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最後の追い込みをかける広島カープから、ことわざを学ぼう!
当ブログでも何度か話題にしていますが、私はカープファンなのですが・・・
残念なことに、2016年からリーグ三連覇を果たして以来、低迷が続き、今シーズンも苦しい戦いを強いられています。
ですが、守護神として定着したドラフト1位ルーキー・栗林選手や、捕手だけでなく一塁手としても出場を果たし、打棒を開花させた坂倉選手などが台頭し、最下位争いに甘んじながらも、それなりに見応えのある試合を繰り広げています。
また、カープの、いや、日本の四番・鈴木誠也選手が7.8月期の月間MVPを受賞するほどの好調ぶりで、9/9には6試合連続本塁打という、プロ野球記録にあと1試合と迫る球団記録を達成し、反撃の狼煙を上げたかに思えたのですが・・・。
さすがに、残りの試合数ではクライマックスシリーズ進出も厳しい状況ですが、来期につながるカープの快進撃を願って今日のことわざは・・・
今日のことわざ『狼煙を上げる』
狼煙を上げる(のろしをあげる)
意味 ・・・ 合図や警報のために、のろしの煙をあげる。大きな動きのきっかけとなる行動を起こす。
『狼煙を上げる』の意味、由来
まず、『狼煙(のろし)』とは、
合図や警報のために、薪 や火薬などを燃やして高くあげる煙。
という意味になります。
そして、狼煙の起源は古代中国まで遡ります。
当時の遠方への通信手段は、馬に乗って手紙を届けるか、人が走って伝えに行くくらいしかありませんでした。
もちろん現代のように、携帯電話やトランシーバーなどの通信無線機器などありませんからね。
そこで、遠くへ合図や警報を伝えるために狼煙が使われていたのです。
このことから、『狼煙を上げる』とは、
合図や警報のため、狼煙の煙をあげる。また、狼煙を合図に行動することから、転じて、大きな動きのきっかけとなる行動を起こす。
という意味になったのでした。
ここで『狼煙』について、少し掘り下げてお話しておきます。
狼煙は主に戦での合図や連絡手段として使われました。
攻撃の合図や敵が攻めてきたことなどを狼煙を上げることで味方に伝え、戦場での意思疎通を図っていたのです。
また、燃やす原料によって煙の色を変えたり、複数の色の狼煙の順序を組み合わせることで複雑な情報や戦略を伝えたり、中継地点を設けてリレー方式で繋げていくことで伝達距離を伸ばすなど、様々な工夫が凝らされていたそうです。
狼煙を上げるために作られた施設を狼煙台といい、古くは中国の万里の長城などにそれらしい遺構が現存しています。
最後に、『狼煙』に、『狼(おおかみ)』という漢字が使われている理由を説明します。
それは、狼の糞に関係しています。
狼の糞を原料(燃えやすく煙の多く出る藁や乾燥した葉や草など)に混ぜて燃やすとさらに煙の量が増え、真っすぐ上に向かって昇っていくことから、その手法は中国で古くから実践されていました。
なぜ狼の糞を燃やすと煙の量が増え、真っすぐ上に昇っていくのかといいますと・・・。
ここは専門家にお任せさせていただきます。
肉食動物(狼)の排泄物には、尿素、アンモニア、アミン類を多量に含み、それが長時間風雨にさらされると酸化し、土中の硝酸バクテリアによって硝酸塩に変化します。
そして、硝酸塩は火薬の原型になる物質です。オオカミのフンを燃すと、その煙は風があっても真っすぐに上昇すると伝えられていますが、この硝酸塩の作用によるものなのです。
また、日本でも、戦国時代に書かれた「築城記」にも、
『のろしはかがりを焼く如く木を積みておくなり、用のとき火を付る。狼のふんをくぶるなり』
とあり、日本でも狼の糞は使われていたようです。
引用・参考サイト:https://blog.goo.ne.jp/nagoya74/d/20060609
『狼煙を上げる』の類義語、対義語
火蓋を切る(ひぶたをきる)
意味 ・・・ 争いや競争を始めること。
矛を収める(ほこをおさめる)
意味 ・・・ 争いや攻撃をやめる。
こんな場面で使おう!『狼煙を上げる』を使った例文
・藩主の横暴に耐えかねた農民たちは、ついに狼煙を上げて一揆を起こした。
・温存していたエースの登場と共に、我がチームは反撃の狼煙を上げた。
・村のお祭りは、丘の上で狼煙を上げたのを合図に始まるそうだ。
・私が勤めている会社は、いつ倒産してもおかしくないほどの経営状況だったが、復活の狼煙を上げるべく、満を持して新製品を発売した。
・復活の狼煙を上げる彼のガッツ溢れるプレーによって、チームの士気は最高潮になった。
『狼煙を上げる』を英語で表現すると?
比喩的表現ではありませんが、このよう表せます。
light a signal fire
直訳:合図となる火をつける
まとめ
今回は『狼煙を上げる』という慣用句だけでなく、使われた漢字の由来や便利なものがなかった時代の人たちの知恵など、多くのことが学べたと思います。
私自身も今回『狼煙を上げる』という表現を改めて調べることで、『狼の糞』が燃え種として使われていたことから、『狼』という漢字が使われていると初めて知りました。
お恥ずかしながら、数キロ先まで届くという狼の遠吠えに由来するものだと勝手に想像していました。
2021年9月現在、日本ではワクチンの接種率も大幅に上がり、緊急事態宣言中ではありますが、新規感染者も減少してきています。
近い将来にコロナが収束して、日常を取り戻せる日に備えて、私たちも『狼煙を上げる』準備をしっかり進めておきましょうね。