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新庄監督と前田智徳氏、二人の天才のやり取りから、ことわざを学ぼう!
日本ハム・新庄剛志監督が元広島で野球評論家の前田智徳氏に、来年の春季キャンプで「臨時コーチ」就任のラブコールを送ったことが話題になりましたね。
新庄監督は11月15日に自身のインスタグラムにおいて、
「同級生の天才前田さん。キャンプに選手を教えに来てくれないかな!?話してくれるかな!?」と前田氏の画像を添えて更新しました。
現役時代からサービス精神旺盛で派手なパフォーマンスが売りだった新庄監督とは対照的に、寡黙な職人といったイメージの強い前田氏ですが、意外にも多くの共通点があります。
同学年(71年世代)で高卒同期入団、九州出身、打つ守る走るの三拍子揃った外野手で、若くしてスタメンとして出場してきました。
現役時代にはお互いに意識してきたことでしょう。
そして、この度の新庄監督からのラブコールに対して前田氏は、テレビ朝日の公式YouTubeチャンネルで、
『冗談でしょ。新庄さんのサービスですよ』
とやんわりと受け流しつつ、キャンプでの選手指導については、
『私が教えられることはございません。稲葉さん(日本ハムファイターズGMで左打者)がいる。あんまりいろんな者が言い過ぎると良くないでしょ』
と大人の対応を見せていました。
前田氏は広島カープ入団してから、今でもなお恩師と仰ぐ水谷実雄打撃コーチの厳しい指導の下、才能を大きく開花させました。
前田氏が現役引退時(マツダスタジアムでの対阪神最終戦)に阪神の打撃コーチをされていた水谷氏に挨拶をした際、涙を流す姿が大きく取り上げられことを思い出し、『あんまりいろんな者が言い過ぎると良くないでしょ。』という言葉に重みを感じました。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『船頭多くして船山に上る』
船頭多くして船山に上る(せんどうおおくしてふねやまにのぼる)
意味 ・・・ 指図する人が多くて統率が取れず、物事がとんでもない方向にそれてしまうことのたとえ。
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『船頭多くして船山に上る』の意味、由来
まず、『船頭』とは現代では一般的に、渡し船などの小さな船の漕ぎ手をを指す言葉ですが、
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古くは大きな貿易船などの長を指していました。
今で言うところの『船長』と同じ意味になります。
近代に入り蒸気船ができる以前は、船長は風向き読んだり、航路を決めたり、漕ぎ手に指示を出したり、広く運航の指揮を執りました。
その船長が、一隻の船にたくさんいたらどうなってしまうでしょう。
船員たちは、どの船長の指示に従うべきか困惑してしまいますよね。
昔の船はGPSなんて装備されていませんし、エンジンもありません。
風向きと漕ぎ手の労力が全てです。
それぞれの船長が好き勝手な指示を出していたら、航海は上手くいかず、行きたいところに行けるはずがありませんよね。
このことから、『船頭多くして船山に上る』とは、
一隻の船に船頭が多くいたら、海の上を走るべき船がとんでもない方向へ向かい、山にまで上ってしまう。
転じて、指図する人が多くて統率が取れず、物事がとんでもない方向にそれてしまうことのたとえ。という意味になります。
由来や起源は明確ではありませんが、『船頭』という言葉が記録として残っているのが南北朝時代あたりからで、明治以降は『船長』と呼び名が変わっていったため、その間に生まれた表現だと考えられます。
歴史的にみると、南北朝時代以前は『梶取り』とよばれており、次第に『船頭』の語が並称され始め、現代の『船長』になったようです。
『船頭多くして船山に上る』の類義語、対義語
役人多くして事絶えず(やくにんおおくしてことたえず)
意味 ・・・ 役を受け持つ人が多いと、かえって事務処理が雑になって、物事がはかどらないということ。
三人寄れば文殊の知恵(さんにんよればもんじゅのちえ)
意味 ・・・ 凡人であろうと三人集まれば、文殊(菩薩)にも劣らない知恵を出すことができる。
衆力功をなす(しゅりきこうをなす)
意味 ・・・ 単独の力では困難でも多数の力を合わせれば物事に成功することのたとえ。
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こんな場面で使おう!『船頭多くして船山に上る』を使った例文
・少年野球の練習に多くのOBがコーチとして参加してくれるのはありがたいが、船頭多くして船山に上るで、子供たちが誰の言うことを聞くべきか困惑してしまっている。
・サッカーの県選抜チームに選ばれたが、司令塔的な選手ばかりで船頭多くして船山に上る結果になり、チームとして全く機能しなかった。
・起業するにあたって、いろんな人の意見を聞いて回った結果、船頭多くして船山に上るで会社の方向性を見失ってしまった。
・ドリームチームと騒がれたチームが惨敗の結果に終わったのは、船頭多くして船山に上るということだろう。
・船頭多くして船山に上るということわざがあるように、リーダーは一人に決めた方が上手くいくものだ。
![](https://kotowaza-everyday.com/wp-content/uploads/2021/12/4400855_l-1024x683.jpg)
『船頭多くして船山に上る』を英語で表現すると?
Too many cooks spoil the broth.
spoil ・・・ 台なしにする。 broth ・・・ 肉・魚・野菜などを煮出したスープ
・コックが多すぎるとスープがだめになる。
Many dressers put the bride’s dress out of order.
out of order ・・・ 故障中、度を超えている。
・着付けをする人が多いと花嫁の衣装が場違いになる。
![](https://kotowaza-everyday.com/wp-content/uploads/2021/12/restaurant-g68502b839_640.jpg)
まとめ
先述したように、英語では『コックが多すぎるとスープがだめになる』といいますが、
中国の同義表現では、
大工が多すぎると歪んだ家が建つ(だいくがおおすぎるとゆがんだいえがたつ)
意味 ・・・ 指図する人が多いと統率が取れず、物事が上手くいかないことのたとえ。
トルコでは、
おんどりの多い村の朝は遅くなる(おんどりのおおいむらのあさはおそくなる)
意味 ・・・ 朝を知らせるオスの鶏の鳴き声が多すぎることから、指示する者が多いと混乱を招くことのたとえ。
※、朝鳴くのは雄鶏だけで、朝一番に鳴くのは、群れの中で一番強いボスニワトリと言われています。また、 朝鳴くのは、他の雄鶏たちに縄張りを主張するためであると考えられています。
ロシアでは、
七人も牧人がいると家畜が一つの群れにならぬ(しちにんもぼくじんがいるとかちくがひとつのむれにならぬ)
意味 ・・・ 家畜を誘導する牧人が多いと、家畜がそれぞれの指示に従うことから、指示を出すものが多いと混乱を招くというたとえ。
モンゴルでは、
百頭の山羊に六十頭の種雄山羊(ひゃくとうのやぎにろくじゅっとうのたねおすやぎ)モンゴルでは、
意味 ・・・ 百頭の山羊の群れでは雄は数頭で十分、多すぎては雌を巡って争いになることから、リーダーが多すぎるというたとえ。
など、各文化圏で独自の表現が多くあります。
それにしても・・・
船が山に上るなんて、意外にも日本が一番ぶっ飛んだ発想ですね。