目次
現在、日本で『世界柔道2019』が開催され、連日熱戦が繰り広げられていますね。
来年の東京オリンピックの代表選考にも大いにかかわる大会で、注目されている方も多いことと思います。
そんなわけで、今日のことわざは柔道にちなんで・・・
今日のことわざ『柔よく剛を制す』
柔よく剛を制す(じゅうよくごうをせいす)
意味 ・・・ 弱い者が、強い者を負かすこと。
解説
柔道の投げ技では、相手の力や体重移動を巧みに利用し、身体の小さい人でも大きい人を豪快に投げ飛ばすことができ、それが柔道の醍醐味と言ってもいいでしょう。
そして、その姿を讃える際によく使われる表現ですので、柔道発祥の地、日本で生まれたことわざだと思われがちですが・・・
実際は、古代中国の老子の思想を基に書かれたと言われる『三略』という兵法についての書物に見られる一節に由来しています。
意味としては、「柔軟性のあるものが、そのしなやかさによって、かえって剛強なものを押さえつける(制する)ことができる」ということになります。
また、『三略』には、『柔よく剛を制し、剛よく柔を断つ』と続いて書かれています。
『剛よく柔を断つ』とは、『柔よく剛を制す』の全く逆の意味で、剛強なのものが柔らかいものを制すという意味になります。
じゃあ結局、どっちなんだよ!!!
ってなりますよね・・・
ここでは、柔らかいものにも硬いものにも、どちらにも長所、短所があり、戦術によっては、どちらにも勝機がある」という、いかにも兵法っぽい感じの意味として書かれています。
また、『よく』とは、漢字で書くと『能く』となります。
『能力、可能、技能』などの『能』ということで、 『~することができる』英語で言うところの『can』と同じように使われています。
類義語
柳に雪折れなし(やなぎにゆきおれなし)
意味 ・・・ 柔らかく、しなやかなものは、どんなことにも耐えるということのたとえ。
雪が積もった時、 硬い木はその硬さゆえに、雪の重さを逃がすことができず、折れてしまうが、柔らかくしなやかな柳は、雪の重さを逃がし、折れることはないということから生まれたことわざです。
対義語
剛よく柔を断つ(ごうよくじゅうをたつ)
意味 ・・・ 剛強なのものが柔らかいものを制するということ。
こんな場面で使おう 例文
例文 柔よく剛を制すという痛快な柔道というスポーツに憧れて、小柄だったにもかかわらず、ぼくは道場に通うことに決めた。
例文 筋力は私の方が絶対に上なのに、柔よく剛を制すということか、いざ戦ってみたら、彼には全く歯が立たない。
例文 彼の投球フォームは、肩だけを使って投げるのではなく、全身をしなやかに使って、柔よく剛を制すかのように投げているように見える。
例文 クレーム対応の最大のこつは、柔よく剛を制すで、相手の怒りや不満をいかに上手くいなすかにある。
例文 柔よく剛を制すで、イライラして攻撃的になっている相手にはやんわりと接した方がいいだろう。
このように、直接的な意味としてにスポーツの場面で使うだけでなく、人と人とのコミュニケーションにおいても応用して使える便利なことわざですね。
英語での表現は・・・
Flexibility sometimes beats macho.
(柔軟性のあるものは、時には剛強なものに勝つこともある)
beat ・・・ 勝つ
macho ・・・ 男らしい、男っぽい
『macho』ですが、筋骨隆々の人のことを『マッチョ』って言いますよね。
その語源、由来がこの単語なんですね。
おもしろいですね。
私は、このことわざを知るまで、マッチョは、マッスルからきていると勝手に考えていましたね。
まとめ
『柔よく剛を制す』とは、例文で挙げたように、格闘技などのスポーツの場面だけでなく、人との付き合い方、接し方においても使える非常に凡庸性の高い大切なことわざです。
また、冷静に考え、行動するという意味にも繋がり、人生訓としても大いに学ぶべきことわざですね。
時には熱く、時には冷静に、しなやかに生きていきましょう。