目次
横綱・白鵬の復活の全勝優勝と相撲界から、ことわざを学ぼう!
6場所連続の休場明けからの出場で注目が集まっていた横綱・白鵬ですが、千秋楽で大関・照ノ富士との全勝決戦を制し、通算45度目の優勝を飾りました。
長らく実戦から離れていたことに加えて、万全ではない手術した右ひざの状態、36歳という年齢的な問題など、多くの不安材料をはね退けての全勝優勝は讃えられるべきことだ・・・
と私個人的には思うのですが・・・。
14日の大関・正代戦で見せた奇襲(仕切り線から目いっぱい遠ざかっての立ち合い)や、千秋楽の照ノ富士戦での、強烈なかちあげや張り手といったラフな相撲に批判が集まり、休場明けでの全勝優勝という快挙に一定の評価は得たものの、祝福ムードには程遠いようでした。
確かに、真正面から相手を受けて立つ堂々とした『横綱相撲』とは言えない内容でしたが、プライドをかなぐり捨ててでも勝つことに執着した白鵬に、私を含め心を動かされた方も多いのではないでしょうか?
相撲という競技は日本の国技であり、古くから神聖なものだと位置付けられています。
そのため、力士、特に横綱ともなれば求められることも多くあります。
ですが、現在の相撲人気を思うと、このままでいいのかと感じざるを得ません。
相撲の『す』の字も知らないド素人な私の勝手な意見で賛否あるでしょうが、
素直に白鵬の全勝優勝を讃えられない相撲界には、少し残念な気持ちになりました。
このまま古いしきたりや決まり事ばかりにこだわっていれば、相撲人気は下降の一途をたどるのではと、不安になってしまいます。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『株を守りて兎を待つ』
株を守りて兎を待つ(かぶをまもりてうさぎをまつ)
意味 ・・・ 古い決まり事や過去の偶然上手くいった経験にこだわって、進歩がなかったり、融通が利かないことのたとえ。
『株を守りて兎を待つ』の意味、由来
『株を守りて兎を待つ』とは、中国の戦国時代末期の韓の思想家である韓非(または韓非子)が著した『韓非子』にある故事に由来する表現になります。
『韓非子』は、20巻55編で構成されており、その中の『五蠧(ごと)篇』にこのような故事(逸話)があります。
春秋時代の中国、ある日、宋という国の農夫が畑を耕していると、近くにあった木の切り株に、一匹の兎(うさぎ)が走って来てぶつかり、死んでしまいました。
苦労もなく兎(うさぎ)を手に入れた農夫は、その日以来、畑を耕すのをやめて、その切り株の番をして再び兎がやって来るのを待つようになりました。
しかし、そのようなことは一向に起こらず、農夫は国中の笑い者になってしまいました。
そして、この逸話は、かつての偉大な王たちの政治を現在の社会に復活させようと主張する人々を批判するたとえ話として書かれたものになります。
真意としては、
昔の政治がうまくいったからといって、それを時代が変わった現代に当てはめようとするのは、兎がもう一度、切り株にぶつかるのを待つ農夫のような愚行である。
ということになります。
このことから、『株を守りて兎を待つ』とは、
古い習慣や過去に偶然成功した経験にこだわり、いつまでも進歩がなかったり、融通がきかないことのたとえ。
という意味になったのです。
また、漢字四文字で『守株待兎(しゅしゅたいと)』、漢字二文字で 『守株(しゅしゅ)』とも表すこともできます。
『株を守りて兎を待つ』の類義語、対義語
柳の下にいつも泥鰌はいない(やなぎのしたにいつもどじょうはいない)
意味 ・・・ 一度うまくいったからといって、次も同じ方法で幸運が得られるとは限らないということ。
二匹目の泥鰌(にひきめのどじょう)
意味 ・・・ 一度成功を収めた人や物事に準じて後釜になろうとすること、あるいは既存のものを真似して作られたものなどを意味する表現。
創意工夫(そういくふう)
意味 ・・・ 新しく考え出し、それを行うためのよい方法をあれこれ考えること。
臨機応変(りんきおうへん)
意味 ・・・ その時、その場に応じて適切な処置をとること。
こんな場面で使おう!『株を守りて兎を待つ』を使った例文
・株を守りて兎を待つような戦略では、この業界で生き残ることなどできないだろう。
・過去の栄光にとらわれて、株を守りて兎を待つだけの人間にはなりたくないものだ。
・歳を重ねるにつれて、株を守りて兎を待つようになってしまう傾向がある。
・株を守りて兎を待つようなことはやめて、時代に合った新しいことを試みるべきだ。
・現代は移り変わりの激しい時代だから、株を守りて兎を待ってばかりでは、あっという間に忘れ去られてしまう。
・株を守りて兎を待つ体質が抜けない役員たちを一掃し、我が社は新たな一歩を踏み出した。
『株を守りて兎を待つ』を英語で表現すると?
比喩的な表現ではありませんが、
lack of innovation
と表せます。
lack ・・・ 不足、欠如
innovation ・・・ 新たな考え方や技術を取り入れて、革新や変革をもたらすこと。
まとめ
年齢的に限界のあるスポーツの世界では、『引き際は美しくあれ』という日本人特有の美学が根強くありますが、ボロボロになってでも戦う姿にも見る者を感動させる力があると思います。
プロ野球で言えば、自分の投球ができなくなったという理由で、まだまだ活躍できる力がありながら引退を決意した江川卓氏の潔さと、怪我に悩まされながらも、もう一度マウンドに上がることを夢見て現役にこだわった松坂大輔氏の執念といったところでしょうか。
白鵬にも、もうひと頑張りして、角界に一石を投じてもらいたいものです。
一石を投じる(いっせきをとうじる)
意味 ・・・ 新しい問題を投げかけ、反響を起こすことのたとえ。