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東京オリンピック・パラリンピックへの葛藤から、ことわざを学ぼう!
世界中を襲う新型コロナウィルスの猛威によって、東京オリンピック・パラリンピック開催の是非が論じられる機会が増えていますね。
現在の国民の安全の確保、最終目標であるウィルスの終息を考えれば、中止や延期の措置を取ることが最善だということは誰もがわかっていることでしょう。
ですが、どうしても頭の中に浮かんでくるのは、人生をかけて競技に取り組み、出場権を勝ち取った選手たちのことでしょう。
言うまでもありませんが、オリンピック・パラリンピックとは、アマチュアスポーツの競技者にとって、夢の舞台です。
それに加えて自国開催ですからね。
選手生命の短いスポーツの世界において、現役時代のピーク時にオリンピック・パラリンピックが母国で開催されるなんて、奇跡的なことに違いありません。
また、生まれ育った母国の慣れた気候、時差のないなかでのコンディションの調整、
母国を応援する大観衆(今回は開催できたとしても叶いませんが)など、
自国開催には多くのアドバンテージがあります。
アスリートとして歴史に名を刻む千載一遇のチャンスと言えるでしょう。
そう思うと、軽々しくオリンピック・パラリンピックの中止に声を上げれないのが心情ですね。
というわけで今日のことわざは・・・
今日のことわざ『千載一遇』
千載一遇(せんざいいちぐう)
意味 ・・・ 千年に一度しかないような、またとない良い機会のこと。
『千載一遇』の意味、由来
『千載一遇』とは、東晋の袁宏が書いた「文選」に収められた「三国名臣序賛」にある一文に由来しています。
ややこしいですね。一つづつ意味を解説していきます。
東晋(とうしん)・・・4~5世紀に中国の江南に建国された王朝
袁宏(えんこう)・・・中国の東晋(とうしん)の文人・歴史家
文選(もんぜん)・・・中国南北朝時代の南朝梁の蕭統(昭明太子)によって編纂された詩文集。全30巻。春秋戦国時代から南朝梁までの文学者131名による賦・詩・文章800余りの作品を、37のジャンルに分類して収録。
三国名臣序賛・・・”『三国志』から魏・呉・蜀の名臣20人を取り上げ、それらの人物を称えた『文選』に収められた書。
つまり、東晋の時代の歴史家、文人である袁宏が書いた、『三国志』から魏・呉・蜀の名臣20人を取り上げ、それらの人物を称えた『三国名臣序賛』という書に由来しています。
そして、『三国名臣序賛』は、『文選』という詩集に収められています。
『三国名臣序賛』には、
千載一遇、賢智之嘉会(千載一遇は、賢智の嘉会なり)
とあります。
現代語に訳すと、
千年に一度のめぐり逢いとは、賢人と知者との喜ばしい出逢いである。
となります。
もう少し噛み砕いて考えていくと、「載」は「年」と同じ意味で、「千載」で千年を表し、「遇」とは、思いがけず出くわすという意味になります。
よって、『千載一遇』とは、千年に一度しかないような、またとない良い機会のこと。という意味の故事成語になります。
また、この一文は、三国志の覇者、魏の曹操(そうそう)と、彼を支え続け、高みに押し上げた天才軍師の荀彧(じゅんいく)との出会いを評しています。
いくら才能があっても名君に巡り合えず、力を発揮できずに生涯を終える人物は多くいます。
ですが、曹操と荀彧は出会い、偉業を成し遂げました。
それは千年に一度しか訪れないような奇跡的な巡り合わせであるということを意味しているのです。
『千載一遇』の類義語、対義語
盲亀の浮木(もうきのふぼく)
意味 ・・・ 出会うことが甚だ困難であることのたとえ。また、めったにない幸運にめぐり合うことのたとえ。
水母の骨にあう(くらげのほねにあう)
意味 ・・・ めったにない幸運にあうたとえ。簡単には為しがたいことのたとえ。
日常茶飯事(にちじょうさはんじ)
意味 ・・・ お茶を飲んだり、ご飯を食べたりするような、日常生活に密着した、特にめずらしくもないもの、ごくありふれたもののこと。
こんな場面で使おう!『千載一遇』を使った例文
・明日のコンペは、ここ数年の会社の負債を一気に巻き返す千載一遇の機会だ。
・宝くじで一等が当たる夢を見たので、千載一遇の好機かもしれないと、すぐさま買いに走った。
・表舞台から離れて、人知れず技術を磨いてきた私に、千載一遇のチャンスがやってきた。
・ちょっとした私の勘違いから千載一遇の好機を逸してしまった。
・新作映画のヒロインの特徴は、青森弁で色白で高身長で足が速いと、まさに私の生き写しのようだった。このオーディションは千載一遇のチャンスだ。
『千載一遇』を英語で表現すると?
英語にはこのような表現があり、
A golden opportunity.(黄金のチャンス)
このように英文として使うことができます。
Do not miss the golden opportunity.
まとめ
あなたは千載一遇の好機を目の当たりにしたことはありますか?
人間なんてそもそも千年も生きないのですから、無理な話だろうと思うかもしれません。
ですが、周囲を見渡してみてください。
曹操と荀彧が、劉備と孔明が出会ったように、あなたはすでに千年に一度の出会いをはたしているかもしれませんよ。