故事成語

今日のことわざ『読書百遍義自ずから見る』の意味、由来、類義語、対義語、使い方、英語表現などをエピソード付きで解説

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芥川賞、直木賞からことわざを学ぼう!

第162回芥川賞と直木賞の発表がありましたね。芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。

どころで、芥川賞と直木賞の違いをご存知ですか?

芥川賞と直木賞の大きな違いをざっくり言いますと、芥川賞は純文学系の作品直木賞は大衆文学(エンタメ系)の作品が対象となる文学賞です。

エンタメ系ならストーリーに入りやすく、読書が進みますが、純文学作品はなかなか入り込めず、ページが進まなくなることが多々あるのは私だけではないでしょう。

今回の芥川賞受賞作品はまだ読んではいませんが、『背高泡立草』という謎のタイトルだけで、正直少し腰が引けてしまいます。

ですが、純文学作品というものは、心理描写、状況描写などを言葉巧みに表現してあり、ことわざと通じるようなところもあると思います。

『読書百遍義自ずから見る』ということわざもありますし、食わず嫌いはせず、読んでみましょうかね。

食わず嫌い(くわずぎらい)

意味 ・・・ 食べもしないで好ききらいをいうこと。転じて、やってもみないで物事をだめだと決めつけること。

というわけで、今日のことわざは・・・

今日のことわざ『 読書百遍義自ずから見る』

読書百遍義自ずから見る(どくしょひゃっぺんぎおのずからあらわる)

意味 ・・・ どんなに難しい本や文章でも、何度も繰り返して読めば自然と意味がわかるようになるものだということ。

『 読書百遍義自ずから見る』 の意味

漢字だらけでお経か漢文のようで分かりにくいので、単語で区切って、意味を解説していきます。

読書 ・・・ そのまんまの意味で、『本を読むこと』という意味です。

百篇 ・・・ 『百篇』とは、何度も繰り返すという意味になります。(切りのいい100という数字をが、何回もという意味として使われています。『百聞は一見にしかず』ということわざで、『百』という数字を『何回も、多く』というたとえとして使われているのと同じ感じですね。

聞は一見にしかず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)

意味 ・・・ 何度も人から話を聞くよりも、たった一度でも自分の目で見る方が確かだということ。

 ・・・ 『意味、道理』 という意味です。

自ずから ・・・ 『自然に、知らないうちに』という意味です。

毎日包丁を使っていると、自ずと(おのずと)上手になっていった。といった感じに使われたりしますよね。

見る(あらわる) ・・・ ここでの『見る』は、『あらわる』と読み、表に出る、知らせる という意味です。

というわけで、どんなに難しい本や文章でも、何度も繰り返して読めば自然と意味がわかるようになるものだという意味になります。

また、分からないからといってすぐに他人に頼る前に、まず自分でしなさいという戒めとしての意味もあります。

このような単語の成り立ちから、音読する際には、

読書百遍/義/自ずから見る

と区切って読むのが正しい読み方になります。

読書百遍義自ずから見る』の由来

読書百遍義自ずから見る』とは、中国の歴史書、『三国志・魏志』董遇伝・裴松之注 にある故事に由来することわざになります。

『三国志・魏志』董遇伝・裴松之注 と、出典が長々としていますが、最後の文字の『注』とは、資料や文献の出典を示す言葉で、現代で言う『引用』のような言葉になります。

つまり、『三国志・魏志』という歴史書を基に、裴松之(はい しょうし)という歴史家が、後にまとめなおした書物ということです。

『三国志・魏志』董遇伝・裴松之注 には、

三国時代の中国(魏)に、常に本を持っているほどに勉強熱心な董遇(とうぐう)という学者がいました。

そんな董遇の元に、直々に学びたいと弟子入りを申し込んだ者に対して、董遇は「読書百篇、義自ら見わる」と言って断った。

という故事があります。

つまり、董遇が伝えたかったこととは、どんなに難しい本や文章でも、何度も繰り返して読めば自然と意味がわかるようになるものだから、どんなに難しいことでも、何度も何度も繰り返し学ぼうと努力すれば、自然と意味がわかってくるはずだ。

だから、かんたんに人に教えを乞うのではなく、自分でわかるまでやってみなさいということだったのでしょう。

『 読書百遍義自ずから見る』 の類義語、対義語

類義語

類義語

読書百遍意自ずから通ず(どくしょひゃっぺんぎおのずからあらわる) 

意味 ・・・ どんなに難しい本や文章でも、何度も繰り返して読めば自然と意味がわかるようになるものだということ。

『義』を『意』、『見る』を『通ず』と変えた言い回しもあります。

対義語

対義語

申し訳ありません。

適切な対義語が見つかりませんでした。

何か見つかれば追記致します。

こんな場面で使おう『 読書百遍義自ずから見る』を使った例文

例文 純文学作品によくあるくどい言い回しが苦手で、あまり意味がわからなかったが、読書百遍義自ずから見るで、何度も読んでいると、すんなり入ってくるようになった。

例文 読書百遍義自ずから見るというのだから、すぐに人に聞くのではなくて、自分で何とかしようと努力すべきだ。

例文 読書百遍義自ずから見るということわざがあるように、たくさんの本を流し読みするより、一冊の本を繰り返し熟読する方が、身に付くことは多いだろう。

例文 会社で導入した機械の分厚い説明書は専門用語ばかりで最初は訳が分からなかったが、読書百遍義自ずから見るで、繰り返し読んでいくと少しずつ使い方がわかってきた。

例文 灘中学の国語教師だった橋本武先生の、『銀の匙』を3年間かけて徹底的に読み解くという授業方針は、まさに読書百遍義自ずから見るを体現したものだろう。

『 読書百遍義自ずから見る』を英語で表現すると・・・?

Repeated reading makes the meaning clear.

※make が目的語を二つ持つ文系ですね

直訳すると、

(繰り返し読むことは、その意味を鮮明にする。)

つまり、

(くり返し読めば意味がはっきりしてくるものだ。)

となり、『読書百遍義自ずから見る』と同じ意味の表現になりますね。

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まとめ

例文でも取り上げましたが、名門・灘中学校の国語教師だった、橋本武先生は、長年に渡り、中学の三年間の授業を、『銀の匙』(中勘助著)一冊を徹底的に読み解くことに費やしてきたそうです。

私はその話を聞いた時、まさに、『読書百遍義自ずから見る』を体現した教育方針だと、唸ったのをはっきり覚えています。

多くの本を読んで広い知識を身に付けることも大切なことですが、一冊の本をとことんまで読み込むことも大切なことです。

そんな一冊があれば、人生はより豊かになりそうな気がしますね。

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