になるまで、花は散らで残りしなり。
これ、目のあたり、老骨に残りし花の証拠なり』

要約:その日の能は一段と華やかで、見物した者は皆、身分の高きも賤しきも等しくこれを称賛した。

亡父は、その頃には、ほとんどの演目を私ども若いものに譲っており、自身は体に無理をかけずに控え目に舞っていたが、老いてなお花はいよいよ盛りに見えたものであった。

この花は、亡父がまことに会得した真実の花であったために、すでに枝も葉も少なくなった老木のようになっていても、花は散り失せずに残っていたのである。

これが、私が目の当たりにした「老いてなお残っていた花」のなによりの証拠である。

世阿弥が『風姿花伝』で説いたこの思想から、『老い木に花』という表現は生まれたと言われています。

『老い木に花咲く』の類義語、対義語

類義語
 

埋もれ木に花が咲く(うもれぎにはながさく)

枯れ木に花が咲く(かれきにはながさく) 

意味 ・・・ 一度衰えたものが、再び勢い盛んになることのたとえ。

捲土重来(けんどちょうらい)

意味 ・・・ 一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すことのたとえ。

対義語
 

盛者必衰(しょうじゃひっすい)

意味 ・・・ 勢いが盛んな者も必ず衰えるときがくるということ。

対義表現としては微妙ですが、近いニュアンスのものとして挙げておきます。

壇ノ浦の戦いで敗れた平家一門が祀られる赤間神宮

こんな場面で使おう!『老い木に花咲く』を使った例文

例文
 

・大幅減俸を受け入れて来期に進退をかけるベテラン選手には、老い木に花咲くような活躍を期待したい。

・休日はいつも寝てばかりだった父だが、少年野球チームのコーチになった途端、老い木に花咲くように何事にも活動的になった。

・長男が後を継いで以来、倒産寸前だった会社の業績は大いに盛り返し、めでたく老い木に花咲くこととなった。

・老い木に花咲くような老後を送りたいなら、何か趣味を見つけるべきだ。

・祖母が亡くなってから長い間塞ぎ込んでいた祖父だが、ディサービスの職員さんに恋をしたらしく、老い木に花咲くかのごとく元気になった。

『老い木に花咲く』を英語で表現すると?

英語では、これらのように表現できます。

The person who declined regains vigor again.

decline ・・・ 衰退する vigor ・・・ 気力、活力

・衰えたものが再び勢いを取り戻す。

A flower blooms to the tree which grew old.

bloom ・・・ (動詞として)花が咲く、開花する。

・老木に花が咲く。

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まとめ

世阿弥は『風姿花伝』を37歳の時に書き始めたと言われています。

年老いて死期が迫りつつも、美しく舞う稀代の能役者・観阿弥の姿に今後の自分を重ねながら、『老い木に花咲く』と悟ったのでしょう。

歳を重ねていくということは、愛くるしさ、美しさ、気力、体力など、多くのものを失っていくということです。

そんな人生の中で、老いて枯れ果ててもなお残るもの、咲く花、それがまさにその人の生き様であると世阿弥は言っているのではないでしょうか。

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