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2021年『M-1グランプリ』から、ことわざを学ぼう!
2021年、今や年末の風物詩となった№1漫才師を決定する『M-1グランプリ』ですが、今年はベテランコンビ、『錦鯉』が優勝を果たしましたね。
『M-1』は若手漫才師の登竜門と言われる大会で、これまで『M-1』活躍した芸人さんは、それをきっかけに大きく飛躍していきました。
また一方で『M-1』の発案者である島田紳助氏は、
芸能の世界は甘いものではなく、努力したからといって誰もが成功できるわけではない。
出場者の芸歴に制限を設けたのは、芽が出ない人には次のステージへ人生の舵を切るきっかけにして欲しいからだ。
とも過去に語っていました。
ですが、今回優勝した『錦鯉』は、コンビ歴こそ短いものの、なんと43歳と50歳のベテラン芸人でした。
若手漫才師の登竜門といわれる『M-1』を、超ベテランの『錦鯉』が制するなんて、まさに鯉が黄河上流の急流の滝・登竜門を昇って龍になるという伝説のようですね。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『鯉の滝登り』
鯉の滝登り(こいのたきのぼり)
意味 ・・・ 立身出世のたとえ。また、勢いのよいことのたとえ。
『鯉の滝登り』の意味、由来
『鯉の滝登り』とは、古代から中国に伝わる、黄河上流にある竜門の滝と呼ばれる急流を登りきった鯉は、龍と化すという伝説に基づく表現で、
立身出世のたとえ。また、勢いのよいことのたとえ。
という意味を持つ故事成語になります。
このことから、鯉は古代から縁起物として親しまれてきました。
5月5日の端午の節句に鯉のぼりを揚げる日本独自の文化も、『男児の成長と出世を願う』という概念から始まったものになります。
そして、由来となる故事は、中国後漢朝について書かれた歴史書『後漢書ー党錮列伝・李膺伝』にあります。
是時朝廷日亂、綱紀頽地、膺獨持風栽、以聲名自高。士有被其容接者、名為登龍門。
是の時朝庭日に乱れて、綱紀穨阤す。膺独り風裁を持し、以て声名自ずから高し。士の其の容接を被むる者有れば、名づけて登竜門と為す。
要約:当時、朝廷は日に日に乱れ、規律が崩れていくなか、李膺(りよう)という官僚だけが品格を保ち、自らの名声に相応しい品位を保つよう努めていた。そのような李膺に認めらた者がいると、「龍門に登った」と言われ、みな出世の道を歩むこととなった。
そして、秦・漢王朝の関中の山や川などの地理的環境について記した書・『三秦記』からの注釈を添え、
河津一名龍門、水險不通、魚鼈之屬莫能上、江海大魚薄集龍門下數千、不得上、上則為龍也。
河津、一名龍門、水險しく通ぜず、魚鼈の屬、能く上るもの莫し、江海の大魚龍門の下に薄り集うもの數千、上るを得ず、上れば則ち龍と為る。
要約:注に引く『三秦記』に、次のようにある。河津は一名(またの名)を龍門とも言い、凄まじい急流で、魚やすっぽんのたぐいでそこを登ることができるものはない。川や海の大魚が数千匹もこの龍門の下に群がって来るが、登りきれるものはなく、もし登りきれたならば、その魚は変じて龍となるのだ。
この故事から、『登龍門』、それに加えて『鯉の滝登り』という故事成語が生まれたのでした。
登竜門(とうりゅうもん)
意味 ・・・ そこを突破すれば出世につながる、難しい関門のたとえ。
鯉の滝登り』の類義語、対義語
功成り名遂げる(こうなりなとげる)
意味 ・・・ 努力を積み上げ成功し、有名な人物になること。
梲があがらない(うだつがあがらない)
意味 ・・・ なかなか思うように出世しないこと。生活がよくならないこと。
金槌の川流れ ( かなづちのかわながれ)
意味 ・・・ 金槌は頭が重く水中で頭が上がらないことから、下積みで出世の見込みがないこと。
※『及ばぬ鯉の滝登り』という表現もありますが、対義的な意味合いではありません。
及ばぬ鯉の滝登り(およばぬこいのたきのぼり)
意味 ・・・ いくら頑張っても、目的を達成することは不可能であるということ。
こんな場面で使おう!『鯉の滝登り』を使った例文
・総務部から営業部へ移動してから彼は目覚ましい活躍をして、鯉の滝登りのごとく出世していった。
・機会を待ってばかりでは、鯉の滝登りのような躍進はないだろう。
・こんな小さな村に生まれて、上場企業の社長になるなんて、彼はまさに鯉の滝登りを成し遂げたと言えるだろう。
・野心の強い部長は、入社当時から胸の内に鯉の滝登りを掲げていたそうだ。
・歌手の付き人から始めて、紅白出場歌手にまでなるなんて、まさに鯉の滝登りだ。
『鯉の滝登り』を英語で表現すると?
比喩的な言い回しではありませんが、
successful career ・・・ 立身出世
great を付けてもいいですね。
英文にすると、
He made a great successful career.
まとめ
幼い頃から広島カープの大ファンの私は、
と不思議に思っていたものです。
カープというチーム名の由来は諸説あるようですが・・・