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『笑わない男』ラグビー日本代表・稲垣啓太選手から、ことわざを学ぼう!
4年前のラグビーワールドカップ(イングランド大会)において、最も知名度を上げた日本人選手と言えば、五郎丸ポーズで一世を風靡した五郎丸歩選手でしたが、今年の東京大会においては、この選手でしょう。
フォワードながら見事に代表初トライを決め、さらには『笑わない男』として大会期間中も、その後の会見や出演番組でも最も注目を集めた選手と言えるでしょう。
そうでなくても強面なのにもかかわらず、一切笑わない。
それでいてサービス精神は旺盛で、トーク番組などでの受け答えは理路整然としていて、頭の良さが滲み出ていますね。
理路整然(りろせいぜん)
意味 ・・・ 文章や話が、秩序立てた論理で展開されているさま。
そんな魅力いっぱいの日本代表プロップ、『笑わない男』稲垣啓太選手にちなんで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『男は三年片頬』
男は三年片頬(おとこはさんねんかたほほ)
意味 ・・・ 男たるものはむやみやたらに笑わず、三年に一度だけ片方の頬に笑みを浮かべる程度に留めよということ。
『男は三年片頬』の解説
いつもヘラヘラ笑っていると、威厳が損なわれるため、男、武士たるもの、滅多なことで笑わないほうがいいという格言です。
また、『武士は三年片頬』と、『男』を『武士』に変えて言われることもあります。
『男は三年片頬』の由来 薩摩隼人とは?
薩摩(今の鹿児島)で生まれた表現になります。
はるか昔、薩摩には隼人一族という民族が住んでいました。
その隼人一族は、すばしっこく、勇猛だったそうです。
そんな隼人一族の血を引く薩摩の武士は、薩摩隼人と呼ばれ、讃えられてきました。
そして、ここでの『男』または『武士』とは、薩摩の武士である薩摩隼人のことを指しています。
また、現代では、鹿児島県出身の男性のことを薩摩隼人と呼ぶこともあります。
作家の司馬遼太郎は、著書の中で薩摩人について、
薩摩隼人は勇猛で、それでいて敵には優しかった。また、恥ずかしがり屋だ。
参考 司馬遼太郎『街道をゆく』
と分析しています。
そんな恥ずかしがり屋で、無骨ながら情に厚い薩摩人の人柄から、生まれたことわざではないでしょうか。
また、同じ九州地方の肥後(現在の佐賀)には、『すら笑いする者は男はすくたれ、女はへらはる』ということわざがあり、九州特有の慣習から生まれたものなのかもしれませんね。
すら笑いする者は男はすくたれ、女はへらはる(すらわらいするものはおとこはすくたれおんなはへらはる)
意味 ・・・ 薄ら笑いする者は、男なら意気地なしであり、女なら淫乱だということ。
『男は三年片頬』の類義語、対義語
類義語
沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん)
意味 ・・・ 雄弁なことより、何も語らず黙っているほうが勝っているということ。しゃべりすぎを戒めることば。
※寡黙という観点から、類義語の例として挙げておきます。
対義語
笑顔に当たる拳はない(えがおにあたるこぶしはない)
意味 ・・・ 笑顔に接すれば、握りしめた拳も収めざるを得ないということ。
気難しい老女も笑顔は打たず(きむずかしいろうじょもえがおはうたず)
意味 ・・・ 笑顔は誰にも好かれるという意。(中国のことわざ)
※笑うことを肯定しているという観点から、対義語といて挙げておきます。
こんな場面で使おう『男は三年片頬』の例文
例文 祖父は厳格な人で、男は三年片頬と、滅多なことで笑わない人だった。
例文 男は三年片頬と言うが、感情を表現することは悪いことではないと思う。
例文 私の彼は普段は全く笑わないが、男は三年片頬の魅力なのか、ごくたまに笑うと、とてもかわいい。
例文 男は三年片頬とは言っても、あの芸人のモノマネだけは我慢できない。
例文 葬儀屋という職業柄、男は三年片頬を意識して、外では気を張っているが、実は私はかなりのゲラである。
まとめ
勝負の世界において、感情を爆発させる姿は大いに感動を呼びますが、ポーカーフェイスで黙々と自分のやるべきことに全力で取り組む稲垣選手。
プレー的には過酷でも、あまりスポットが当たらないポジションの重要性やカッコ良さを、今回のワールドカップで日本中に伝えてくれた選手の一人でしょう。
年齢的にも、2023年のワールドカップではフォワード陣の要となっていると思われますし、是非東京大会以上の成績を残し、4年越しの笑顔を見せて欲しいですね。
写真週刊誌の報道であったように、私生活も順調のようですので、一足先にそちらの方で最高の笑顔が見られるかもしれませんね。