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今日のことわざ『初心忘るべからず』の意味、由来、類義語、対義語、使い方、英語表現などをエピソード付きで徹底解説!

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人気ドラマ『俺の家の話』からことわざを学ぼう!

ジャニーズ事務所からの退所を控える長瀬智也さん主演の『俺の家の話』ですが、いよいよ物語も終盤に入り、盛り上がりを見せていますね。

多くの門弟を抱える能楽の宗家(観山家)となる家族を舞台にして繰り広げられるホームドラマで、能楽だけでなく、家族の絆、親の介護、遺産相続、離婚問題、子供の学習障害、恋愛など、多くのテーマについて描かれ、非常に見ごたえがあり、私は毎週楽しみにしています。

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能楽とは、日本の伝統芸能で、室町時代に観阿弥(かんあみ)・世阿弥(ぜあみ)親子によって大成したと言われ、仮面を被った役者が舞台で囃子(はやし)に合わせて謡曲をうたい、演じるお芝居になります。

そして、ドラマ『俺の家の話』の中でも、世阿弥が残したとされる言葉が度々登場します。

長瀬智也さん演じる宗家(観山家)の長男は、覆面レスラー・スーパー世阿弥マシンとしてプロレスを続けながら、西田敏行さん演じる人間国宝である父親の跡を継ぐために修業に励んでいるのですが、スーパー世阿弥マシンの衣装には、胸に大きく『初心』と書かれています。

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というわけで、今日のことわざは、世阿弥が残したとされる『初心忘るからず』を紹介したいと思います。

今日のことわざ『初心忘るべからず』

今日のことわざ
 

初心忘るべからず(しょしんわするべからず)

意味 ・・・ 初めのころの真剣な気持ちを忘れてはいけないということ。

『初心忘るべからず』の意味、由来

世阿弥(ぜあみ)は、父・観阿弥と共に、能楽を高い芸術性を備えた芸能へと発展・大成させただけでなく、

父・観阿弥の教えを基に、能の修行法・心得・演技論・演出論・歴史・能の美学など自身が会得した芸道を伝書として書き残していたことでも知られており、

それらの著述は、歴史的史料価値だけではなく、文学的価値としても高く評価されています。

そして、50代半ばには、約20年間もの著述の集大成として、『花鏡(かきょう)』という伝書を残しているのですが、その中に『初心忘るべからず』と書き残されています。

『花鏡』において世阿弥は、

しかれば当流に万能一徳の一句あり。 初心忘るべからず。この句、三ヶ条の口伝あり。

是非とも初心忘るべからず。

時々の初心忘るべからず。

老後の初心忘るべからず。

この三、よくよく口伝すべし。

と述べ、初心はひとつではなく、若いときの初心人生のときどきの初心老後の初心、人生の中にはいくつもの初心があると言っています。

まず、一番目の『初心』とは、

若いころ、芸事を始めたころの『初心』を指しています。

若いときは周りからチヤホヤされるが、それは若さゆえの一時的な輝きにすぎない。

そこで思い上がってしまっては、成長は止まってしまう。

24~5歳くらいのときにあらためて自分の未熟さに気づくことが大切であり、先輩や師匠の話や助言を聞いたりして、自分を磨き上げていかなければ、本物にはなれないと言っています。

続いて、人生ときどきの『初心』とは、

若々しい時代を経て中年になってくると、成長が止まってしまうことで力が落ちてきたり、芸がマンネリ化してしまい観る者に飽きられたり、様々な問題にぶつかるようになってきます。

そのときどきの壁をどう乗り越えていくのか、その工夫が、人生のときどきの初心であると言っています。

そして、老後の『初心』とは、

肉体や美しさが衰えていく中で、それをどのように乗り越えていくかに言及しています。

年老いていく中で失っていく体力や美しさを補い、華やかではなくとも年齢相応の深みのある芸を磨くための心構えを『老後の初心』と説いています。

つまり、世阿弥が言うところの『初心』とは、

物事を始めたころの謙虚で真剣な気持ち、

習い事や芸事を始めたころの未熟さを意味しているのです。

芸を極めるには長い修行が必要で、誰もが段階ごとに多くの壁にぶつかるものです。

壁を乗り越え、さらに成長するには、これらの『初心』を忘れないでおくことが大切であると世阿弥は言っているのです。

それが転じて、簡略化され、現代では『初心忘るべからず』とは、

初めのころの真剣な気持ちを忘れてはいけないということ。

という意味として使われるようになっています。

『初心忘るべからず』の類義語、対義語

類義語
 

初志貫徹(しょしかんてつ)

意味 ・・・ 初めに心に決めた志を最後まで貫き通すこと。

原点回帰(げんてんかいき)

意味 ・・・ 基本に立ち返ること。初心に立ち戻ること。

始めが大事(はじめがだいじ)

意味 ・・・ 何事も最初が大切だということ。

対義語については、適切な表現が見当たりませんでした。

なにか見つかれば追記致します。

こんな場面で使おう!『初心忘るべからず』を使った例文

慣れによる自惚れや怠けることを戒める言葉として使われます。

例文
 

・超一流のダンサーの彼女でも、初心忘るべからずと、毎日基本動作の確認を入念に行うそうだ。

・今の仕事にも慣れてきたが、初心忘るべからずで作業手順はしっかり守ろう。

・調子のいい時こそ、初心忘るべからずと謙虚な気持ちで取り組むべきだ。

・ 部活の練習は毎日苦しくて辞めたくなる時もあるが、初心忘るべからず、サッカーを始めた頃の気持ちを忘れないでおこう。

・彼は営業成績がトップになった今でも、初心忘るべからずと、どんな相手に対しても低姿勢だ。

『初心忘るべからず』を英語で表現すると?

比喩的な表現ではなく、直接的な言い回しですが、英語では『初心忘るべからず』をこのように表現できます。

Don’t forget your first resolution.

resolution ・・・ 決意、決心

直訳 初めの決意(初心)を忘れてはいけない。

Never forget the beginner’s humility.

humility ・・・ 謙虚

直訳 初心者のころの謙虚さを決して忘れてはならない。

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まとめ

世阿弥が『花鏡』に書き残したように、私たちの人生においても、『初心』に帰るべき時は何度も訪れます。

謙虚さを失い、『初心』を忘れてしまえば、それ以上の成長はあり得ないでしょう。

『俺の家の話』のなかで、長瀬智也さん演じる主人公・観山寿一も、プロレスラーとしてはピークを過ぎ、家業では幼少期以来、数十年ぶりに能の稽古に励んでいます。

そこには、多くの『初心』が存在しているように私は思いました。

さて、物語も佳境に入り、どのようなラストが待っているのでしょうか?

 

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