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大関・朝乃山の軽率な行動から、ことわざを学ぼう!
大関朝乃山が、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反して、キャバクラに通っていたことが報じられましたね。
当初は日本相撲協会の事情聴取に対し事実無根を主張していたようですが、再度の聴取では事実を認めたということです。
これはまずいですね。
ガイドラインを破っていたことに加えて虚偽報告をしていたのですから、当然、厳罰は免れないでしょう。
大関朝乃山は、身長187cm、体重174kgの巨体力士です。
何もしていなくても立っているだけで目立つのに、このご時世にキャバクラ通いとは・・・。
まさに身から出た錆というやつでしょう。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『身から出た錆』
身から出た錆(みからでたさび)
意味 ・・・ 自分が犯した過ちのために、後で災いにあうことのたとえ。
『身から出た錆』の意味、由来
『身から出た錆』の『身』とは、『身体(からだ)』ではなく、刀の『刀身』という部分を指しています。
ここでまず、刀(日本刀)の各部の大まかな名称を記載しておきますね。
画像のように、刀の刃の部分が『刀身(とうしん)』で、刀身を収めるカバーのような部分が『鞘(さや)』、手で握る部分を『柄(つか)』といいます。
そして、『錆』とはそのままの意味で、金属の表面の不安定な金属原子が環境中の酸素や水分などと酸化還元反応(腐食)を起こして生成される腐食物のことです。
鉄などの金属を雨に濡れたまま放置しておけば、錆が出てきて茶色く腐食していきますよね。
刀(刀身)も鉄を原料としていますので、しっかり手入れしておかなければ、次第に錆が出てきてしまいます。
刀身が錆びてしまえば、強度も切れ味も弱くなり、いざという時に使い物になりません。
最悪の場合は、そのせいで命を落としてしまうことだってあるでしょう。
このことから、『身から出た錆』とは、自分が犯した過ち(刀の手入れを怠ること)のために、後で災いにあう(最悪の場合死に至ることもある)という表現になります。
時代劇などで、丸い綿のようなもので刀身をポンポン叩いている場面を目にしたことがあると思いますが、あれは刀が錆びないように塗ってある刀油という刀専用の油を拭き取っているのです。
そして、なかなか見かけない場面ですが、あのようにして古くなった油を拭き取った後には、新しい油を塗り直しているのです。
そういった作業が主な刀の手入れになります。
『刀は武士の魂』 という表現があるように、自分の命を守るための刀の手入れは武士にとって非常に大切なことだったということですね。
刀は武士の魂(かたなはぶしのたましい)
意味 ・・・ 武士にとって刀(日本刀)は、己の精神が宿るほど大切なものであるということ。
明確な由来や起源はわかりませんが、室町から江戸初期にかけて作られた「三体詩(中国南宋の周弼により編集された唐代漢詩集)」の注釈書の一つ、「三体詩幻雲抄」(1527)に、
「桃花が我と我身から出たるさひぢゃほどに人をも恨みごともないぞ」
とあり、室町時代後期あたりには浸透していた表現だと考えられます。
また、幕末期に作られた江戸いろはかるたの札としても採用されており、古くから馴染みの深い表現と言えるでしょう。
『身から出た錆』の類義語、対義語
因果応報(いんがおうほう)
意味 ・・・ 善いことをすれば、善いことが、悪いことをすれば悪い報いが必ずあるということ。
自業自得(じごうじとく)
意味 ・・・ 自分の善悪の行為の報いを、自分自身が受けること。
※どちらも類義語としても対義語としても当てはまる表現ですが、現代では『悪い行いをすれば、悪い報いを受ける』という意味で使われる場合が多いため、類義語として挙げておきます。
悪因悪果(あくいんあっか)
意味 ・・・ 悪いことをすれば、それが元となって悪い報いがあるということ。
善因善果(ぜんいんぜんか)
意味 ・・・ 良いことをすれば、それが元となって良い報いがあるということ。
こんな場面で使おう!『身から出た錆』を使った例文
・浮気ばかり繰り返してきた私が妻から信用されなくなったのは、身から出た錆としか言いようがない。
・類まれな美貌を持ち、若い頃からチヤホヤされてきた私が未だに独身なのは、高飛車になって選り好みをし過ぎたせいで、まさに身から出た錆だ。
・長年に渡る身から出た錆によって、彼はついに会社から解雇されてしまった。
・部室で何人かの財布がなくなったことで彼が真っ先に疑われたのは、気の毒ではあるが身から出た錆だろう。
・医師や家族の忠告を聞き入れず、お酒を控えなかった私の肝臓が悪くなってしまったのは、身から出た錆である。
『身から出た錆』を英語で表現すると?
『身から出た錆』は、英語ではこれらのように表現できます。
Self do self have.
(自分の行いは自分に帰ってくる)
An ill life an ill end.
(悪い生き方をすれば悪い死に方をする)
まとめ
何か悪いことが起こると、ただの偶然だと言い聞かせたり、自分以外に原因があると勘ぐったりしてしまいがちです。
ですが、自らに降りかかる災いのほとんどが、自分の行動によるものだと考えて間違いないでしょう。
まずは、自分の行動を振り返り、浮き出てきた錆をしっかり落としてあげましょう。
手遅れになる前に・・・。