ことわざ

今日のことわざ『渇して井を穿つ』の意味、由来、類義語、対義語、使い方、英語表現などをエピソード付きで徹底解説!

スポンサーリンク

中田翔選手の電撃無償トレード!日本ハム球団の遅すぎた対応から、ことわざを学ぼう!

 日本ハム球団が8/31日、公式サイトで、中田翔内野手を謝罪機会のないまま巨人にトレード移籍させたことを謝罪する文を発表しました。

チーム内での後輩選手への暴行が明るみになった中田選手は8/20日に無償トレードで巨人へ移籍し、翌日から1軍昇格し公式戦に出場していましたが、本人からの謝罪や説明は日本ハム在籍中にはありませんでした。

また、日本ハムが課した11日からの無期限出場停止処分が何もなかったかのように解禁したことに批判の声の声が集まっていました。

SNSなどでは、

対応が遅すぎる!

という批判や

ちゃんと会見すべきだ

という意見など厳しい声が相次いでいるようです。

まぁ、当然と言えば当然の結果でしょうね。

このご時世、ただ臭い物に蓋をしただけのトレードで丸く収まるわけがありません。

球団の対応が遅すぎますね。

渇して井を穿つとは、まさにこのことでしょう。

というわけで今日のことわざは・・・

今日のことわざ『渇して井を穿つ

今日のことわざ
 

喝して井を穿つ(かっしていをうがつ )

意味 ・・・ 必要に迫られてから慌てて準備をしても、間に合わないことのたとえ。判断や対処の遅れをいう。

※『井』は『せい』とも読みます。

『渇して井を穿つ』の意味、由来

まず、『渇する』とは、喉が渇くという動詞で、『井』とは、『井戸』を指します。

そして、『穿つ』という動詞は、 穴をあける。掘る。また、突き通す。貫く。などの意味を持ちますので、文字通り解釈すれば、

『喉が渇いてから井戸を掘る』 となります。

喉が渇いてから水を求めて井戸を掘ろうとしても、すぐに水が沸き出てくるはずもなく、もう手遅れですよね。

このことが転じて、『渇して井を穿つ』とは、必要に迫られてから慌てて準備をしても、間に合わないことのたとえ。という意味になります。

そして、このことわざは中国最古の医学書『 『黄帝内経ー素問』にある一節に由来します。

『素問ー四気調神大論第二』には、このようにあります。

 

是故聖人不治已病治未病、不治已乱治未乱、此之謂也。

夫病已成而後薬之、乱已成而後治之、譬猶渇而穿井、闘而鑄錐、不亦晩乎。


通釈 ・・・ また聖人といわれるほどの人は、完全に発病してしまった患者を治療するのではなく、発病するであろうと予測したうえで、先手を打って治療を施すものである。

また、このことを政治にたとえれば、世の中が乱れに乱れてしまってから手を打つのではなく、世の中が荒れることを前もって察知して、未然に防ぐように政治を行うものである。

そもそも、完全に病になりきった後になってから、どんなに良薬を与えても、あるいは乱世になってしまた後でどんなに善政を布いても、すでに手遅れである。

それは、喉が渇いてたまらなくなってから、慌てて井戸を掘ったり、戦が始まってから、慌てて武器をつくったりするようなもので、これが手遅れでないとどうしていえるだろうか。

ここにある『譬猶渇而穿井(譬えば猶(ナオ)渇(カッ)して而(シカ)して井(セイ)を穿(ウガ)ち

この一節から、『渇して井を穿つ』ということわざが生まれたのでした。

また、中国・前漢の学者、政治家での劉向(りゅうきょう)がまとめた歴史故事・説話集『説苑(ぜいえん)巻十二 奉使』にも、

飢而求黍稷,渴而穿井者 

飢えて黍稷を求め 渇して井を穿つ

訳:飢えていると時にキビ(穀物)を求め、喉が渇いてる時に井戸を掘る。

と収められています。

『渇して井を穿つ』の類義語、対義語

類義語
 

渇に臨みて井を穿つ(かつにのぞみていをうがつ)

飢えに臨みて苗を植える(うえにのぞみてなえをうえる)

意味 ・・・ 必要に迫られてから慌てて準備をしても、間に合わないことのたとえ。

泥棒を捕らえて縄を綯う(どろぼうをとらえてなわをなう)

意味 ・・・ 事が起きてから慌てて準備を始めることのたとえ。

対義語
 

転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)

意味 ・・・ いざという時でも安心なように、用心して準備しておくことのたとえ。

備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)

意味 ・・・ 普段から準備をしておけば、いざというとき何も心配がないということ。

濡れぬ先の傘(ぬれぬさきのかさ)

意味 ・・・ 失敗しないように前もって準備をしておくことのたとえ。

こんな場面で使おう!『渇して井を穿つ』を使った例文

例文
 

・今まで好き勝手やっておいて今さら助けてくれなんて、喝して井を穿つで、誰も手を差し伸べてはくれないだろう。

・夏休みも残り3日、今さら宿題を終わらせようとしても、喝して井を穿つで間に合うはずがなかった。

・味覚や嗅覚に異変を感じてから自粛したって、喝して井を穿つというものだ。

・あの時すぐに私の方から謝っておけば、彼女との関係は修復できたかもしれない。今となっては喝して井を穿つで、修復は不可能だろう。

・健康診断が近づいたからといって禁酒をしても、喝して井を穿つというものだ。

『渇して井を穿つ』を英語で表現すると?

英語にはこれらの比喩的表現があります。

Shutting the stable door after the horse has bolted.

stable-door ・・・ 馬小屋の扉 bolt ・・・ 飛び出す、駆け出す

馬が飛び出していった後で馬小屋の扉を閉める。 

To dig a well to water a weak plant.

well ・・・ 名詞として、源泉、緯度という意味もあります。

弱った植物に水をやるために井戸を掘る。

スポンサーリンク

まとめ

『渇して井を穿つ』とは、判断や対応の遅れを戒め、日頃からの準備の大切さを諭す教えです。

こんなにいい言葉があるにもかかわらず、現実では、いざとなってみないと、痛い目に合わないとわからないものです。

コロナの猛威、度重なる自然災害、渇して井を穿つことにならないように、頭に入れておきたいですね。

関連記事

  1. 今日のことわざ『月夜に釜を抜かれる』の意味、由来、類義語、対義語…
  2. 今日のことわざ『継続は力なり』の意味、由来、類義語、対義語、使い…
  3. 今日のことわざ『酒は百薬の長』意味、由来、対義語、類義語、使い方…
  4. 今日のことわざ『郷に入っては郷に従え』の意味、由来、類義語、対義…
  5. 今日のことわざ『模範は訓言よりも力強い』の意味、由来、類義語、対…
  6. 今日のことわざ『商いは山椒の皮』の意味、由来、類義語、対義語、使…
  7. 今日のことわざ『死人に口なし』の意味、由来、類義語、対義語、使い…
  8. 今日のことわざ『鳴かぬ蛍が身を焦がす』の意味、解説、由来、類義語…

最近の投稿

PAGE TOP