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全国各地での集中的な豪雨災害に引き続き、台風15号が首都圏を直撃し、大きな被害を受けられた方々もおられるかと思います。
心よりお見舞い申し上げます。
そんな中、不幸中の幸いか、近年頻発する重大な自然災害を教訓にして、市区町村などの自治体の対応も向上していると聞きます。
しかしながら、一部では、気象庁や市区町村が発令する警報、避難指示などがオーバーだという声もあるようで、まだまだ災害に対する意識が低い方もおられるようで、心配な一面もあります。
今日、2019年、9/9の時点で、新しい台風の卵は複数発生しており、油断できない状況です。
これくらい大丈夫だとか、避難するまでもないなど、自分で判断することなく、自分と、守るべき人の命を最優先して行動して下さい。
一生懸命に世話をした田畑のことや、大切にしている車など、気になることもあるでしょうが、一番大切なものは、あなたとあなたが守るべき人の命です。
背に腹は代えられません。
ということで、再び迫り来るかもしれない災害を悲しむことなく乗り越えていくために、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『背に腹は代えられぬ』
背に腹は代えられぬ(せにはらはかえらえぬ)
意味 ・・・ 差し迫った大事のためには、他を犠牲にすることもやむを得ないということ。
解説
『背に腹は代えられぬ』ということわざの由来は、刀を武器にして戦う武士の時代まで遡ります。
戦闘において、骨格に守られておらず、人体において重要な役割を持つ臓器が集中する腹部の傷は、極めて致命的なものとなります。
その一方、お腹の裏側に位置する背中は、骨格に守られ、腹部よりも臓器から離れているため、致命的な傷になる確率は低いですよね。
当然、戦いの場で、背中を守るために、代わりに致命的な傷に成りえる腹を犠牲にするようなことはできませんよね。
腹を切られて死に追いやられるくらいなら、自ら背中を差し出してでも生き延ようという覚悟を持って、戦いに挑んだことでしょう。
そういった理由から転じて、差し迫った大事のためには、他を犠牲にすることもやむを得ないということ、という意味になります。
また、『腹を切られてしまったら大変だが、背中ならまあいいか』というあっさりした諦めの気持ちではなく、『できることなら傷つきたくないが、腹を切られるくらいなら、背中を切られてでも腹をかばおう』というニュアンスで、このことわざのキーワードとしては、第一に『やむを得ず、仕方なしに』という言葉が当てはまります。
よくある間違え
よくある間違えとしては、『代えられぬ』を、『変えられぬ』と書いてしまうことが挙げられます。
『変える』とは、状態を変化させる、場所を移す ことを表し、
髪型を変える、ベッドの位置を変える などと使い、
『代える』とは、代用する、代理とする ことを表し、
命に代えても、社長に代わって などと使います。
ついでに、『替える』とすれば、同種の物といれかえる ことを表し、
出場メンバーを替える、シーツを替える などと使い、
『換える』とは、他の物ととりかえる、交換する ことを表し、
商品券をお金に換える、千円札を小銭に換える などと使います。
それぞれの熟語として代表的なものは、変化、代用、交代、換金 といったところですね。
ちなみに、野球での『代打』は、代わり打席に立つ という解釈のため、『替』でなく、『代』が使われます。
類義語 対義語
類義語
小の虫を殺して大の虫を助ける(しょうのむしをころしてだいのむしをたすける)
意味 ・・・ 重要なことを守るために、やむを得ず小さなことを、犠牲にすること。
大事の前の小事(だいじのまえのしょうじ)
意味 ・・・ 大きなことを成し遂げようとするときは、小さなことにも油断をせず、慎重にやれということ。大きなことを成し遂げるためには、小さなことを犠牲にしてもやむを得ないということ。
苦肉の策(くにくのさく)
意味 ・・・ 敵をあざむくために、自分や味方の犠牲も覚悟の上で行うはかりごと(作戦)。また、苦しまぎれに考え出した手段のこと。
対義語
武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ)
意味 ・・・ たとえ貧しくとも、気位を高く持つべきだということ。また、やせ我まんをすること。
対義語に関しては、毎度のこと絞り出した感が強く、少々強引ですが、 武士は食わねど高楊枝 ということわざの真意である『武士としての譲れない思い、プライド』を、 背に腹は代えられぬ の、『やむを得ないことであるが、妥協が必要である』という真意を反対の意味として考え、対義語に挙げました。
こんな場面で使おう 例文
例文 家族みんなは外食に出掛けたが、友人の結婚式までにあと3キロ痩せなければならない私は、背に腹は代えられぬと、家で留守番することにした。
例文 疲れが溜まってきているエースピッチャーを温存したかったが、ピンチを迎えた今、背に腹は代えられないので、急遽登板させることになった。
例文 友達から映画を観に行こうと誘われたが、宿題を全くやっていなかったぼくは、背に腹は代えられぬと、誘いを断って家で宿題をやらなければならなかった。
例文 このまま携帯電話の料金を払わなければ電話を止められてしまうので、背に腹は代えられぬと、お気に入りの洋服を売ることにした。
例文 些細なことで彼女を怒らせてしまい、別れるとまで言い出してしまったので、私が一方的に悪いとは思えなかったが、背に腹は代えられず、高級なバッグをプレゼントする羽目になってしまった。
英語での表現は・・・
Necessity hsa no law.
necessity ・・・ 必要性 law ・・・ 法律
直訳すると、『必要性は法律を持たない』となりますね。
つまり、必要に迫られた場合には、ルールなんか気にしてはいられない。
という感じの意味になり、『差し迫った大事のためには、他を犠牲にすることもやむを得ない』と同じような意味の表現になります。
Needs must when the devil drives.
ここでの、『drive』は「車を運転する」という意味ではなく(人を)駆り立てる、追いたてる」の意味となり、『悪魔が駆り立てる』 = 『誘惑』 とう感じの意味になります。
また、助動詞『must』の後には 『do』が省略されており、
『必要であれば、どうしてもせざるを得ない』というニュアンスの表現になります。
まとめ
武士が熾烈な戦いの中を生き抜いてきたように、私たちもこの時代の荒波の中を生き抜いていかなければなりません。
自分の思い通りにはいかず、やむを得ず、泣く泣く、犠牲を払わなければならないことも多いでしょう。
取捨選択(しゅしゃせんたく)
意味 ・・・ 多くの中から不要なものを捨て、必要なものを選びだすこと。
ということわざの漢字の並びから分かるように、選択する、何かを選ぶということは、何かを捨てるということです。
長い人生、断腸の思いを持って、苦渋の決断をしなければならない時もあります。
その時のために、何が最も大切で、何を最優先して考え、守るべきなのかを日頃から自問自答することが必要です。
『背に腹は代えられぬ』の『腹』とは、自分にとって何なのか、この機会にじっくい考えてみてはいかがでしょうか?
では、また明日・・・