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芸能界の結婚ラッシュから、ことわざを学ぼう!
今年の芸能界は結婚ラッシュに沸き、たくさんのおめでたいニュースが報じられましたね。
山里亮太さん、蒼井優さんのカップル、バカリズムさん、壇蜜さん、オードリー若林さんなど、今が旬の人気者が多く結婚されました。
末永くお幸せにということで、今日のことわざは・・・
今日のことわざ『おしどり夫婦』
おしどり夫婦(おしどりふうふ)
意味 ・・・ 仲が良く、いつも一緒にいる夫婦のこと。
『おしどり夫婦』の意味
おしどり夫婦のオシドリ(鴛鴦)は、鳥類のカモ目カモ科に属する水鳥で、鴨の仲間に分類されます。
カラフルでポップな色彩の羽を持つのがオスで、地味な灰色がメスになります。
また、漢字で書くと『鴛鴦(おしどり)』で、『鴛鴦(えんおう)』とも読まれます。
オシドリは、雌と雄がいつも一緒に行動します。
確かに、川や湖にいるカモなどの水鳥を見ると、番(つがい)で仲良く行動しているイメージがありますよね。
そのような習性から、おしどり夫婦とは、仲むつまじい夫婦を表す表現になったと言われています。
『おしどり夫婦』の由来
また、中国の故事に見られる、「鴛鴦の契り」という逸話が由来とされています。
簡単にまとめると・・・
国の春秋時代、宋という国の権力者であった康王(こうおう)は、自分の家来である韓憑(かんぴょう)の妻・可氏(かし)という女性を気に入り、権力を使って強引に自分の側室(妻)にしてしまいました。
権力を盾にした、有無を言わせぬ略奪婚といったとこでろでしょう。
もちろん韓憑はそれを不服に思いましたが、時代が時代です。
抵抗する術などなく自決してしまいました。
さらには可氏も、「愛する韓憑と同じお墓に埋葬して欲しい」という言葉を残して、後を追うように自決しました。
二人の死を知った康王は悲しむどころか、怒り狂い、あえて二人のお墓を向かい合わせに建てました。
しかし、しばらくすると二人が埋葬されたそれぞれの墓から木が生えてきて、枝と枝が手を繋ぐように結びついたのです。
そしてその木に鴛鴦(おしどり)の番い(オスとメス)が巣を作り、二羽は寄り添いながら一日中鳴き続けたのでした・・・
こんなお話です。
『おしどり夫婦』という表現は、このような寂しい故事に由来すると言われています。
おしどりの生態のホントのところ・・
そんなロマンチックなエピソードを持つ『おしどり夫婦』の『おしどり』ですが、本当のところはどうなのでしょうか?
少し残念な話ですが、実はおしどりが『おしどり夫婦』として共に行動するのは、「メスが卵を生み終えるまで」限定なのです。
メスが卵を産み終えると、オスは一生を添い遂げるなんてとんでもない話で、子育てを手伝うどころか、卵を守ったり温めたりすらすることなく、別のメスを探しに行ってしまうのです。
オスはそれを毎年繰り返し、冬ごとに違うパートナーと結ばれるのです。
人間だったとしたら、とんでもないクズ男ですが、厳しい自然界で生き残るために身に付いた習性のようです。
またこれも少し寂しい話ではありますが、メスはメスで、逃げて行ったオスを想い続けるでもなく、憎むでもなく、我が子の世話に精一杯で、気にする様子もないそうです。
まさに、『母は強し!』ですね。
『おしどり夫婦』の類義語、対義語
偕老同穴(かいろうどうけつ)
意味 ・・・ 夫婦が共に長生きし、同じ墓に埋葬されることから、睦まじい幸せな夫婦のたとえ。
天にありては比翼の鳥地にあらば連理の枝(てんにありてはひよくのとり ちにあらばれんりのえだ)
意味 ・・・ 夫婦が仲睦まじいことのたとえ。
比翼連理の契り(ひよくれんりのちぎり)
意味 ・・・ 仲が深く睦まじい夫婦の契り。(雌雄の鳥が並んで飛び、一本の木の枝と他の木の枝がくっつき木目が通じることからいう。)
仮面夫婦(かめんふうふ)
意味 ・・・ 人前では仲のいい夫婦を演じながらも、実際にはその夫婦関係は破綻している状態の夫婦。
※対義語としては厳しいものがありますが、一応『夫婦関係」を表すことわざとして挙げておきます。
こんな場面で使おう 『おしどり夫婦』を使った例文
・あの夫婦は芸能界を代表するおしどり夫婦として頻繁にテレビ共演しているが、それはあくまでビジネス用で、実際は典型的な仮面夫婦らしい。
・チャーミーグリーンのCMは、おしどり夫婦を絵に描いたようだった。
・番(つがい)の水鳥を見るたびに、おしどり夫婦として長く連れ添った祖父母を思い出して悲しくなってしまう。
・仕事ばかりで何もしてやれなかったと、定年退職後の父は、おしどり夫婦を目指して頑張っているが、かわいそうなことに、母は若干迷惑そうにしている時がある。
・おしどり夫婦で有名だった老夫婦は、妻が亡くなって間もなく、後を追うように主人もこの世を去った。
『おしどり夫婦』を英語で表現すると・・・?
英語では「lovebirds」という表現があり、「おしどり夫婦」と同じく「仲のいい恋人(夫婦)同士」という意味になります。
「lovebird」はボタンインコのことで、雄と雌がいつも一緒に寄り添っていることに由来しています。
英語でも男女の仲の良さを表す表現は、鳥の生態から生まれたようです。
英文にすると、
The theatre was full of lovebirds.
(劇場は恋人たちでいっぱいだった。)
のように表現できますね。
まとめ
『おしどり夫婦』ように動物の習性に由来することわざは多くあります。
例を挙げると・・・
猪突猛進(ちょとつもうしん)
意味 ・・・ 周りのことに構わず、目標に向かい、突き進むこと。(猪がものすごい勢いで真っすぐに走る様子から)
雉も鳴かずば打たれまい(きじもなかずばうたれまい)
意味 ・・・ 余計なことを言わなければ、災いを招くことはないというたとえ。(キジは、上手に草むらに隠れるが「ケーン」と甲高く鳴くので、ひと声鳴けば、猟師に見つかり、仕留められてしまうことから)
秋の鹿は笛に寄る(あきのしかはふえによる)
意味 ・・・ 恋に心を乱して自分を危険な状態にするたとえ。(牡鹿が牝鹿の声と思って鹿笛に寄せられることから)
若いウミガメの如し(わかいうみがめのごとし)
意味 ・・・ 愛と責任のない親をいう。(ウミガメは卵が孵るとそれを食べてしまうと見られたことから)
などがあります。
しかも、これらはほんの一部に過ぎないというほど、動物の習性を人間に置き換えたことわざは多くあります。
それだけ人間と動物が、古くから深く関係してきたということでしょう。
また、同じ動物として本能的に通じるものがあるのかもしれません。
そうだとすれば、動物の生態、習性を知ることで、何か新しい自分を発見できるかもしれませんね。
今後も動物にまつわることわざもどんどん更新していきますのでよろしくお願いします。