目次
三度目の緊急事態宣言発令からことわざを学ぼう!
新型コロナウィルスの猛威は止まらず、2021年4/25から東京都、京都府、大阪府、兵庫県の4都府県で三度目の緊急事態宣言が発令されました。
もちろん多くの方が不自由を我慢をして、感染防止に努めているのは承知の上ですが、
二度目の緊急事態宣言が解除された2021年3月21日には、すでに感染者が増加傾向にあったことや、感染力の強い変異株の新たな襲来、
そして、一部の人たちの行動を見ていると、こうなることは火を見るより明らかだったというのが大多数の意見に違いないでしょう。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『火を見るより明らか』
火を見るより明らか(ひをみるよりあきらか)
意味 ・・・ 明白で疑いの余地がないこと。
『火を見るより明らか』の意味、由来
『火を見るより明らか』とは、中国古代の歴史書である『書経』にある一節に由来する故事になります。
殷の第19代国王・盤庚(ばんこう)が、各地の諸侯(王と主従関係を結んだ領主)を集め、地方での統治について説いた後、次のように言ったと、『書経‐盤庚・上』にあります。
惟汝含徳、不惕予一人、予若観火
現代語訳: 地方の統治がうまくいっていないのは、私に徳がないからではない。お前たちが愚かだからであることは火を見るよりも明らかである。
そして、最後の一文
お前たちが愚かだからであることは火を見るよりも明らかである。
にある、火を見るよりも明らかについてですが、
燃えている火は、誰がどう見ても火にしか見えませんよね。
火であることに疑いの余地はありません。
もし『火』を『水』に替えて『水を見るよりも明らか』ならば、それが透明な液体であっても絶対に水だとは限りません。
塩水や砂糖水かもしれはせんし、透明なお酒かもしれません。
『空』であれば、天候や時間によって様々な顔があります。
ですが、『火』は火以外の何でもないと断言できます。
ここで『火』をたとえに使うセンスには非凡なものを感じずにはいられませんね。
つまり、盤庚は、
明白で疑う余地がないということを、『火を見るより明らか』と表現したのでした。
言葉のセンスは素晴らしいですが、なかなか手厳しい国王ですね。
また、『火を見るより明らかなり』『火を見るよりも明らか』とも言われこともあります。
『火を見るより明らか』の類義語、対義語
自明の理(じめいのり)
意味 ・・・ 説明や証明をするまでもなく、明白で分かりきっている道理・理屈。
正確な類義語とは言えませんが、近い表現として、
推して知るべし(おしてしるべし)
意味 ・・・ 推測してみればすぐに分かる、簡単に想像ができるということ。
対義語としては・・・
申し訳ありません。
適切な対義表現が見つかりませんでした。
何かあれば追記致します。
こんな場面で使おう!『火を見るより明らか』を使った例文
・緊急事態宣言中の彼の行動を考えると、いつかコロナに感染するのは火を見るより明らかだ。
・会う度に痩せ細っていく彼の姿を見れば、日に日に病気が悪化しているのは火を見るより明らかだった。
・歯切れの悪い口調で話す彼女が、もう私に好意を持っていないことは火を見るより明らかだった。
・彼らの気の抜けた練習態度では、予選敗退は火を見るより明らかだ。
・事件の話を軽く振っただけであれほどに動揺するなんて、彼が事件に関与しているのは火を見るより明らかだった。
『火を見るより明らか』を英語で表現すると?
英語にはこのような比喩的表現があります。
He that has but half an eye may see it.
半分欠けた目玉しかない者でも、それを見ることができる。
まとめ
殷の国王・盤庚ですが、人格はさておき、言葉選びのセンスは素晴らしいものを持っていたのですね。
まぁ、現代にこんな政治家や上司がいたら絶対にアウトですけどね・・・。