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本日も昨日に続いて、ラグビーワールドカップの日本開催を記念して、ラグビーに関係することわざを紹介していきます。
突然ですが、ラグビーの花形とはどのポジションだと思いますか?
前回のイングランド大会では、キッカーの五郎丸選手が精神統一のための忍者のようなポーズで一世を風靡しましたね。
一世を風靡する(いっせいをふうびする)
意味 ・・・ その時代の世の中に、大変広く知られ流行すること。
もちろん、15人それぞれに大切な役割があって熾烈な戦いが繰り広げられるわけですが、素人目に見ると、一番目立つのはやはり、トライを決める選手でしょう。
体格のいい選手がボールを抱いたままライン際に飛び込む豪快なトライは凄い迫力ですし、ピンチから一転、広いグラウンドの端から端まで颯爽と走り抜けて決めるトライもかっこいいですよね。
ですが、そのトライは、何度も潰されながらもボールを死守し、コツコツと繋いだ先にあるものなのです。
少しでも敵陣に入り込むために、必死にスクラムを組み、前へ前へと踏み出した仲間がいます。
マークされた味方をフリーにするために、敵を引き付けて潰された仲間がいます。
潰されてもみくちゃにされても、ボールを放さなかった仲間がいます。
チームの為に犠牲となったたくさんの仲間たちがトライを呼び込むのです。
トライとは、決めた選手だけの力ではなく、多くの仲間の自己犠牲の精神、プレーが実を結んだ結果なのです。
というわけで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『 一将功成りて万骨枯る 』
一将功成りて万骨枯る(いっしょうこうなりてばんこつかる)
意味 ・・・ 人の上に立つ者の功績は、多くの部下の犠牲によって成り立っているということ。また、頂点に立つ者の思いやりのなさを嘆き批判することば。
解説
『一将功なりて万骨枯る』とは、中国・唐の末期の詩人、曹松の詩「巳亥歳」の中の、戦乱の世を嘆いて書かれた詩の一節に由来しています。
「巳亥歳」には、このようにあります。
巳亥歳
沢国江山入戦図
生民何計楽樵蘇
憑君莫話封侯事
一将功成万骨枯
巳亥の歳
沢国の江山 戦図に入る
生民 何の計あってか樵蘇を楽しまん
君に憑(ねが)う 話る莫れ封侯の事を
一将功成って万骨枯る
ここでの『一将』とは、『ひとりの将軍』、『万骨』とは『多くの人の骨』、つまり『多くの犠牲』を意味しており、将軍たちが戦果を上げ、功名を得る陰で、戦場で倒れた多くの無名の兵士たちの犠牲を嘆く思いが込められた表現です。
また、多くの場合、頂点に立つ者の、犠牲となった、支えてくれた部下への思いやりのなさを嘆き批判する言葉や、犠牲となった多くの者たちの功績を決して忘れてはならないという戒めとして使われます。
※この記事では、華やかにトライを決める選手に注目が集まってしまうが、その陰には、仲間たちの多くの功績があるという意味で、紹介しています。
一将功成りて万骨枯る(いっしょうこうなりてばんこつかる)
意味 ・・・ 人の上に立つ者の功績は、多くの部下の犠牲によって成り立っているということ。また、頂点に立つ者の思いやりのなさを嘆き批判することば。
シンプルにこのように捉えています。
類義語 対義語
類義語
縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
意味 ・・・ 人のために見えないところで努力や苦労をする人のこと。
小の虫を殺して大の虫を助ける(しょうのむしをころしてだいのむしをたすける)
意味 ・・・ 重要なことを守るために、やむを得ず小さなことを、犠牲にすること。
対義語
申し訳ありません。
対義的な表現を見つけることができませんでした・・・
何か見つかれば、追記致します。
こんな場面で使おう 例文
例文 今回のプロジェクトの成功は、一将功成りて万骨枯ると私に思い知らせてくれるほど、部下たちの働きぶりは素晴らしいものだった。
例文 彼はチームのトライゲッターだが、非常に謙虚で、練習熱心で、絶対に偉ぶったりはしない。それは彼がラグビーというスポーツが一将功成りて万骨枯るのスポーツだと熟知している証拠だろう。
例文 いくら頑張って仕事で成果を上げても、まさに一将功成りて万骨枯るで、上司が全て自分の手柄にしてしまう。
例文 企業のトップに立つ者ならば、一将功成りて万骨枯るという戒めを片時も忘れてはならない。
例文 新薬の研究、開発には、一将功成りて万骨枯るというように、多くの犠牲があるものだ。
英語での表現は・・・
What millions died that Caesar might be great?
シーザーが偉大になるために、何百万の人が死んだのか?
Thousands must die to make one hero.
幾多の死者なしでは、英雄は生まれない。
It is the blood of the soldiers that makes the general great.
兵士たちが流した血があってこそ、将軍は偉大に成り得る。
功績と、それに隠れた多くの犠牲を表現する言葉はとして、これらが挙げられます。
世界中どこでも、争いから生まれる教訓、戒めは似通った部分がありますね。
まとめ
『一将功なりて万骨枯る』とは、多くの場合、人の上に立つ者への批判や嘆きを含んで使われますが、
『こんなに素晴らしい表現が、ネガティブな発言といて使われるのは惜しい!』
と思うのは、私だけでしょうか?
そんな思いから、あえて今回は『一将功なりて万骨枯る』を紹介しました。
誰もが、一人でやれることなど、たかが知れています。
また、自分の力だけで生きていると思っているのなら、それは大間違いです。
『一将功なりて万骨枯る』
この心を持っていれば、ラガーマンのように、仲間同士が尊重し合い、仲間のために犠牲になれる人間になれるのではないでしょうか・・・