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秋の知らせから、ことわざを学ぼう!
10月に入り今年も残すところ3ヵ月、もうすっかり秋ですね。
ついこの間まで暑くて仕方なかったはずが、特に朝夕は肌寒いほどです。
そういえば、道路に落ち葉が目立つようになってきましたね。
秋の代名詞、中秋の名月も今年はきれいに見えましたね。
夜遅くに帰宅した時には、鈴虫の鳴き声が聞こえていました。
秋分の日から、1週間が過ぎましたね。
今年も裏のおじさんから立派な栗をいただきました。
一葉落ちて天下の秋を知るといいますが、鈍感な私は、それでも気付きませんでした。
昔の人は繊細ですね。
というわけで今日のことわざは・・・。
今日のことわざ『一葉落ちて天下の秋を知る』
一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる)
意味 ・・・ わずかな前ぶれから、その後の成り行きを察知すること。
『一葉落ちて天下の秋を知る』の意味、由来
まず、ここでの『一葉』とは、『一枚の青桐の葉』を表しています。
青桐は成長が早く、他の木より一足先に葉を落とします。
春に芽吹いた葉は、夏に青々と茂り、秋が深まるにつれて枯れて散っていきます。
このことから、『一葉落ちて天下の秋を知る』とは、
一枚の葉が落ちるのを見ただけで、世(天下、天のもと)に秋が訪れたことをいち早く察知すること。
それが転じて、わずかな前ぶれから、その後の成り行きを察知すること。
という意味になります。
また、秋は草木が枯れ落ちていく季節であることから、隆盛した国家や権力の衰退を察知するたとえとしての意味も併せ持ちます。
そして、この表現は、中国・前漢の哲学書『淮南子(えなんじ)・説山訓((せつざんくん))』にある一節、
見一葉落、而知歳之将暮、睹瓶中之冰、而知天下之寒、以近論遠
一葉の落つるを見て、歳の将に暮れなんとするを知り、瓶中の冰を睹て、天下の寒を知る。近きを以て遠きを論ずるなり。
現代語訳:木の葉が一枚落ちるのを見て、まさにその歳が暮れようとしているのを知り、瓶の水が凍っているのを見て、天下の寒さを知る。(要するに)身近なことで遠くのことを論じているのである。
に由来しています。
また、同義の言い回しとして、
桐一葉落ちて天下の秋を知る(きりいちようおちててんかのあきをしる)
一葉秋を知る(いちようあきをしる)
一葉の秋(いちようのあき)
桐一葉(きりひとは)
瓶中の氷を見て天下の寒きを知る(へいちゅうのこおりをみててんかのさむきをしる)
などともいいます。
『一葉落ちて天下の秋を知る』の類義語、対義語
霜を履みて堅氷至る(しもをふみてけんぴょういたる)
意味 ・・・ 災難の小さな兆候を見逃がしていると、やがて必ず大きな災難に見舞われることのたとえ。(霜が降る時期を過ぎれば、やがて氷が硬く張る季節が来るということから)
蛙の面に水(かえるのつらにみず)
意味 ・・・ どんな仕打ちでも、平気でいることのたとえ。
※かなり強引ではありますが、敏感、繊細の反対の意味で、鈍感、無頓着を表す表現を対義語として挙げておきます。
こんな場面で使おう!『一葉落ちて天下の秋を知る』を使った例文
・一葉落ちて天下の秋を知るで、私は病院のベッドで眠っている祖父を一目見て、もう先が長くないことを悟った。
・彼に会うのは久しぶりだったが、一葉落ちて天下の秋を知るなのか、どんよりと曇った目をみただけで、荒れた生活を送っていることがわかった。
・私の上司は、一葉落ちて天下の秋を知ることに長けた人で、ちょっとした態度や顔つきから部下の気持ちを察して、声を掛けてくれる。
・一葉落ちて天下の秋を知るで、チャンピオンの絞り切れていない身体を見れば、調整に失敗したことが容易に推測できた。
・彼女に突然別れを告げられたが、今思えば、彼女の気持ちが離れていっているような兆候はたくさんあった。鈍感な私は一葉落ちて天下の秋を知ることができなかったということだ。
『一葉落ちて天下の秋を知る』を英語で表現すると?
英語にはこれらの比喩的表現があります。
A straw show which way the wind blows.
・一本の麦わらを見れば風向きがわかる。
It is to pluck the grass to know where the wind blows .
・草を摘み取って風向きを知る。
まとめ
コロナの猛威、頻繁に起こる自然災害など、私たちの日常には多くの危険が潜んでいます。
一葉落ちて天下の秋を知るような繊細さや洞察力を身に付け、危険を回避していきましょう。