目次
人恋しくなる季節?秋から、ことわざを学ぼう!
日照時間が短くなり、気温は下がり、秋が深まるにつれて人肌恋しくなるものですよね。
青々と茂っていた樹々は暗く色付き、気持ちまで暗くなってしまいます。
ですが、物悲しい秋が過ぎるとクリスマスや年末年始といった楽しいイベントが待っています。
パートナー不在の方は、今のうちに恋でもしたいものですね。
そして、自然界にはクリスマスもお正月もありませんが、人恋しくなるのは人間だけではありません。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『秋の鹿は笛に寄る』
秋の鹿は笛に寄る(あきのしかはふえによる)
意味 ・・・ 恋に心を乱して身を滅ぼすことのたとえ。また、弱みにつけこまれて危険な目にあうことのたとえ。
『秋の鹿は笛に寄る』の意味、由来
ここでの鹿は、そのまま動物の『鹿』を指し、
『笛』とは、猟師が鹿をおびき寄せるために吹く、雌鹿の鳴き声に似せた鹿笛(ししぶえ)を指しています。
鹿は秋になると発情期を迎え、雄と雌が交尾をするために求愛行動を起こします。
その時期に、猟師が鹿をおびき寄せるために雌鹿の鳴き声に似た鹿笛を吹くと、雄鹿はそれに誘われてのこのこやって来て、猟師に捕らえられてしまうのです。
このことから、『秋の鹿は笛によ寄る』とは、
恋に心を乱して身を滅ぼすことのたとえ。また、弱みにつけこまれて危険な目にあうことのたとえ。
という意味になります。
鎌倉時代に富士野で起きた曾我兄弟の仇討ちを題材にした軍記物語、『曾我物語』に、
「夏の虫、とんで火に入、秋の鹿の、ふゑに心をみだし」
とあり、これに由来する表現になります。
また、同じ意味で似たような言い回しで、
妻恋う鹿は笛に寄る 笛に寄る鹿、火に寄る虫 笛に寄る鹿は妻を恋う などとも言われます。
『秋の鹿は笛に寄る』の類義語、対義語
飛んで火にいる夏の虫(とんでひにいるなつのむし)
意味 ・・・ 自ら進んで災いの中に飛び込むことのたとえ。
君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかづかず)
意味 ・・・ 教養があり徳がある者は、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないということ。
こんな場面で使おう!『秋の鹿は笛に寄る』を使った例文
・恋は盲目と言うが、秋の鹿は笛に寄ることにならないように注意しなければならない。
・私の兄は、まさに秋の鹿は笛に寄るかのごとく、悪い女に騙されて貯金を全て貢いだようだ。
・秋の鹿は笛に寄るということわざの通り、芸能界や政界ではスキャンダルで人生を棒に振る人が後を絶たない。
・まさに秋の鹿は笛に寄る。人間も動物も男ってやつはどうしようもない生き物だ。
・秋の鹿は笛に寄ると肝に銘じていたつもりだったが、ホストクラブにのめり込んでしまった。
『秋の鹿は笛に寄る』を英語で表現すると?
英語にはこのような比喩的表現があります。
People may bring about their demise for love.
demise ・・・ 終焉
・人は愛に終焉をもたらすかもしれない。
まとめ
恋は盲目、恋は焦らず、惚れた病に薬なし、恋の山には孔子の倒れ
など、恋愛に心を乱した者への忠告のことわざは多くあります。
それほどに恋というものは、人の理性を奪い、夢中にさせるものです。
あまり浮かれないように注意することも必要ですね。