目次
あっという間に日が暮れてしまう秋から、ことわざを学ぼう!
11月に入ってから、すっかり日が短くなりましたね。
夕飯の買い物や出先でちょっと長居してしまえば、辺りはすっかり真っ暗です。
秋の日は釣瓶落としということでしょうね。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『秋の日は釣瓶落とし』
秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし)
意味 ・・・ 秋の日の急速に日が暮れる様子のたとえ。
『秋の日は釣瓶落とし』の意味、由来
まず、『釣瓶(つるべ)』とは、井戸から水を汲み上げるために使う道具のことになります。
※こちらの鶴瓶さんではありません。読み方は同じですが、漢字が違います。
釣瓶の仕組みとしては、縄の先に桶を取り付けて、その縄を滑車に掛けて引っ張り上げます。
現代では井戸自体が珍しいものですし、墓地や農家さん、田舎の古民家などでは見かけますが、ポンプで汲み上げる方式の井戸がほとんどですね。
ですが、手動ポンプが普及(大正時代あたり)する以前までは、鶴瓶で井戸の水を汲み上げていました。
桶の大きさにもよるでしょうが、鶴瓶を引っ張り上げるにはそれなりの力が必要ですし、時間も掛かります。
ですが、落とす時はあっという間に井戸の底まで落ちていきます。
この現象を、あっという間に暮れる秋の日暮れにたとえて、『秋の日は釣瓶落とし』とは、
秋の日の急速に日が暮れる様子のたとえ。
という意味になったのです。
さらに、気象の面からもう少し掘り下げて考えてみますと、日没時刻は春から夏にかけて遅くなり、夏から秋にかけて早くなっていきます。
例年通りだと、一番遅い日没時刻は6月でおよそ19時、一番早い日没時刻は11月で16時30分くらいになります。
そして、春(3〜5月)から夏(6〜8月)への日没時間の変化は緩やかですが、夏から秋(9〜11月)への変化は大きく、日没時間は日に日に早くなっていきます。
また、満足に照明器具のない時代では、日が暮れてしまうまでにその日の仕事を終えなければなりません。
さらに秋は主食となる穀物の収穫時期と重なりますので多忙を極めたことでしょう。
実際に急速に日暮れが早くなっていくことに、時間に追われるという心理も加わって、『秋の日は釣瓶落とし』という表現が広く認知されていったのではないでしょうか。
また、歌舞伎の脚本『勧善懲悪覗機関(通称・村井長庵)』(1862)に、
「秋の日の釣瓶落し。日が暮れるに間もござりませねば、今日はお暇致しませう」
とあり、江戸末期には浸透していたものと考えられます。
『秋の日は釣瓶落とし』の類義語、対義語
秋の日の鉈落とし(あきのひのなたおとし)
意味 ・・・ 秋の日の急速に日が暮れる様子のたとえ。
対義語としては・・・
申し訳ありません。
適切な対義表現が見つかりませんでした。
何か見つかれば追記致します。
こんな場面で使おう!『秋の日は釣瓶落とし』使った例文
・秋の日は釣瓶落としだから、今のうちに下山しておくべきだ。
・まだまだ明るいと思っていたら、秋の日は釣瓶落としで、学校を出た頃には辺りは真っ暗だった。
・秋の日は釣瓶落としというし、まずは屋外での仕事を優先的に終わらせよう。
・秋の日は釣瓶落としだから、我が家では稲刈りや脱穀の日は家族総出で早起きして作業することにしている。
・夕焼けでも眺めて黄昏たい気分だが、秋の日は釣瓶落としで、あっという間に日が暮れてしまう。
『秋の日は釣瓶落とし』を英語で表現すると?
そのまま比喩的に表現すると、
Autumn sun sets as quickly as a bucket dropping into a well.
・秋の日は釣瓶が井戸に落ちるように早く沈む。
のように表せます。
まとめ
ことわざを学ぶなかで毎度のように痛感することですが、昔の人は賢いですね。
『秋の日は釣瓶落とし』なんて、語呂も字面もいいセンスしてますね。
不便が感受性を磨き、発想力を豊かにしたのでしょうか。
お恥ずかしながら文明に慣れ切った私には学ぶことだらけです。
では、秋の日は釣瓶落としですので、今日は暗くならないうちにお暇させていただきます・・・。