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ラグビーワールドカップ日本開催を記念しまして、今日もラグビーにちなんだ、いや、強引にも結び付けたことわざを紹介してきます。
ラグビーというスポーツは、15人のメンバーでチームが構成されますが、他のスポーツとの大きな違いは、メンバーの数の多さに加えて、それぞれの選手たちの体格差にあります。
筋骨隆々の大柄な選手がいれば、
それよりさらに重厚な身体のプロレスラーのような選手もいます。
それに対してすばしっこそうな小柄な選手や
サッカー選手のような均整の取れたシュッとした選手もいます。
ラグビーは、まさに千差万別な体格のメンバーでチームが構成されています。
千差万別(せんさばんべつ)
意味 ・・ 多くのものに、様々な違いがあること。
その理由は、ラグビーというスポーツの戦略においての、細かい役割に関係しているのです。
特別に体格に恵まれた選手は、基本的にフォワード陣に多く、プロップ、ロック、フランカーなどというポジションにつき、スクラムを組んだ時は、屈強な身体をぶつけ合い、前へ前へと押し合います。
上の画像のようにスクラムによって試合が再開される時、真ん中からボールを転がして入れているのは、スクラムハーフというポジションで、フォワードとバックスを繋ぎ、攻撃の糸口を作ります。
また、上の画像のようにもみくちゃになった時には、スクラムハーフが駆け付け、ボールを受け取り、再び攻撃を仕掛けるためのパスを出します。
ということで、スクラムハーフは、瞬発的なパワーよりも機敏さや圧倒的なスタミナが求められるため、小柄な選手の活躍が目立ちます。
ちなみに日本代表のスクラムハーフ、田中史朗選手は、166㎝、70数キロの体格で、『小さな巨人』というニックネームが付いています。
また、チームをコントロールし、試合を支配する司令塔のポジションは、スタンドオフで、体格以上に試合の流れを読むラグビーセンスや、的確な判断力が最も重要視されます。
2016年に53歳という若さで他界した、ミスターラグビーこと、平尾誠二さんも、代表で長くスタンドオフを務めました。
そして、フォワード陣がもぎ取り、死守したボールを、スクラムハーフやスタンドオフなどの選手から受けて、トライを決めるのは、主にバックス陣のウィングというポジションなどで、何よりも足の速さと、ボールを抱えての突破力が必要になってきます。
そのため、日本人選手の場合は、サッカー選手のようなシュッとした体格の選手が多く、女性人気が高い選手が目立ちます。
まだその他にも、センター、フルバック、ナンバーエイトなどのポジションがあり、それぞれが重要な役割を担っています。
チームの戦略、個々の個性などを踏まえて、様々なタイプの選手で、15人のチームが構成されているのです。
というわけで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『適材適所』
適材適所(てきざいてきしょ)
意味 ・・・ その人の才能や能力にふさわしい地位や任務を与えること。
解説
ここでの『材』とは、『人材』で、『所』は、『地位』や『任務』のことを表し、
適した人材を、適した(能力を発揮できる)所(地位や任務)に配置するという意味で、それを漢字四文字で表現しています。
『材』という漢字が使われている由来としては、建物を建てたり、家具を作る際に組み合わせて使われる『木材』の『材』に由来するそうです。
ここからは私の想像で失礼しますが、現代では木材の種類、サイズも豊富で、さらに釘や金具、木工用ボンドなどを使えば、木材を組み合わせることなど簡単なことですが、昔の寺や神社などの大きな建物、さらには特殊な形状の神社の鳥居までも、釘などを一本も使わずに建てられたといいます。
限られた木材を組み合わせ、あのように立派で何百年経った今でも現存する建築物を建てることは、突出した技術がなければ不可能で、非常に困難なことだったことでしょう。
そんな中、木材選び、組み合わせ(どの木材をどこでどのように使うか)を見極めることは、最も重要な技術だったと推測できます。
同様に、人事についても全く同じことが言えますよね。
何かの才能に恵まれた人を、全く違う分野の地位につけても、宝の持ち腐れになってしまい、もったいないですし、その人のモチベーションも上がらないですよね。
また、そのような人事は、組織としても大きな損害になってしまいます。
宝の持ち腐れ(たからのもちぐされ)
意味 ・・・ 役に立つものや、優れた才能があるのに、それを活用しないことのたとえ。
それが由来となり、『適材適所』という表現が生まれたのではないでしょうか?
注意点としては、ここでの『材』は、あくまで『人材』で、『物』ではありません。
よって、部屋の模様替え、キッチンの配置などを整えるといったことを表現するのは誤りですので、注意しましょう。
類義語 対義語
餅は餅屋(もちはもちや)
意味 ・・・ 物事は、その道の専門家が一番なので、それぞれの専門家に任せるのがいいということ。
水を得た魚のよう(みずをえたうおのよう)現代では、『うお』は『さかな』とも読まれます。
意味 ・・・ 自分に合った、活躍できる場所で、生き生きとする様子。
陸に上がった河童(おかにあがったかっぱ)
意味 ・・・ 力のある者が、環境によっては、まったく無力になってしまうこと。困ってしまって意気地がなくなってしまっている様子。
水を離れたる魚(みずをはなれたるうお)
意味 ・・・ 頼みとするものを失い途方にくれることのたとえ
陸にふせる亀(おかにふせるかめ)
意味 ・・・ 頼みとするものを失い途方にくれることのたとえ。
ここで、正しくは、『魚』を『うお』と読むことについて言えば、古くは『魚』は『うお』と読まれ、『さかな』は漢字で『肴』と書いていたことによります。
こんな場面で使おう 例文
・ラグビーというスポーツは、適材適所の選手起用が勝敗の鍵を握るものだ。
・上司の大切な仕事の一つとして、部下の特性を見抜き、適材適所な仕事を振り分けることが挙げられる。
・我が社は社員数は少ないが、適材適所でそれぞれの地位にその道のエキスパートがいるので効率が非常によく、経営状態はすこぶる良好だ。
・本来研究者肌で能力も高い彼を、このまま営業部においておくのは、適材適所に反し、会社にとって大きな損害だと私は考える。
・適材適所と言って好きなことばかりやらていたら、彼の開発者としての能力はさらに向上していくだろうが、社会人としての視野は広くならず、これ以上の出世は叶わないだろう。
英語での表現は・・・
Right person, right job.
righ ・・・ 正しい、適切な job ・・・ 仕事
直訳すれば、適した人に、適した仕事を。 となり、『適材適所』と同じような表現になりますね。
まとめ
仕事にしてもスポーツにしても、誰もが最も輝ける場所、瞬間というものがきっとあります。
人の長所は時には短所になり、自分が欠点だと感じていることは、時には強みとなります。
人を生かすも殺すも、仕事では上司であり、スポーツでは指導者なのかもしれません。
ですが、自ら試行錯誤して個性、特性を見つけ、さらにはそれをアピールしていくことも大切なことでしょう。
あなたが最も輝ける場所が見つかりますように・・・