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男の子部門一位!『蓮くん』明治安田生命「生まれ年別の名前調査」から、ことわざ学ぼう!
2021年11月、明治安田生命が、毎年恒例の「生まれ年別の名前調査」の結果を発表しました。
男の子は、昨年(2020年)2位の『蓮(れん)』が首位、女の子は近年急上昇中だった『紬(つむぎ)』が、昨年8位から大きくランクアップし、初の1位に輝いたとのことでした。
男の子部門トップの『蓮(れん)』は、訓読みでは『蓮(はす)』と読みます。
『蓮(はす)』は、地中(泥沼)の地下茎から茎を伸ばして水面に葉を出し、7~8月には白や淡いピンク色の美しい花を咲かせます。
そして、地下茎の部分は煮物の定番具材である『蓮根(れんこん)』になります。
また、泥の中でも力強く根を張り、美しい花を咲かせ、連なってたくさんの実(レンコン)を付けます。
きっと、コロナの猛威によって世界が危機的状況に陥った真っ只中に生を受けた我が子に、どのような環境でも強くたくましく、美しく育って欲しいという思いが込められているのではないでしょうか。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『泥中の蓮』
泥中の蓮(でいちゅうのはちす)
意味 ・・・ 悪い環境のなかでも、それに染まることなく清く正しく生きることのたとえ。
『泥中の蓮』の意味、由来
冒頭で述べたように、蓮は沼地の中で泥にまみれて育ちながらも、美しい花を咲かせます。
このことから、『泥中の蓮』とは、
悪い環境のなかでも、それに染まることなく清く正しく生きることのたとえ。
という意味になります。
また、花が散った後の花托(かたくー花の付け根)の形が蜂の巣(はちのす)に似ていることから元々は「蓮(はちす)」と読まれていましたが、それが訛って現在の「はす」になったそうです。
そして、『泥中の蓮』 は「維摩経―仏道品」にある逸話に由来する表現になります。
その逸話とは、病気で寝ている維摩居士を文殊菩薩が見舞った際の問答を納めたものなのですが、かんたんに要約いたしますと・・・
維摩経(ゆいまきょう) ・・・ 仏教の経典の一つ。
維摩居士 ・・・ 『維摩経』の中で中心となって活躍する居士の名。
居士 ・・・ 出家せずに、家庭で修行をする仏教徒。
文殊菩薩 ・・・ 仏の知恵を象徴する菩薩。(三人寄れば文殊の知恵の『文殊』とは、文殊菩薩のことになります。)
菩薩 ・・・ 仏教において仏の位の次にあり、悟りを求め、衆生を救うために修行を重ねる者。悟りを求めて修行する僧。
病気で寝ている維摩居士を、文殊薩菩が見舞いに行った際に、維摩居士は、
「悟りの境地に達した如来になるには、何から始めるとよいのでしょうか」
と質問しました。
すると、文殊菩薩は「あらゆる煩悩が、如来になるための出発点となるのです」と答えました。
その真意を問う維摩居士に、文殊菩薩はこのように続けたのでした。
譬如高原陸地不生蓮花、卑湿淤泥乃生此華
譬えば、高原の陸地には蓮華を生せず、卑湿の淤泥に乃ち此の華を生ずるが如し。
訳:たとえて言えば、高い土地には美しい蓮の花は生えず、低い泥だらけの沼地の中にこそこの花が咲くようなものです。
つまり、文殊菩薩は、蓮の花が、泥沼に根を張りながらも美しい花を咲かせることを、煩悩に惑わされることなく、苦しみや悲しみを乗り越えてこそ悟りを開くことができることに重ねて、このように言ったのでした。
ここから、泥中の蓮という表現は生まれたのでした。
この逸話からもわかるように、蓮の花は仏教の象徴の花として、遥か昔から親しまれてきたのでした。
仏像の下の台座が蓮の花なのも、そのためです。
色を付けるとしたら、こんな感じですかね。
『泥中の蓮』の類義語、対義語
涅すれども緇まず(でっすれどもくろまず)
意味 ・・・ 悪い環境に置かれてもその影響を受けず、清く正しいことのたとえ。
濁りに染まぬ蓮(にごりにそまぬはす)
意味 ・・・ 汚れた環境にあってもそれに影響されずに、清らかさを保つことのたとえ。
朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)
意味 ・・・ 人は周囲に影響されやすく、交際する相手によって善にもなれば悪にもなるというたとえ。
こんな場面で使おう!『泥中の蓮』を使った例文
・どんな状況でも決して自分を見失わない彼女は、まさに泥中の蓮だ。
・転校先の学校はひどく荒んでいたが、私は泥中の蓮のように中学生活を送るつもりだ。
・汚職にまみれた政界で泥中の蓮となるのは、かんたんなことではないだろう。
・もう年々もボーナスは支給されておらず、大半の社員の士気は年々落ちる一方だが、彼だけは泥中の蓮のごとく、文句ひとつ言わず仕事に打ち込んでいる。
・コロナの影響で目標としてきた大会が中止になり、部員たちはみな腐ってしまっているなか、キャプテンは一人で黙々と練習を続けていた。その姿はまさに泥中の蓮だった。
『泥中の蓮』を英語で表現すると?
英語には、このような表現があります。
A myrtle among thorns is a myrtle still.
・茨の中でもギンバイカはギンバイカである。
myrtle・・・ ギリシャ神話で美の女神アフロディーテの神木で、愛と不死の象徴とされた。
ギリシャ語ではギンバイカ、英語では、マートル と呼ばれます。
まとめ
元プロ野球選手で、現在は主にユーチューブで活躍する清原和博氏は自身のチャンネルやホームページに、
辛い事もあった。
苦しいこともあった。
心が折れそうなこともあった。
だから俺は泥の中から、花を咲かす。
蓮の花のように生きてやる。
と掲げ、精力的に活動されています。
『蓮』という花は、名前として強い思いを込められるだけでなく、どん底を味わった人にも手を差し伸べ、希望を与えるような、非常に奥深い花のように思えますね。
お正月の煮しめには、いつもより多くの蓮根を入れましょうかね。
では、お後がよろしい様で・・・