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マスクからことわざを学ぼう!
2019年11月に中国・武漢で初確認された新型コロナウィルスは、瞬く間に全世界に広がり、
2021年4月現在もその猛威はとどまることを知らず、各国に大きな打撃を与えています。
そのなかで感染力の強いウィルスの拡大を抑え込むために、私たちの生活様式は大きく変わっていきました。
多くの企業で会社に出社せずに自宅で業務をこなすリモートワークが導入され、
必要な会議はオンラインで行われるようになりました。
大人数で人同士が密になるイベントは制限され、映像をネットで配信したり、入場者数が制限され、
スポーツ観戦では、楽器や大声での応援は禁止され、歓声に溢れていたスタジアムは静かな空間に変わりました。
飛沫感染を抑えるために大人数での会食の自粛が叫ばれ、飲食店ではアクリル板などで仕切りが設置されました。
人が訪れる先々に除菌スプレーが設置され、消毒液やマスクの着用が半ば義務化されたことで、一時は消毒液やマスクは品切れ状態が続きました。
多くのこのように多くの変化がありましたが、最も多くの方に影響を与えていることは、マスクの着用でしょう。
これまではマスク姿の人などインフルエンザ流行時にちらほら見かける程度でしたが、今ではマスクなしで電車に乗り込んだり、人が多い場所にいれば、白い目で見られてしまうこと必至の状況です。
ちょっとした外出の際に、メイクなしで出掛けることができるとか、前歯を治療中の方など、時と場合によって多少のメリットはありますが、
全体的には息苦しい、暑い、紐で耳が痛いなどという意見ばかりで、仕方なくマスクを着けている人がほとんどです。
そして、マスクによる最大の弊害といえば、
表情が読み取りにくいことと言えるでしょう。
人によりますが、怒ったり不機嫌になると、口を尖らせたり、頬を膨らませたりしますよね。
興奮した時に鼻の穴を広げる人もいるでしょう。
時には口角を上げて明るい表情を意識的に作って、相手に好意を伝えたりもします。
ですが、マスクによって口、鼻、頬などが隠れることによって、表情が読み取りにくく、意思の疎通が上手くいかない場面が多くあるようです。
相手の気持ちを探りながら話を進めていく営業や商談、聞き手の反応を見ながらのプレゼンにおいて、
どのようにして相手の気持ちを察すればいいのか困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
でも、もう大丈夫です!
その答えは、ことわざにあります!
さぁ、というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『目は口ほどに物を言う』
目は口ほどに物を言う(めはくちほどにものをいう )
意味 ・・・ 気持ちが入った眼差しは口で言うのと同じくらい、相手に気持ちを伝えるということ。嘘をついていても目を見れば、本当かどうかがわかるということ。
『目は口ほどに物を言う』の意味、由来
『目つきが悪い』『目が笑ってない』『目力がある』『やさいい目元』など、『目』と人の気持ちや性格を結びつける言い回しは多くあります。
また、『目』が使われた、ことわざや慣用句は山ほどあり、身体の部位の中でも圧倒的です。
ほんの一部だけでも、これほどの数になります。
目が利く、目が肥える、目が高い、目が無い、目が回る、目から鱗が落ちる、目から鼻へ抜ける、目から火が出る、目と鼻の先、目に余る、目に物見せる、目の色を変える、目の上の瘤、目の黒いうち、目の毒、目も当てられない、目もくれない、目を疑う、目を奪う、目を覆う、目を掛ける、目を配る、目を皿のようにする、目を白黒させる、目を付ける、目を盗む、目を光らせる、目を引く、目を細める、目を丸くする、目を見張る、目を剥く、弱り目に祟り目、壁に耳あり障子に目あり、目に入れても痛くない、台風の目、目に青葉山時鳥初鰹、裏目に出る、脇目も振らず、お目に掛ける、目が眩む、目鼻が付く、目を背ける、目には目を歯には歯を、生き馬の目を抜く、鵜の目鷹の目など・・・
このように、古くから人間が喜怒哀楽の感情を最も顕著に表すのは目だと考えられてきました。
そのことから、
たとえ口で話さなくても目を見れば相手の気持ちがわかる。
という意味の『目は口ほどにものを言う』ということわざが生まれました。
江戸時代中期から幕末まで、ほぼ毎年刊行されていた川柳の句集、『柳多留拾遺』巻八上(1801)に、
「気があれは目も口ほとにものをいひ」
と見られ、このころ(江戸時代後期)には浸透していた表現だと考えられます。
人は動揺すると目が泳いでしまったり、頭で思い出すときには左上を見て、嘘をついたり、想像する時には右上を見ると言いますが、そのような目の動きは、まさに『目は口ほどに物を言う』が顕著に表れた現象ですね。
『目は口ほどに物を言う』の類義語、対義語
目は心の鏡(めはこころのかがみ)
意味 ・・・ 目はその人の心を映し出す鏡のようなものだから、目を見ればその人の心の様子が読み取れるものであるということ。
対義語としましては・・・
申し訳ありませんが、適切な対義表現が見つかりませんでいた。
何かあれば追記致します。
こんな場面で使おう!『目は口ほどに物を言う』を使った例文
・目は口ほどに物を言うということわざの通り、彼の目を見れば嘘をついているのが一瞬でわかった。
・心理学者や心理カウンセラーは、目は口ほどに物を言うということわざを大いに活用している。
・彼は、口では『まだ私のことが好きだ』と言ったが、目は口ほどに物を言う、目を見れば徐々に気持ちが離れていっているのは明らかだった。
・彼女は精一杯元気な振りをしているが、目は口ほどに物を言うで、時折寂しげな目をしていた。
・目は口ほどに物を言うらしいので、浮気をしてしまった私は、極力彼女と目を合わせないように接した。
『目は口ほどに物を言う』を英語で表現すると?
英語にはこのような比喩的表現があります。
The eyes have a language everywhere.
直訳:目はどこに行っても言語を持つ。
(目は万国共通の言葉である。)
The eyes are as eloquent as the tongue.
eloquent ・・・ 雄弁な
(目は舌ほどによくしゃべる)
まとめ
超常現象やマジックのように人の心を読み取り、言い当てるパフォーマンスでは、相手の目から心理を読み取ることは基本中の基本とされています。
有能なビジネスマンは相手の目を観察しながら心理を伺い、状況に応じてあの手この手で商談をまとめると言います。
一流の柔道家は組み合っただけで、相手の力量がわかると言いますが、オリンピックで三連覇を成し遂げた超一流の柔道家である野村忠宏氏は、目を見れば相手の力量がわかると語っていました。
これらのように、『目』は私たちが思っている以上に、多くの情報を発信しているということですね。
以前、テレビ番組で『マスクをしなくていい基準やタイミング』について議論されていた時、ある方が、
『今後マスクは下着のような存在になっていくかもしれない』
と言っていました。
それはちょっと大袈裟かもしれませんが、少なくともマスクでの生活はまだまだ続くことでしょう。
この機会に、相手の『目』を読み取る力を身に付けてみてはいかがでしょうか?