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東野幸治さんの芸能界を生き抜く戦略からことわざを学ぼう!
先日のことですが、お笑い芸人の東野幸治さんが自身がMCを務めるカンテレ「マルコポロリ!」に出演した際、先輩芸人のダウンタウンとの付き合い方について語る場面がありました。
若手時代から、ダウンタウンと共演する機会が多かった東野さんですが、大人気番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」が1997年に終了して以来、
自分の生きてる世界では、ダウンタウンさんは存在してない、ってことにして、たまにあるダウンタウンからダイレクトでくる仕事以外は、全てのオファーを断ってきた。
と告白されていました。
一緒にお笑い番組を作っていくなかで、ダウンタウンの才能に圧倒され、太刀打ちできないと痛感してのことだったそうです。
また、
自分は、存在が大きすぎるダウンタウンがいない芸能界で働いている。
そう思い込むことで、現在まで仕事をやってこれたと語っていました。
言わずもなが、東野幸治さんは超一流のお笑い芸人で、現在では多くの番組でMCをこなし、名実ともに芸能界のトッププレーヤーに違いありません。
また、人気サブカルチャー系雑誌『クイックジャパン』が毎年恒例にしている、人気放送作家を招いてその年のテレビ界について振り返る座談会において、
「誰とでも共演できる」「コメントが少なくて的を射ている」などと絶賛され、「パーソン・オブ・ザ・イヤー2015」に選ばれたほどの実力者です。
これも、ダウンタウンの偉大さを物語るエピソードの一つに過ぎないことかもしれませんが、私としては、それ以上に東野幸治さんが見つけた『芸能界での生きる術』の方に感心しました。
ダウンタウンと共演して、その実力に圧倒されながら自分の力を発揮できずに埋もれていくよりも、
ダウンタウンのいない自らが活躍できる場所で、芸能界での活路を見出そうとしたのでしょう。
何でも器用にこなす、クレバーな東野幸治さんだからこその戦略ですね。
というわけで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『鯛の尾より鰯の頭』
鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのかしら)
意味 ・・・ 大きな組織や高レベルの集団の下にいるより、小さく低いレベルであっても上の地位で活動するほうが良いということ。
『鯛の尾より鰯の頭』の意味、由来
『鯛』は昔から魚の中でも高級魚として認知され、現代でも一匹まるごとの状態の「尾頭付き」は、神事や祭事、結婚式等の祝い事で使われる貴重な魚です。
『腐っても鯛』ということわざからも、鯛という魚の価値の高さが伺えます。
腐っても鯛(くさってもたい)
意味 ・・・ 本当によいものは、たとえ腐っても、それなりの値打ちがあるものだということ。
その一方で、サイズ的にも小さく、群れで行動する鰯は、容易に大量に獲れるため、安価で価値の低い魚とされてきました。
また、魚編に弱いと書く漢字(鰯)の成り立ちは、
陸に揚げるとすぐに弱って腐りやすいことに由来しているという説
があったり、
『いわし』という名前については、
貴族は口にすることのない『卑(いや)しい魚』という意味があるとも言われたり、いいイメージを持たれていませんでした。
さらには、江戸時代には鰯の干物は食用以外にも、畑の肥料としても使われていたという事実もあるほどです。
鰯という魚は、数ある魚の中でもそれほどに価値の低い魚だったのです。
そして、『鯛の尾より鰯の頭』とは、そんな相対する魚である鯛と鰯、
身体の部位の中で両極の尻尾と頭を対比させることから生まれたことわざになります。
鯛という高級魚を、大きな組織やハイレベルな集団、
安価で価値の低い鰯を、小さな組織、低レベルの集団にたとえて、
大きな組織やハイレベルな集団のなかで『尾(低い地位)』に甘んじるよりも、小さい組織や低レベルの集団の中で『頭(長、トップ、高い地位)』として活動する方が良いという意味になります。
より具体的に言えば、せっかく大きく、レベルの高い組織に属しても、その中で埋もれてしまい自分の力を発揮できないままではもったいないですよね。
大きく、レベルの高い組織の中でくすぶるくらいなら、小さく、レベルの低い組織であっても、自分の力が発揮できる場所にいた方がいいということですね。
また、『鯛の尾より鰯の頭』は、江戸時代に主として俗語・俗諺などを集め、五十音の横の段の順序に配列して語釈が加えられた当時の国語辞典のような書物である『俚言集覧(太田全斎著)』に既に見られることわざです。
『鯛の尾より鰯の頭』の類義語、対義語
鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ)
意味 ・・・ 大きな集団や、組織で、従う者になるよりも、小さい組織でも、その長になれということ。
寄らば大樹の陰(よらばたいじゅのかげ)
意味 ・・・ 頼るならば、勢力の大きなしっかりした人の方がよいということ。
こんな場面で使おう!『鯛の尾より鰯の頭』を使った例文
・野球の強豪校からスカウトがあったが、鯛の尾よりも鰯の頭ということで、レギュラーになれる保証のない強豪校には行くより、地元の公立高校でエースで四番を目指すことに決めた。
・エリートばかりの大手企業で自分の力を発揮できずにくすぶるくらいなら、鯛の尾よりも鰯の頭だと転職するのも悪い話ではないと思う。
・高校受験を控えた弟は、鯛の尾よりも鰯の頭と、あえて志望校のランクを落として、その高校で成績上位になり、推薦枠を勝ち取るつもりのようだ。
・鯛の尾よりも鰯の頭ということわざがあるように、芸能事務所は大きい方がいいとは限らない。
・海外のビッグクラブに移籍するサッカー選手が多いが、彼は鯛の尾よりも鰯の頭で、ビッグクラブでベンチを温めるより、Jリーグで試合に出続けることの方がサッカー選手として充実していると考えている。
・アイドルを目指す彼女は、鯛の尾より鰯の頭と、人気アイドルグループではなく、地下アイドルグループのオーディションを受けるそうだ。
『鯛の尾より鰯の頭』を英語で表現すると?
このような比喩的な表現があります。
Better be the head of a dog than the tail of a lion.
ライオンの尻尾であるよりは犬の頭であるほうがましだ。
まとめ
あえて目標を高く持ち、自分の身を高いレベルに置くことで人は成長していくのかもしれません。
可能性が薄くとも夢を追いかけることも大切なことでしょう。
ですが、人間は自分の持つ力を発揮できる場所でこそ輝くことができます。
鯛の尻尾と鰯の頭・・・。
難しい話ですよね。
理想を言えば、鯛の頭になれれたらいいんですけどね・・・。
鯛の尾に甘んじるくらいなら、鰯の頭を目指してがんばっていきましょう。