目次
朝ドラ『おかえりモネ』の牡蠣養殖と山の関係から、ことわざを学ぼう!
『おちょやん』からバトンを引き継いだ、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』が、好調な滑り出しを見せていますね。
放送開始から約1か月、物語が少しずつ動き始め、毎日楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
東日本大震災から10年の節目にあたる年(2021)に、NHK東日本大震災プロジェクトの一環として制作された今作は、
清原果耶さん演じる主人公のモネが、高校卒業後、故郷の宮城県気仙沼市亀島を離れ、祖父・龍己の伝手で登米市の森林組合に就職するところから物語は始まります。
ですが、当初は亀島で牡蠣の養殖業を営む祖父と森林組合にどのような縁があるのかは明かされていませんでした。
ですが、お盆休みに亀島に帰省した際に、モネは今後の展開を大きく動かす事実を知ることになるのです。
幼い頃、祖父・龍巳と共に登米の山を訪ねて木を植えていたことを思い出したモネは、その理由を尋ねたのですが、龍巳は質問に質問で返しました。
「登米の山に染みた水はな、北上川をくだって、南さ行くと、石巻に着くべ?うちの牡蠣の生まれはどこだい?」
そこでモネは龍巳が養殖している牡蠣の種牡蠣が石巻産であること、登米に木を植えていたのは、良質の牡蠣を育てるための『植樹』だったことに思い至るのでした。
という話ですが、ここでかんたんに『植樹』という活動についてお話しておきます。
植樹活動とは?
牡蠣は海に流れ込んできた水のなかの植物プランクトンをエサにして成長します。
また、水分中のミネラル、鉄分なども重要な栄養分となります。
山で降った雨は落ち葉が重なってできた地面(腐葉土層)に染み込み、そのなかで濾過され、栄養分を蓄えながらゆっくり良質な水になっていき、川を下って海へ流れ込みます。
ですが、山が荒廃していたり、手入れが行き届いていなければ、良質な水を作り出すことができないまま海へ流れ込んでいってしまいます。
そして、その水質の良し悪しは、牡蠣の生育を大きく左右します。
すなわち、森の状態によって海で育つ牡蠣の状態が変わると言っても過言ではないのです。
そのため、広島県や宮城県などの牡蠣の産地では、海での活動はもちろんのこと、山での活動(植樹活動や森林の手入れ)にも力を入れています。
海の水質、そこで育つ牡蠣の状態を見れば、その源となる山がどのような状態なのかわかるというわけです。
流れを汲みて源を知るということですね。というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『流れを汲みて源を知る』
流れを汲みて源を知る(ながれをくみてみなもとをしる)
意味 ・・・ 流れている水を汲んで調べればその源の様子、水源の良し悪しがわかることから、末端を見て本源を知るたとえ。人の言動からその心の中を察することができるということ。
『流れを汲みて源を知る』の意味、由来
『流れを汲みて源を知る』とは、
流れている水を汲んで調べれば、その源(水源)の様子(良し悪し)がわかるということから、末端を見て本源を知るたとえ。さらには、人の言動からその心の中を察することができるということのたとえ。
を意味することわざです。
中国の隋の時代の仏教書『摩訶止観』にある『汲流知源(きゅうりゅうちげん)』という教えに由来する表現で、
日本では古くは平安後期成立の歴史物語『大鏡(おおかがみ)』に、
「ながれをくみてみなもとをたづねてこそはよく侍べきを」
とあります。
また、『流れを汲みて源をたずねる』と表す場合もあります。
『流れを汲みて源を知る』の類義語、対義語
汲流知源(きゅうりゅうちげん)
意味 ・・・ 結果から原因を推定すること。下流の水から川の源の状況を知る。
観天望気(かんてんぼうき)
意味 ・・・ 自然現象や生物の行動の様子などから天気の変化を予測すること。 経験則をもとに一定の気象条件と天候の変化の関係を述べた伝承。
※天候に限定される表現ではありますが、結果➡原因 の反対で、原因➡結果 という流れを汲む表現として、一応、対義語として挙げておきます。
こんな場面で使おう!『流れを汲みて源を知る』を使った例文
・彼のプレゼンは見ていられないほどひどいものだった。流れを汲みて源を知るで、あれを見れば真剣に取り組んでいないのは明らかだ。
・流れを汲みて源を知るで、彼女のわがままな言動から、いかに甘やかされて育ったか容易に推測できる。
・受付の丁寧な対応、清潔なオフィス、行き届いた社員教育、これだけ揃えば流れを汲みて源を知ることができる。きっとこの会社とは安心して取引できるだろう。
・流れを汲みて源を知る、丁寧な字で書かれた宛名から、彼が礼状に込めた想いが伝わってくるようだった。
・きれいになる秘訣は、『食べたいものを我慢しないで食べることだ』と言っていたスタイル抜群のモデルさんがいたが、流れを汲みて源を知る、そう言いつつも、裏では壮絶な努力をしているに違いない。
『流れを汲みて源を知る』を英語で表現すると?
直接的な言い回しになりますが、英語ではこのように表現できます。
The nature can be guessed by observing the action.
observe ・・・ 観察する、監視する
まとめ
祖父の龍巳は、『海と山の関係』をこのようにモネに語りました。
海と山はつながってるんだ。なんも関係ないように見えるもんが、何かの役に立つってことは、世の中にいっぺえあるんだよ。
そう考えると、あなたの何気ない行動が誰かの役に立っているかもしれません。
また、あなたが気付いていないだけで、誰かの行動があなたに力を与えてくれたり、元気付けてくれているかもしれません。
海と山が繋がっているように、人も繋がっています。
流れを汲みて源を知る・・・。
今の私たちの源となるものは、いったい何なんでしょうかね?