いきなりニュージーランド VS 南アフリカ という世界最高レベルの試合が行われるなど、盛り上がりを見せているラグビーワールドカップですが、やはり自国開催というのはいいですね。
選手たちの強烈なプレッシャーを思えば、こんな呑気なことは言ってられませんが、何と言っても時差がないのが最高ですね。
身体に負担を掛けることなく、リアルタイムで観戦できる、これに尽きます。
余ったエネルギーは応援に回して、私たちも頑張りましょう!
次戦のアイルランド戦までは少し時間がありますので、今回は少し代表選手たちに触れてみようと思います。
代表発表直後、世間をザワつかせたように、31名の選手の中に、海外出身の選手が過去最多の15名もいます。
さらにはチームをまとめるキャプテンには、ニュージーランド出身の、リーチ・マイケル選手、ロシア戦で大活躍した松島幸太郎選手も、父親がジンバブエ人という異国の血が入っています。
これはロシア戦での場面ですが、大柄なロシア人にも全く見劣りしない体格、フィジカルの強さはさすがです。
松島選手の足の速さ、リズミカルなステップなんかは、なかなか日本人には真似できないものですねよね。
正直、彼らのような外国人選手の加入、活躍がなければ、現在の日本ラグビーの発展はなかったでしょう。
彼らのおかげで、日本人選手の能力も向上し、ワールドカップを自国開催できるまでになったのですが、その一方で、残念なことに批判的な声があるのも事実です。
『これじゃ、どこの代表か分からない・・・』
『日本人だけで戦ったらどんだけ弱くなるんだ?』
『自分の出身国では代表になれず、ワールドカップに出られないから、日本代表になったんだろ?』
など、心無い声が多くあるようです。
実際、ニュージーランド出身のリーチ・マイケル選手が、ニュージーランド代表としてキャプテンにまで選ばれるのかと言えば、それは断言はできません。
ニュージーランド代表、オールブラックスが試合前に行う、『ハカ』と呼ばれる マオリ族の伝統的儀式で、試合中のような盛り上がりを見せます。
桐蔭学園高校で花園を制した後、故郷である南アフリカに渡り、 U-20代表候補に選ばれた経歴を持つ松島幸太郎選手がそのまま南アフリカでラグビーを続けていたら、今回の南アフリカ代表として出場できたかは、誰にもわかりません。
ですが、、『所変われば品代わる』で、言葉の壁、人種の壁、習慣の壁を乗り越えて、異なる食文化のなかで、食べることもトレーニングと言われるラグビーに取り組むということだけでも、とんでもなく過酷なことでしょう。
所変われば品変わる(ところかわればしなかわる)
意味 ・・・ 土地が違うと風俗・習慣・言葉なども違うということ。
そして、彼らが日本代表を選んだ根底にあるものは、決まって『感謝』『恩返し』という言葉です。
主にトンガやフィジー、サモアなど、貧しい南の国から来た彼らは、自分を歓迎してくれ、ラグビーに集中できる環境を作ってくれた日本という国、日本人に恩義を感じ、日本人の精神、文化に共感し、日本代表を選択したと口を揃えて言います。
彼らがラグビー留学生としてやってきた国がたまたま日本だったというだけの話なのかもしれませんが、今でもその気持ちを決して忘れることはありません。
さらに、一度どこかの国の代表チームに入れば、もうそれ以外の国の代表チームには入れないというルールもありますから、彼らが日本代表になるということは同時に母国を捨てるというこを意味するのです。
彼らには、彼らにしかわからない悩み、葛藤を乗り越えてきたのです。
選択できれば苦労あり(せんたくできればくろうあり)
意味 ・・・ 選択の自由があると迷いも多くなる。選択肢が多ければ良いというものではなく、それなりに苦労を伴うということ。
というドイツのことわざがありますが、日本代表を選んだ彼らの心労は大変なものだったことでしょう。
また、次のようなことわざもありますが・・・
鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ)
意味 ・・・ 大きな集団や、組織で、従う者になるよりも、小さい組織でも、その長になれということ。『鶏口』とは、ニワトリのくちばし、『牛後』は、牛のしっぽ。
鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのかしら)
意味 ・・・ 大きな組織や高レベルの集団の下にいるより、小さく低いレベルであっても上の地位で活動するほうが良いということ。
とんでもない勢いで突進してくる相手に、真っ向からタックルで立ち向かっていく彼らに、このような打算などあるはずがありません。
もうひとつ言えば、ラグビー強豪国であるニュージーランド、イングランド、アイルランド、南アフリカ、オーストラリアなどの代表チームだって、様々な人種で構成されていますからね。
ちなみに、名前の表記についてですが、おかしいな?と感じたことはありませんか?
リーチ・マイケル、トンプソン・ルーク など、ファーストネーム(名)とファミリーネーム(氏)が日本式になってますよね。
これも、彼らが希望して決めたことだそうです。
最年長のチームの精神的支柱となる、トンプソン・ルーク選手
ワールドカップの特集番組で目にしたのですが、代表チームのミーティング中、リーチ・マイケル選手が声を掛け、みんなで『君が代』の練習をしていました。
また、宮崎市での強化合宿後、リーチ・マイケルキャプテンなどの提案で、宮崎県日向市の大御神社を訪れ、『君が代』の歌詞に登場する、日本最大級の『さざれ石』を見学したそうです。
さざれ石とは、漢字では『細石』と表し、歌詞の中では、小さな石が長い年月を経て『巌(いわお)』(大きな岩)になっていくことが詠われています。
彼らは『さざれ石』を見て、何を思ったのでしょうか?
大金星を挙げ、3勝したにもかかわらず、予選突破が叶わなかった前回大会からの4年間でしょうか・・・
祖国を離れ、ラグビーに打ち込んできた今日までの長い年月のことでしょうか・・・
異国の地で経験してきた多くの苦労でしょうか・・・
私は、『さざれ石』について正確な知識がなかったことを日本人として恥ずかしく思いました。
みなさん、わかって頂けましたか?
彼らは、紛れもなく日本の心を持った、立派な日本代表のラガーマンに違いありません!
日本もそろそろ、異国の地で懸命に生きる彼らを見習い、グローバルな感覚を身に付けていく時代ではないでしょうか?
今回は、たくさんのことわざを紹介できたことに加えて、投稿記事が長くなり過ぎてしまいましたので『郷に入っては郷に従え』の詳しい解説については、また明日ということで、失礼します。