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今日のことわざ『命は鴻毛より軽し』の意味、由来、類義語、対義語、使い方、英語表現などをエピソード付きで徹底解説!

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中国最後の歴史書『史記』を書き上げた司馬遷の生き様から、ことわざを学ぼう!

先日、大河ドラマ『青天を衝け』にちなんで、動乱の幕末において国のため、義のために命をなげうって奮闘した志士たちを称えて、、『命は義に寄りて軽し』ということわざについて深堀りしていきましたが、

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今回はそれと同義語にあたる素晴らしい表現をもう一つ紹介したいと思います。

今日のことわざ『命は鴻毛より軽し』

今日のことわざ
 

命は鴻毛より軽し(いのちはこうもうよりかるし)

意味 ・・・ 鴻毛(オオトリの羽毛)は、極めて軽いことから、義のためであれば命を捨てることは少しも惜しくないということ。

『命は鴻毛より軽し』の意味、由来

『命は鴻毛より軽し』とは、中国前漢時代の歴史家で、中国最古の歴史書『史記』の著者である司馬遷が、友人の任安(字は小卿)から受けた手紙の返書「報任少卿書」にある、

人固有一死、或重於太山、或輕於鴻毛、用之所趨異也。

死は或いは泰山より重く、或いは鴻毛より軽し。

という一文に由来しています。

「泰山」とは中国山東省にある高さ1,545mの名山、

「鴻毛」は鴻(おおとり・・・大型の水鳥)の羽毛のことで、

重きをおくもと、軽んじるものの対比のたとえとされており、

人の命は、泰山より重く(重んじて惜しむべき場合)と、鴻毛より軽し(潔く捨てるべき場合)とがある。その判断は義にかなうか否かによるべきである。

という意味になります。

それが省略された形となって、『命は鴻毛より軽し』とは、

義のためであれば、命を捨てることは少しも惜しくないこと。

という意味になりました。

ここで、任安と司馬遷の手紙でのやり取りを簡単にお話しておきます。

皇帝の怒りを買ったために投獄されてしまった仁安からの手紙は、司馬遷が高い地位にいながら、人材発掘を怠り、有能な人物を推挙していないことを責める内容のものでした。

そして、その返答となる「報任少卿書」には、

人固有一死、或重於太山、或輕於鴻毛、用之所趨異也。

死は或いは泰山より重く或いは鴻毛より軽し。

という一文に象徴されるように、自身もかつて任安と同じように不条理な罪を課され、宮刑という男として最も屈辱的な刑罰を受けてもなお、宦官として生き延び、父・司馬談から引き継いだ『史記』を完成させた司馬遷の気概が記されていました。

宮刑 ・・・ 古代中国にあった去勢して生殖作用を不能にする刑罰。

宦官 ・・・ 去勢(性器を切除)した男性のことで、皇帝や后たちの身の回りを世話する官吏。

あの時(宮刑に処された時)、死を選ぶことは簡単だったが、死んでしまっては父・司馬談から引き継いだ『史記』を完成させることが出来ない。

仕事が中途半端に終わるのを自分にとって最も恥ずべきことだ。

『死は或いは泰山より重く或いは鴻毛より軽し』と、屈辱を受けながらも義(史記を完成させる)のために生きることを選んだ自らの思いを伝え、友人である任安を励ましたのでした。

『命は鴻毛より軽し』の類義語、対義語

類義語
 

命は義によりて軽し(いのちはぎによりてかるし)

意味 ・・・ かけがえのない命でも、義のためであれば惜しくないということ。

対義語
 

命あっての物種(いのちあってのものだね)

意味 ・・・ 何事も命があってこそ初めてできるものだということ。

命に過ぎたる宝なし(いのちにすぎたるたからなし)

意味 ・・・ この世に命以上に大切なものはないということ。

死んで花実が咲くものか(しんではなみがさくものか)

意味 ・・・ 枯れて死んだ木に花が咲いたり、実がならないことから、死を望む者に対して、むだに命を捨てるものじゃないと諭す言葉。

こんな場面で使おう!『命は鴻毛より軽し』を使った例文

例文
 

命は鴻毛より軽しと命を懸けることがあるのは、幸せなことである。

・彼は病と闘いながらも、命は鴻毛より軽しと、死の間際まで精力的に研究を続けた。

命は鴻毛より軽しと国のために尽くした方々のお蔭で、今の豊かな日本がある。

・災害の度に、命は鴻毛より軽しという覚悟で救助にあたる方々には、頭が下がる思いだ。

・名君と呼ばれる武将とは、命は鴻毛より軽しという信念を持った家臣たちに支えられていた。


最上義光の銅像

『命は鴻毛より軽し』を英語で表現すると?

比喩的な表現ではありませんが、英語ではこのような言い回しができます。

I hold my life at nothing as compared with my cause.

直訳:私は自分の対義と比べて、命に固執するものは何もない。

訳:私は自分の大義を成すためには、命に固執しない。

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まとめ

司馬遷は、任安に宛てた『報任少卿書』で、このようなことも述べています。

巨万の富を築き、思いのままに権力を振るった人でも、時が経てばその人の名前は忘れられ消えていく。

だが、「書」だけは後世に残るのだと・・・。

死は或いは泰山より重く或いは鴻毛より軽し・・・。

司馬遷が決死の覚悟を持って著した『史記』は、中国最古という歴史的価値だけではなく、文学的価値も高く評価され、2000年近く経った今でもなお、世界中で読み継がれています。

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