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2021年春ドラマ『リコカツ』から、ことわざを学ぼう!
2021年春の新ドラマとしてスタートした北川景子さん、永山瑛太さん主演の『リコカツ』ですが、離婚という暗いテーマの作品ながら、コメディー的な要素もふんだんに取り込まれており、すでに第二回放送終了時で大きな反響を呼んでいるようです。
あらすじを簡単に紹介しますと・・・
運命的?な出会いを果たし交際ゼロ日で結婚した水口咲(北川景子)と緒原紘一(永山瑛太)、幸せな新婚生活が始まると思われましたが、大きく異なる家庭環境で育った二人は、生活習慣や価値観の違いで意見が食い違い、新婚早々離婚を決意するということから物語はスタートします。
近年、結婚に向けての活動として『婚活』という言葉が一般的になっていますが、こちらは離婚に向けての活動で『リコカツ』というわけです。
暗く重たいイメージを払拭するためにタイトルをカタカナ表記にしたのでしょうかね。
そして4/23日に放送された第2回では、離婚を決意したものの共同生活を送る中で悪い面だけでなく、少しずつお互いのいい面も見えてきて・・・。
という展開でした。
タイトル通り二人の『リコカツ』は成功するのか?
はたまた元の鞘に収まるのか?
今後の展開に注目ですね。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『元の鞘に収まる』
元の鞘に収まる(もとのさやにおさまる)
意味 ・・・ 離婚した夫婦や仲違いや絶縁していた二人が、仲直りをして以前と同じ関係に戻ることのたとえ。
『元の鞘に収まる』の意味、由来
まず、『鞘』とは、刀や剣などの刀身の部分をおさめておく筒の名称です。
そして、抜かれた刀を本来収まっていた鞘に戻すという行為を、怒りや不満によって一度振り上げた刀を、気持ちを鎮めることで元々収まっていた鞘に戻すことにたとえて、
離婚した夫婦や仲違いをしていた二人が、仲直りをして以前と同じ関係に戻ること。
という意味になりました。
主に男女の夫婦関係、恋愛関係において使われる表現で、また現代では省略して『元さや』と言われることが多くあります。
由来としては、井原西鶴が書いた、「椀久一世の物語(1685年)」という浮世草子に、
「中脇差は元の鞘におさまる事」
という一文に見られる表現になります。
また、余談ですが、『さや』について少しだけお話しておきます。
サヤエンドウや絹さやなど、『さや』が付く植物(主に西日本ではさやえんどう、東日本では絹さやと呼ばれ、同一植物)がありますが、
袋状になった皮の中に実(豆)が入っているということで、
漢字で書くと『鞘えんどう』『絹鞘』ではないかと勘違いされがちですが、
こちらの方は『莢』と書き、『莢えんどう』『絹莢』となります。
莢(さや)・・・豆の身を包む殻や、外皮のこと。
ついでに、絹莢の名前の由来としては・・・。
さやえんどうや絹さやが日本で食べられるようになったのは江戸時代のことで、当時の庶民は着物を着ていました。
そして、夜の性生活において着物と着物が擦れる音を「衣(絹)ずれ」と言われており、
その『衣ずれ』の音が、エンドウ豆や絹さやを収穫する時に生じる、さや同士が擦れる音に似ていることから、絹さやと呼ばれるようになったそうです。
『元の鞘に収まる』の類義語、対義語
焼け木杭に火がつく(やけぼっくいにひがつく)
意味 ・・・ 一度焼けた杭は火がつきやすいところから、以前に関係のあった者どうしが、再びもとの関係に戻ることのたとえ。
縒りを戻す(よりをもどす)
意味 ・・・・ 物事をもとの状態にする。特に、男女の仲を元通りにすること。
西風の夫婦喧嘩は夜収まる(にしかぜとふうふげんかはよるおさまる)
意味 ・・・ 強風と同じように、夫婦喧嘩も夜になると元の鞘に収まるということ。
覆水盆に返らず (ふくすいぼんにかえらず)
意味 ・・・ 一度やってしまったことは、取り返しがつかないということ。また、一度離婚した夫婦の仲は、元には戻らないということのたとえ。
こんな場面で使おう!『元の鞘に収まる』を使った例文
・隣の夫婦は昨夜は嵐のような大喧嘩をしていたが、元の鞘に収まったのか、今朝には手をつないで歩いていた。
・あの芸能人夫婦は離婚危機と報じられるたびにテレビ出演するが、毎度いつの間にか元の鞘に収まっている。その結果、離婚をビジネスにしていると批判が殺到しているそうだ。
・彼氏と喧嘩ばかりしているが一向に別れる気配のない友人の悩みや愚痴をよく聞かされるが、どうせすぐに元の鞘に収まると思うと、聞くのが面倒になってきた。
・私の浮気のせいで妻が実家に帰ってしまった。時間が経てば元の鞘に収まるだろうと気楽に考えていたが、今日家に帰ると離婚届が郵送されていた。
・意中の女の子が彼氏と別れたと聞いて喜んでいたら、残念なことに、すぐに元の鞘に収まったらしい。
『元の鞘に収まる』を英語で表現すると?
英語では『元の鞘に収まる』というような比喩的な表現はなく、直接的な言い回しになりますが、
The couple got back together again.
彼らは元の鞘に収まった。
I wanna get back together with my girlfriend.
彼女と元の鞘に収まりたい。(よりを戻したい)
get back together ・・・ 復縁する という熟語を使って、このように表現できます。
まとめ
『刀は武士の魂』という表現があるように、武士にとって刀(日本刀)とは己の精神が宿るほど大切なものであると言われてきました。
また、一旦刀を抜いたからには、武士として簡単に鞘に収めることはできません。
基本的に武士の世界では、無用な抜刀は禁じられている一方で、一度刀を抜いたからには、武士の意地にかけて決着がつくまで、相手を仕留めるまで鞘に収めるわけにはいきませんでした。
それほどの覚悟を持って腰に刀を携えていたのです。
現代では軽い感じで、『どんだけ~』のように、
『もとさや~』なんて言われていますが、
このような由来、語源があることを頭のどこかに入れておいて、人間同士、深く誠実な付き合いをしたいものですね。