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メジャーリーグ4年目のシーズン、大谷翔平選手が自身の代名詞である『二刀流』で投打に渡って大暴れしていますね。
先発投手としてローテーションの一角を担いながら、打者としては(2021年5月末現在)、本塁打数でトップ争いに名を連ねるほどの大活躍です。
NPB(日本のプロ野球)でのデビュー以来、潜在能力は非常に高く評価されていた大谷選手ですが、身体的に負担が多くかかる二刀流に対しては、批判的な意見が多くありました。
そして、事実として度重なる故障に悩まされてもきました。
正直なところ、これほどの大ブレイクに驚いている方も多いのではないでしょうか。
そして、さらに驚いたことがもう一つ・・・。
ホームラン王争いを繰り広げる選手の一人に、何の因果か、日本に馴染みのある選手がいたのです。
それはテキサス・レンジャースのホセ・アドリス・ガルシアという選手で、2016年に読売ジャイアンツでプレーしていました。
みなさんはガルシアを覚えていますか?
判定に納得がいかず、審判に全力の剛速球を投げつけたのはガルシアではなくガルベスですし、余程熱心なプロ野球ファン、巨人ファンでも、なかなか記憶していないのではないでしょうか。
それもそのはずです。
キューバの若手有望株として2016年の開幕直後に巨人へ加入したガルシア(当時23歳)でしたが、一軍での出場はわずか4試合で、ヒットは一本も打っていません。
またガルシアはなかなか日本での食事や文化に適応できず、2軍に落とされてからの練習態度も悪かったため、8月には早々と契約を解除されています。
その後、日本からパリ経由でキューバに戻るはずだったのですが、乗り換え地のパリでキューバ行きではなく、新天地をメジャーリーグに定めてドミニカ共和国行きの飛行機に乗って亡命したのでした。
そして、翌年(2017年)には多くのメジャー球団が彼の才能を評価して獲得に興味を示したものの、結果はカージナルスとのマイナー契約に終わりました。
その後、ガルシアは着々と力を付けていき、2018年にはメジャー初昇格を果たし、2019年には、メジャーでの出場機会はなかったものの、3Aで32本塁打、96打点の成績を残しました。
ですが、これほどの成績を残したにもかかわらず、カージナルスから戦力外通告を受けてしまい、2020年にレンジャーズ移籍することになってしまいます。
心機一転、ここでブレイクかと思いきや、メジャーでの出場はわずか3試合に終わり、キャンプ中に再び戦力外となってしまうのです。
さらには、引き取り手がなく、レンジャースとマイナー契約を結び直すしかありませんでした。
ですが、迎えた2021年、開幕後にケガ人が続出したことで、メジャーに再昇格すると、長年の鬱憤を一気に晴らすかのように打線の主軸として大活躍をみせており、多くの主要打撃部門のでトップ争いを繰り広げています。
世の中、どこでどうなるかわからないものですね。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『人間万事塞翁が馬』
人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)
意味 ・・・ 幸運や災難は、予測し難く、定まりないということ。
『人間万事塞翁が馬』の意味、由来
「人間万事塞翁が馬」とは、古代中国の前漢の時代に書かれた思想書『淮南子(えなんじ)』にある寓話に由来する故事になります。
『淮南子(えなんじ)』は、全21篇から成り、その中の第18篇「人間訓(じんかんくん)」という章に「人間万事塞翁が馬」のことわざの由来となる寓話があります。
※寓話 ・・・ 教訓や風刺を含んだ短い物語。
その寓話を要約しますと・・・
中国の北端の国境(塞ーとりで)の近くに、『塞翁』と呼ばれる占術に通じた老人(翁)がいました。
ある日、老人が飼っていた馬が国境を越えて逃げてしまいました。
人々は気の毒がって老人を慰めましたが、老人は落ち込んだ様子もなく、『そのうちいいことがあるだろう』と言いました。
しばらくすると、逃げたはずの馬が立派な馬を引き連れて帰ってきました。
そのことを人々が祝うと、老人は「これは不幸の元になるだろう」と言いました。
すると、やがてその予想は的中し、老人の息子が新しくやって来た馬から落馬して足の骨を折ってしまいました。
その事故を人々が見舞うと、老人は『これが幸福の元になるだろう』と言いました。
それから一年後、隣国が攻め込んできて戦争となり、兵として駆り出された若者のほとんどが死んでしまいましたが、老人の息子は怪我のため兵役を免れていたため、命拾いしたのでした。
素直に人の意見を聞き入れない天の邪鬼な爺さんの話のようにも思えますが、この寓話(エピソード)には、深い教えが込められています。
その意味とは、塞翁が飼っていた馬が様々な禍福をもたらしたように、人生において、良いことも悪いことも起こります。
そして、最終的に何が幸福で何が不幸であったかは、すぐに結果が出るわけではありません。
だから、一つひ一つの出来事に一喜一憂することなく、長い目で見て生きていくことが大切であるという教えになります。
一喜一憂(いっきいちゆう)
意味 ・・・ ある物事の変化など、ちょっとしたことで、喜んだり不安になったりすること。
すなわち、『人間万事塞翁が馬』とは、
人間万事(人の世で起こるあらゆる幸福や災い)は、(塞翁の馬の寓話のように)予測しにくく、定まりないということ。
いつ、どのようにして、幸せが不幸に、不幸が幸せに転じるかはわからないものだから、一時の感情で安易に喜んだり悲しんだりするべきではないという意味になります。
※人間(にんげん)は、人間(じんかん)と読まれることもあり、世の中、世間を意味します。
「が」は所有を表す格助詞で、塞翁の馬と同じ意味になります。
また、『塞翁が馬』とも言います。
『人間万事塞翁が馬』の類義語、対義語
禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)
意味 ・・・ 人生の幸福と不幸は、より合せた縄のように絡み合っていて、代わる代わるやって来るものだということ。
沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり(しずむせあればうかぶせあり)
意味 ・・・ 悪いときもあれば良いときもある。悪いことばかりが続くものではないというたとえ。
申し訳ありません・・・。
適切な対義表現が見つかりませんでした。
何かあれば追記致します。
こんな場面で使おう!『人間万事塞翁が馬』を使った例文
・人間万事塞翁が馬という言葉がある様に、人生、どこでどう転ぶかはわからない。
・高校受験に失敗して第一志望の高校に落ちてしまったが、人間万事塞翁が馬、別の高校へ行ったおかげで素晴らしい仲間と出会うことができた。
・人間万事塞翁が馬というように、営業成績が上がったからと油断は禁物だ。
・人間万事塞翁が馬で、あのお笑い芸人は、やっと人気が出始めたのに女性問題によってあっという間に干されてしまったらしい。
・十年ほど前に、長期入院によって仕事も貯金も失ってしまったが、人間万事塞翁が馬というやつで、入院したからこそ、看護師として働いていた今の妻に出会うことができた。
『人間万事塞翁が馬』を英語で表現すると?
英語にはこれらのような比喩的表現があります。
Joy and sorrow are today and tomorrow.
(今日の喜び明日は悲しみ)
A joyful evening may follow a sorrowful morning.
(悲しみの朝の後には喜びの夕べが訪れる)
まとめ
長い人生、良いことがあれば悪いこともあります。
ですが、最終的な結果はわかるのはずっと先のことという場合は多くありますし、自分の努力次第では結果を変えることだって可能でしょう。
塞翁のようにどんな災いや困難も広い心で受け止め、最後には笑っていたいものですね。