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スター不在の相撲界からことわざを学ぼう!
史上最多44度の優勝を誇る横綱・白鵬ですが、夏場所(5/9日初日・両国国技館)も休場しており、6場所連続の横綱不在の場所となっています。
当然、怪我をしている力士に無理に出場しろとは言えません。
ですが、伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)が場所前の取材で語っていたように、
「けがして痛くて出られない状況が続いている。横綱の責任を果たしているのかしていないのか。自分が横綱としてきちっと判断しないと。ここまで休むと期待も、この先はできない。誰もがそう思う」
という厳しい意見に私も同意せざるを得ません。
相撲界の歴史の中で、
横綱不在では場所が盛り上がらない。
横綱として相撲界を背負わなければならない。
などといった責任、重圧から、どれほどの横綱が怪我を押して出場し、力士生命を縮めたことでしょう。
また、頂点(横綱)まで上り詰めた者としての引き際は、相撲界のみならず日本のスポーツ界の美学ともされてきました。
野球界で言えば、世界のホームラン王、王貞治氏は、引退した年にさえ、30本ものホームランを放っています。
とは言っても、横綱。白鵬を引きずり下ろすような若い力が生まれてきていないことも大きな課題でもあるんですよね。
横綱に引導を渡すような圧倒的な若い力に期待して、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『引導を渡す』
引導を渡す(引導を渡す)
意味 ・・・ 最終的な宣告をして諦めさせること。
『引導を渡す』の意味、由来
まず、「引導」とは仏教語で、葬儀の際、僧が死者の霊を迷わず成仏できるように、死を逃れられないことを相手悟らせるために唱える経文・法語のことをいいます。
実際に仏教においての葬儀には、引導の儀式という場面があり、そこでは各宗派で伝えられている法語(引導法語)を唱えて、故人を仏の道へと導きます。
このことから、『引導を渡す』とは、
最終的な宣告をして諦めさせること。
という意味として使われるようになりました
また、この儀式は、中国唐代中期の黄檗希運(おうばくきうん)という禅僧が、亡くなった母親を弔ったことをきっかけにして生まれたと言われてています。
『引導を渡す』の類義語、対義語
お払い箱(おはらいばこ)
意味 ・・・いらなくなった物を捨てること。不要として捨てられること。 雇用者が雇っていた人をやめさせること。
とどめを刺す(とどめをさす)
意味 ・・・ 殺したあと生き返らないように完全に息の根を止める。再び立ち上がれないように決定的な一撃を加える。
白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ)
意味 ・・・ 多くの中から指定され選ばれること。
※『引導を渡す』が最終的な宣告という意味に対して、始まりを表すという意味で、『白羽の矢が立つ』を対義語として挙げておきます。
こんな場面で使おう!『引導を渡す』を使った例文
・若手選手の急成長によって、シーズンオフには多くのベテラン選手が引導を渡される結果となった。
・ここ数年の成績から考えると、いくらチームの功労者であろうと、そろそろ引導を渡されても仕方ないだろう。
・長く世界チャンピオンとして君臨した名ボクサーも、ついに引導を渡される時が来たようだ。
・M-1グランプリは、芸人として芽が出ない者に早いうちに引導を渡し、他の道で新しい挑戦ができるようにと、芸歴の制限を設けているそうだ。
・憎たらしい上司に引導を渡されるくらいなら、こんな会社自分から辞めてやる。
『引導を渡す』を英語で表現すると?
宗教的な表現では、
say a requiem requiem
requiem(レクイエム) ・・・死者の魂(霊)を慰めるために行われる祭儀。
比喩的な表現では
put an end to…、put a fork into… などと言い換えることができます。
例文 I will put an end to the champion next match.
(次の試合でチャンピオンに引導を渡してやる)
まとめ
どのような世界においても、世代交代は繰り返し行われます。
近年、『老害』という言葉が流行しているように、その流れ、波は大きなものになってきているように感じます。
自ら衰えに気付き、潔く身を引くのか、衰えてもなお、まだ自分にできることがあると信じて突き進むかは、その人次第ですし、どちらも素晴らしい選択に違いありませんが、引き際、潮時というものは心得ておきたいものですね。