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最高のガッツボーズを見せてくれた ラグビー日本代表・具智元選手 から、ことわざを学ぼう!
激闘のワールドカップの余韻が強く残るなか、日本代表のプロップとして出場した韓国出身の具智元選手(25歳)が、日本国籍を取得したというニュースが報じられました。
具智元選手は、W杯日本大会では全試合に出場し、自慢のパワーを武器に、スクラムや豪快なタックルで大いに活躍しましたね。
穏やかな顔立ちからも想像がつく通り、具選手は寡黙で、気は優しくて力持ちタイプの男だと、チームメイトたちは口を揃えます。
そんな具選手の最大の見せ場だったのは、強豪・アイルランドをスクラムで打ち崩した場面でしょう。
普段は大人しい具選手が感情を爆発させ、雄たけびを上げて喜びを表現しました。
そこからチームの士気は最高潮に達し、アイルランド撃破という快挙を達成しました。
また、決勝トーナメント進出がかかったスコットランド戦において、ケガにより途中退場を余儀なくされましたが、悔し涙を流しながらピッチを後にする姿は、日本国民の胸を打ちました。
現在25歳で、次回のワールドカップでは、ラグビー選手として最も脂が乗り切った29歳です。
それまで怪我なくチームの中心メンバーとして成長して、再び日本を盛り上げてもらいたいですね。
というわけで、優しく熱い男、具智元選手にちなんで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ 『鳴かぬ蛍が身を焦がす』
鳴かぬ蛍が身を焦がす(なかぬほたるがみをこがす)
意味 ・・・ 思いは内に秘めたものが強いというたとえ。
『鳴かぬ蛍が身を焦がす』の意味、由来
蛍二十日に蝉三日 ということわざもあるように、蛍とセミは、命のはかなさを象徴する夏の生き物として並べられることが多くありますが、この表現では対称的な生き物として共に使われています。
蛍二十日に蝉三日(ほたるはつかにせみみっか)
意味 ・・・ 盛りの時期は短いということ。
蝉は泣き叫んで、注意を引くことができますが、
蛍は泣き声を上げることができません。
ですが、鳴くことのできない蛍は、鳴き声を上げられない代わりに、身を焦がさんばかりに光っているのだろうという解釈から、『鳴かぬ蛍が身を焦がす』という表現が生まれたのです。
また、元々は都々逸の
「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」
という歌が省略されて、浸透したとされています。
さらには、平安時代後期の和歌集『後拾遺和歌集』の一節に、
音もせで 思ひに燃ゆる蛍こそ 鳴く虫よりも あわれなりけれ
現代語訳:声にも出さず、内なる思いに燃えて飛ぶ蛍こそ、鳴く虫よりも感慨深いものがある。
とあり、この歌を基にして都々逸が作られたそうです。
では、この機会に都々逸について簡単にお話しておきます。
都々逸とは?
都都逸とは、江戸時代末期に大成され、恋愛をテーマに寄席などの舞台の上で三味線などに合わせて歌われた、七・七・七・五の並びで綴る歌です。
もちろん、「恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす」 という歌も、七・七・七・五 で、ままならぬ恋愛の心情が歌われていますね。
ちなみに・・・
俳句は、季語の入った五・七・五
五・七・五 で、季語の入ってないものは川柳
短歌は、五・七・五・七・七
都々逸は、七・七・七・五
で構成されます。
『鳴かぬ蛍が身を焦がす』の類義語・対義語
類義語
目は口ほどに物を言う(めはくちほどにものをいう)
意味 ・・・ 気持ちが入った眼差しは、口で言うのと同じくらい、相手に気持ちをつ伝えるということ。嘘をついていても目を見れば、本当かどうかがわかるということ。
言わぬは言うにまさる(いわぬはいうにまさる)
意味 ・・・ 口に出さない方が口で言うより思いが深いということ。 言うより黙っていた方が相手に気持ちが伝わるということ。寡黙を尊ぶ思想を表現していることわざ。
対義語
申し訳ありません。
適切な対義語が見当たりませんでした。
何か見つかれば追記致します。
こんな場面で使おう 『鳴かぬ蛍が身を焦がす』の例文
・典型的な鳴かぬ蛍が身を焦がすタイプの彼が試合中に感情を爆発させたことで、チームの士気は最高潮に達した。
・私の親友は物静かで、愛情表現の下手な男だが、鳴かぬ蛍が身を焦がすで、いつも奥さんのことを第一に考えているようだ。
・試合に負けた後、チーム内でも最も大人しいはずの彼が号泣しているのを見て、鳴かぬ蛍が身を焦がすとはこのことだと思った。
・軽薄な口ばかりの男はもううんざりだから、次の彼氏は鳴かぬ蛍が身を焦がすような寡黙な男性を見つけたいと思っている。
・会社では家族の話は一切しない上司だが、鳴かぬ蛍が身を焦がすで、実はすごい愛妻家らしい。
英語での表現は?
Light cares speak, great ones are dumb.
直訳すれば・・・(小さな心配事は語り大きな心配事は黙る)
つまり・・・
事が大きいほど口には出せず、内に秘めるものだ。
という意味になります。
まとめ
口から先に生まれる、口は災いの元、空き樽は音が高い、言葉多き者は品少なし、など、おしゃべりな人に対してのことわざは、戒めの言葉だったり、悪い意味のものが目立ちます。
その反面、日本には古くから寡黙を尊ぶ思想があるためか、鳴かぬ蛍が身を焦がすだけでなく、
黙って降る雪は余計積もる、不言実行、沈黙は金、雄弁は銀、 賢人は黙してことを為す、など、寡黙であることに対しては、褒め称えることわざが多くあります。
どちらがいいかは一概に言えませんが、特におしゃべりな私は、具選手のような背中で語る寡黙な男に憧れてしまいますね。
口は災いのもと(くちはわざわいのもと)
意味 ・・・ 考えもしないでなにかを言うことは、災いのもとになるから慎んだ方がいいということ。
口から先に生まれる(くちからさきにうまれる)
意味 ・・・ 口の達者な者や、口数の多い者を、ばかにしていうことば。
空き樽は音が高い(あきだるはおとがたかい)
意味 ・・・ 中身のない軽薄な人ほど、よく喋るというたとえ。
言葉多き者は品少なし(ことばおおきものはしなすくなし)
意味 ・・・ 口数が多い者は品性がないということ。
沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん)
意味 ・・・ 雄弁なことより、何も語らず黙っているほうが勝っているということ。しゃべりすぎを戒めることば。
不言実行(ふげんじっこう)
意味 ・・・ あれこれ理屈を言わないで、するべきこと、良いことなどを、黙って実際に行うこと。
黙って降る雪は余計積もる(だまってふるゆきはよけいつもる)
意味 ・・・ もの静かな人が大きなことを成し遂げるというたとえ。
賢人は黙してことを為す(けんじんはもくしてことをなす)
意味 ・・・ 賢い人はするべきことを黙って実際に行う。